意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「孤独・孤立対策担当室」です。

孤独は社会問題。官民協力体制で根本的解決を。

長引くコロナ禍で、大学では休講やオンライン授業が続き、アルバイト先の休業や閉店で経済的に困窮。休学・退学する学生が多く出ているというニュースがありますが、実は前年同期比でいえば、中途退学者は2割減。休学者は1割減です。学校側が授業料の納付期限を猶予したり、困っている生徒の授業料の減額や免除を行ったため、この1年は持ちこたえました。ところが今後はどうなるかわかりません。

注視しなければいけないのは、学生たちのメンタルヘルスです。日本では新型コロナウイルスによる死者数よりも自殺者数の増加率が高く、とくに若い世代や女性の自殺が増えています。2020年1月〜11月の統計では、増減率では20代が最も高く17%増、19歳以下の未成年は14%増。小中高生は479人と1980年以降で最多となりました。人に会えないこと、将来の不安、経済的困窮などが要因になっていると考えられます。

コロナ禍で、世代を超え孤立している人が増えている現実を踏まえ、政府は内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」を新設。省庁横断で本格的な対策に動きだすことにしました。参考にしたのはイギリスです。イギリスでは、孤独が身体に及ぼす影響を科学的に証明。死亡リスクは26%、脳卒中を発症する率は32%アップ、認知症発症率にも影響があるという数字が。これを機に2018年、孤独担当大臣を設置。約28億円規模の予算を組み、どういう人が孤独を感じ、支援の対象になるかの指標を算出し、相談体制の強化、職の支援や低所得対策を行いました。

以前より孤独担当相の創設を訴えていた国民民主党の昨年11月の資料によると、東京23区の単身高齢者の孤独死は10年間で1.7倍に。全国の単身世帯数は34.5%、生涯未婚率は男性23.37%、女性14.09%でどちらも増加中。高齢者の親と無職の子供の“8050”世帯は2013年時点で推計約60万世帯、引きこもりは推計約61万人、シングルマザーは約123万世帯、うち半数が相対的貧困というように、日本には孤独があふれています。これらに対処することが、経済、医療福祉、少子化対策の一助になると思います。

堀潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00〜8:00)が4/1スタート。

※『anan』2021年4月14日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)