HIPHOPと福祉がコラボする新しいエンタメが見られるとの情報をananweb編集部がキャッチ! 東京タワー内の特設ステージで開かれた注目のイベントに行ってきました!

写真:橋本美花

春の東京タワーで開催!

今回訪れたイベントは、「世界自閉症啓発デー 2019」の「東京タワーブルーイベント2019」。毎年4月2日は、国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。自閉症をはじめとする発達障害について広く知ってもらうため、イベントやシンポジウムが開かれています。

会場では自閉症を疑似的に体験できるブースが出ていたり、ステージで楽団が演奏したりと、プログラムもさまざま。老若男女問わず多くの人たちが参加しています。

HIPHOP×福祉がかっこいい〜!

そんなイベントの終盤、ananwebが注目する「HIPHOP×福祉のカルチャー」のステージがはじまりました!

まずは、パフォーマンスチーム「SOCIAL WORKEEERZ」のみなさんが登場。ステージではヒップホップの曲が流れ、クールなダンスが披露されました!

ラッパーの晋平太さん、登場!

続いて、人気ラッパーの晋平太さんが登場です!

晋平太さんは、ラッパー同士が対決するMCバトル大会にて数多くのタイトルを手にしてきたフリースタイルラップの王者。現在は、全国各地でフリースタイルおよび日本語ラップの普及活動などもされています。

また、ろう者の大学生、原島朋花さんと樺沢環さんもパフォーマーとして参加。おふたりは、学生時代から健常者と一緒にダンスを楽しんできたそうです。

ラップを手話で翻訳!

晋平太さんが歌っているラップは、原島さんと樺沢さんがろう者として感じてきた辛さや、生きづらさ、そして喜びをヒアリングして歌詞に落とし込んだもの。ふたりの思いが詰まったその歌詞を、彼女たち自身で手話に翻訳しました。

「愛想笑いしていた私、聞こえない君の話」など韻を踏んだラップの歌は、胸にじーんと響いてきます。そして、その歌詞は、彼女たちが翻訳したステキな手話により、ろう者の人たちにも伝わっています。

原島さんと樺沢さんは、手話を交えながら「SOCIAL WORKEEERZ」のみなさんと一緒に楽しそうに踊っています。

このダンスは、手話だけでなく、言語や発達に遅れのある人のためにつくられたコミュニケーション法の『マカトンサイン』やジェスチャーなども取り入れているとのこと。とてもかっこよくて、障害の有無に関係なく、誰が見ても楽しめます!

出演者のみなさんに直撃!

このステージがはじまる前、晋平太さん、原島朋花さんと樺沢環さん、「SOCIAL WORKEEERZ」代表のTOMOYAさんにインタビューさせていただきました。

――ラップと手話をコラボさせるという企画が誕生した経緯を教えてください。

晋平太さん エミネムという僕の大好きなアメリカのラッパーがいるのですが、手話通訳をつけた彼のライブ映像がちょっとバズったことがありました。僕も見ていたのですが、すごくいいなぁと思って。

手話パフォーマンスって、かっこいいんです。エミネムのラップは、すごい速度で手話をやっていて、それがすごいかっこよくて。こういうことが日本でもできたらおもしろいんじゃないかな、というところから始まりました。

――コラボされてみて、いかがでしたか。

晋平太さん 今まで、手話歌とか手話ダンスとかはたくさんあるんですけど、それがろう者にとってどう見えているのか、という点が、一番僕らが気にしたところです。ろう者が見ても変ではないし、しっかり伝わる表現にしたい。

僕は歌詞を書いたのですけど、ろう者にインタビューをして、ろう者がどう思っているのかを歌にしました。ラップと手話で何か一緒にできるっていいです。

原島朋花さん 晋平太さんが書いた歌詞を手話に翻訳するとき、どう表現すればいいのか。本当にいろいろと考え抜いて、手話をつくりました。それで、つくり終わったという喜びは大きかったです。

樺沢環さん ラップと手話のコラボははじめての経験ですが、練習も含めて楽しかったです。

TOMOYAさん 今回、このプロジェクトのお話がきたとき、ダンスはすごくマッチすると思いました。ダンスは無限大のコミュニケーションがとれるんです。手話ができない人でも手ぶりとか表情とかで、なんとなくコミュニケーションが取れてしまう。お互いに相手が何を考えているのか何となくわかるということがおもしろく、最大のツールになります。

私も手話という言語ツールを勉強中で使用しますが、ジェスチャーでも彼女たちと話せることがたくさんあって、冗談を言い合うこともできて楽しかったです。

――苦労した点はありますか?

原島朋花さん 手話に翻訳するとき、「認め合う多様性」という歌詞と「その手で広げる可能性」という歌詞が最後に二行あるのですけど、その表現方法をどうすればいいのかというところについて、かなり時間を費やして悩みました。つくりおわった後は、これでいいと納得できるものができました。

晋平太さん 実際に、僕はその(ろう者の人たちと同じ)状況にはなれない。例えば、みんなで話をしていて、自分だけ耳が聞こえていないというそのときの絶対的な孤独。外国人の、しかも英語ではない言語集団の中でひとり置かれているみたいな状況なのかな、と。

あと、歌詞にもしたのですけど、みんなが話をしているときに勇気を出して「何を話しているの?」と聞いても、そのときに「何でもないよ」と言われちゃう。「どうせ無理だよ」って彼女らは言われ続けてきたんです。

彼女たちはダンスも踊るのですけど、彼女たちに何か提案したときに「無理だ」と言わないんですね。そこをやはり伝えたいし、そこがすばらしいなと思っています。いきなり「どうせ無理だよ」と決めつけるのは絶対によくないです。

――今後、やってみたいことはありますか?

TOMOYAさん 今回は手話ダンスを提唱していて、手話という形に対して、さらに感情を乗せることなどやりました。耳の聞こえない人たちは手話じゃなきゃ話せない、という誤解を私は解きたいです。いろいろな人たちとコミュニケーションがとれるという、そういう間口を広げていけたらと思っています。

晋平太さん 当たり前に手話でラップっぽい表現をしていけるようになったら楽しいですね。僕らだけではなく、ろう者と聴者のコンビでラップのパフォーマンスするのが将来的に当たり前になっていく……というのが目標。だから今回だけでなく続けていきたいです。

社長さんにも直撃!

今回のイベントを企画・プロデュースした株式会社ヘラルボニーは、新しい福祉カルチャーを提案しながら活動をしているユニークな会社。

代表取締役社長の松田崇弥さんは、今回のコラボについて、「もともとヒップホップはマイノリティの黒人の人たちのなかで生まれたもので、自分たちの生活環境の悪さなどを含めて社会に訴えることからスタートしている。その意味で福祉とヒップホップは親和性があるのではないか」と語っていました。

また、「押しつけがましい正義ではなく、ただ楽しいとかかっこいいというものが福祉と社会の境界をあいまいにしていくのではないか」と言い、今後もこのようなプロジェクトを続けていきたいと話してくれました。

福祉系のイベントを取材したのは初めてでしたが、ステージ上の人も観客もみなさんステキな笑顔をしていました。運営されているスタッフさんたちも生き生きしていて、取材していて楽しかったです。

以上、「HIPHOP×福祉のカルチャー」イベントレポートでした!