配信での韓流ドラマのダントツ人気や、アメリカでのBTSのブレイクなど、“韓国スター”の人気は世界に拡大中。彼らの存在と“男のセクシー”の関係性を分析。

強さを誇示するよりも、弱さの吐露に色気がある。

多様性が出てきた…とは言いつつも、欧米においてアジア人男性が大きな歓声を浴びるとは、昭和はおろか10年前ごろまでは想像がつかなかった。そんな中で2018年、アメリカでブレイク、今や不動の人気を手に入れたのが、韓国のアーティスト、BTS。

「‘00年代ごろから徐々に、アメリカでは“マッチョな男性がセクシー”というステレオタイプな価値観に、疑問を感じる女性が増加しつつありました。さらに‘17年には、〈#MeToo〉運動が起こります。そんな世の中に登場したのが、BTS。美形でスタイルはいいですが、相手に圧を与えるような体格ではなく、実際どうかは分かりませんが(笑)、ケンカが強そうには見えず、肌もきれいでメイクもする。いわゆる“古典的な男のセクシー像”とは異なります。実力があっての人気ではあるけれど、男らしさを誇張する文化に嫌気がさしていた世界中の女性から支持を集めたというのは、当然の成り行きだったと思います」

と語るのは、韓流にまつわる記事も手掛けるライターの小川知子さん。同じような変化は韓流ドラマの世界でも起きたといいます。

「私の印象では、‘16年ごろからオラオラ系の男性が単純に“イケメン”としては描かれなくなっている感じがあります。‘16年放送のドラマ『嫉妬の化身』では、マッチョ思想を持つ男性キャスターが乳がんになってしまい、ヒロインに助けられながら女性が抱いてきた悩みに直面する、という物語。‘17年の〈#MeToo〉もあり、韓国の女性たちの中に“女性の声に耳を傾ける力がある男こそがセクシーなのでは”という思いが芽生え、それ以降、人気が出る俳優の傾向にも変化が出た気がします」

小川さんが今、セクシーを感じる韓流俳優やK-POPに共通するキーワードは、“他者を攻撃することがなく、自分の弱さや変化を受け入れられる人”だそう。

「女性を強引に御するのではなく、女性から押し倒される側にも回れます、的な雰囲気すら漂い、でもいざとなったらちゃんと受けとめてくれる体幹もある。また自分の辛さや感情を口にすることができ、変わることを怖がらない。今回挙げた4人の俳優は、そういう雰囲気が滲み出ている。そういった芯の強さこそが、今求められているセクシーさなのかもしれません」

キム・スヒョン

人間のダサさやカッコ悪さを表現できる演技力の持ち主。
‘88年生まれの33歳。‘11年、ドラマ『ドリームハイ』で一躍注目を浴びた。「最新作『サイコだけど大丈夫』では、心にモヤモヤを抱えながら、正反対の性格の女性と一緒にいるうちに、悩みを吐露できるようになる男性を熱演。パパラッチに撮られる写真が常にボウリング中という可愛らしい一面も(笑)」

写真:Everett Collection/アフロ

パク・ボゴム

少年ぽいピュアさが最大の魅力。優しさがあふれて止まりません。
‘93年生まれの27歳。‘11年に映画でデビュー。最新作は『青春の記録』。「彼はとにかく、“優しい”で有名。行き先を告げられず海外に連れていかれるバラエティ番組『花より青春』に出演した際、騙されたにもかかわらず、スタッフを気遣ったり優しく接する姿に感動しました。よく涙を見せるのも魅力の一つ」

写真:スポーツコリア/アフロ

ユ・アイン

人との関わり方が洒落ている。そのセンスの良さがセクシー。
‘86年生まれの34歳。代表作は『バーニング』『#生きている』など。「役に合わせて体型も変えるなど、役者としても実力派。SNSを通じ世間に物を申すのですが、そのふるまいが実直かつスマート。個人的には『シカゴ・タイプライター』で演じた二役のギャップの色気、ぜひ見てください」

写真:アフロ

カン・ハヌル

“純朴セクシー”という言葉は彼がいたから生まれた。
‘89年生まれの32歳。‘06年ミュージカルでデビュー。「‘19年のドラマ『椿の花咲く頃』で、田舎で働く方言丸出しの警察官を演じたのですが、その役がダサいけれどもセクシーと大評判で、“純朴セクシー”という愛称が付きました。ご本人も“美談製造機”と呼ばれるほど、超絶いい人だそうです(笑)」

写真:アフロ

おがわ・ともこ ライター。映画会社、出版社勤務を経てライターに。雑誌『GINZA』にて、映画にまつわる連載記事を執筆中。

※『anan』2021年3月31日号より。取材、文・重信 綾

(by anan編集部)