シスターフッドが社会を動かすこともあります。

「インフルエンサーのモデルや俳優がSNSで発信することが増え、シスターフッドが一つのトレンドになっています。元々は、’60年代に始まったウーマンリブ運動でよく使われていた言葉で、簡単に言うと女性同士の連帯や絆のこと。身近で感じる『これって変?』という違和感を解決するために女性同士が手を組み、問題解決に取り組む。男性が構築した社会では、女性の声はなかなか通りません。しかも女性の権利が脅かされることもあるけれど、大勢が連帯して声を上げることで社会を動かすこともできる。わかりやすい例が、2017年に始まった#MeTooムーブメントです。映画界の女性たちが連帯して、ハリウッドの悪しき慣習を変えた。以来、シスターフッドを扱った映画やドラマが次々に誕生。例えば『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のように命懸けで権利を求める女性の闘いは本来のフェミニズム運動に通じるものがあります。

でもZ世代のシスターフッドはもっとカジュアルで、『ベティ/スケート・キッチン』がおすすめ。女の子同士の連帯って大事だよねという精神を忘れずに、今ある権利を勝ち取ってくれた女性たちに思いを馳せてくれたらいい。それと、今後は男性のシスターフッド参加も重要でしょう。女の子だけでは世界は成り立たないわけで、男性も女性が抱える問題点や悩みと向き合うことで互いの理解が深まると思います」(今さん)

今祥枝さんのおすすめ

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』

権利を手に入れるため。時には命を落とすことも!?

アメリカ内戦によって誕生した全体主義国家ギレアド共和国に拉致され、妊娠・出産要員〈侍女〉となったジューンの闘いを描くディストピア(暗黒郷)物語。「権利を剥奪された女性たちがジューンに勇気をもらって、命懸けでレジスタンス活動をする姿は、かつてのフェミニズム運動と同じ。ただ内戦前のボストンでジャーナリストとして働いていたジューンは女性の権利を当然と思っていたので実際に闘い始めるのが遅く、第4シーズンでは14歳の少女からなじられもします」。シーズン1〜4、Huluにて独占配信中
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『ベティ/スケート・キッチン』

ゆるくても繋がっているZ世代の絆が心地いい。

ニューヨークに実在するガールズ・スケーター集団「スケート・キッチン」メンバーの日常を追うドキュメンタリー調の青春ドラマ。「スケボー界は、男性社会。女子一人でスケート・パークに行っても男の子の縄張りだから、なかなか入れない。でもスケボーを愛する女の子同士で行けば楽しく練習できる。スケボーを通じて深まる絆が尊いものに思えます。何かと闘うとか共闘するなんて意識はなくとも、Z世代のシスターフッドは自然体で成立するんです」。シーズン1&2 U‐NEXTにて見放題で独占配信中
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『ミセス・アメリカ 〜時代に挑んだ女たち〜』

女性の権利獲得運動がシスターフッドの原点。

1970年代のアメリカでフェミニストによるERA(男女平等憲法修正条項)の議会通過を目指す運動が盛り上がる一方、伝統的な性別による役割分担を支持する主婦たちが反対運動をスタート。果たして女性の権利は? 「グロリア・スタイネムやフィリス・シュラフリーが登場し、女性の連帯が簡単じゃないとわかります。と同時に男性が女性を分断させてきた戦略が苦々しい。女性を分断する圧力がどこからくるのかをいま一度考えさせるし、だからこそ女性たちの連帯が重要だと実感します」。配信再開待機中
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いま・さちえ 映画・海外ドラマ評論家。数々の女性誌や文芸誌、WEBなどで独自の視点による作品評論やコラム、エッセイなどを執筆。『小説すばる』『日経エンタテインメント!』ほかで連載中。著書に『海外ドラマ10年史』(日経BP)。

※『anan』2021年11月17日号より。取材、文・山縣みどり

(by anan編集部)