端正なルックスに、常に自然体な雰囲気。周囲を包み込むような、穏やかさを纏う杉野遥亮さんは、自らをよく知る人でした。素直に、真正面から人と向き合ってきた彼が考える、愛される人の秘訣とは…?

“いま、愛される男たち”という今号『anan』の特集テーマを伝えると、思わずはにかむような笑顔を浮かべた杉野さん。

「僕、愛されているのかな?(笑) 自分ではそんなにわからないですが…もしそうだとしたら、僕自身が“人好き”だからかもしれません。男女や年齢の上下も関係なく、好きな人にはすぐ『好き』と言ってしまうから」

ほぼ直感的に人を好きになるという杉野さん。では、相手に対して好意のスイッチが入る基準はありますか?

「自分に正直に生きている人はすごく好きです。たとえば最近の若手芸人さんでも、自分の意見をはっきり言える方が多いと思うんです。それは相手の考えを否定しているわけじゃなくて、きちんと本音でぶつかっている証拠というか。そんなふうに、自分という軸をしっかり持って発信していける人が、今の時代に愛される人なのかなと思います」

かく言う杉野さん自身はというと、「今までは他人に影響を受けやすいタイプでした」と振り返る。

「“スポンジ体質”って言うんですかね。よくも悪くも、何でも人の考えを吸収してしまうから、軸がブレやすかったんです。それが変わってきたのは、ごく最近のこと。きっかけは、断捨離です(笑)。自分の中の余計なものをいろいろとそぎ落としていくうちに、いま取り組むべきことや、本当に大切にすべきことが見えてきた気がしました。考え方の転換期かもしれません」

モノを手放すことで、気持ちも整理できたという。見つけたのは、“自分は自分”という答え。

「みんなどこか自分が“普通”でいたいから、『はみ出さないように』『溢れ出さないように』と思っているけれど、本当ははみ出たっていいし、溢れ出たっていいし、足りなくたっていい。『全部まるっとそれが自分なんだ』と考えられたらいいなと思うんです」

言葉で取り繕うのではなく、本質と本質でぶつかりたい。

そんな杉野さんが出演する映画『水上のフライト』は、パラリンピックの正式種目でもあるパラカヌーをテーマにした人間ドラマ。事故をきっかけに二度と歩けなくなった主人公の遥(中条あやみ)が、パラカヌーとの出合いを通して希望を取り戻していく姿を描く。

「自分自身に嘘がない人って魅力的ですし、そういう人を見ると周りは応援したくなると思うんです。主人公の遥がまさにそう。ただ、事故に遭う前の遥は、人に支えられて生きていることをきちんと理解できていなかった。でも最終的には自分の弱さをすべてさらけ出して、本音でぶつかっていくことができたから、僕が演じた颯太をはじめ、たくさんの人の愛を感じることができたんだと思います」

相手の顔色を見て適当な言葉を取り繕うのではなく、この映画の登場人物たちのように、本質と本質でぶつかり合うこと。それが理想のコミュニケーションのあり方だと杉野さんは言う。

「自分の個人的な感情を度外視して、相手のことを100%考えられる人の言葉にはやっぱり説得力があると思います。実は僕自身にも最近、僕のことを本気で叱ったり、心配してくれる存在が何人か現れて。そういう人に恩返ししていきたいなと思いました。究極の理想を言うと、余計な気づかいすらせずに、テレパシーみたいに自分の気持ちをそのまま相手に伝えることができればいいのになって思うんですけど(笑)」

ストレートな言葉で思いを語ってくれた杉野さん。この飾らない人柄こそが、多くのファンや周りの人に愛されている理由なのかも。

「まずは自分のことを徹底的に好きになろうと思います。今の自分を最強に愛することができてからじゃないと、他人を愛することはできないと思うから。自分のダメな部分はどんどん改善して、もっと高めていきたいです」

映画『水上のフライト』 不慮の事故で脊髄を損傷してしまった走り高跳びの選手・藤堂遥が主人公。杉野さんは遥を陰で支えるエンジニアの加賀颯太を演じる。実在するパラカヌー選手に着想を得た奇跡の物語。11月13日(金)公開予定。©2020 映画「水上のフライト」製作委員会

すぎの・ようすけ 1995年生まれ、千葉県出身。2015年に第12回FINEBOYS専属モデルオーディションでグランプリを獲得。『キセキ ―あの日のソビト―』で映画デビュー。出演映画『東京リベンジャーズ』が近日公開予定。

ジャケット¥196,900 ニット¥92,000 シャツ¥97,900(以上マルニ/マルニ 表参道 TEL:03・3403・8660)

※『anan』2020年10月14日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・櫻井賢之 ヘア&メイク・速水昭仁 取材、文・瀬尾麻美 プロップ協力・AWABEES バックグラウンズファクトリー

(by anan編集部)