どんな展覧会?

【女子的アートナビ】vol. 227

本展では、柳らが蒐集した陶磁器や染織、木工、蓑などの生活道具や民画とともに、出版物、写真など総点数450点超の作品と資料を展示。

「民藝運動の父」と呼ばれた宗教哲学者の柳宗悦(1889-1961)の没後60年という記念の年に、彼の活動を振り返りながら、時代とともに変化しつづけた民藝の試みを俯瞰的な視点からとらえなおします。

日本の美しい「モノ」を守る!

1925年、柳宗悦と陶芸家の濱田庄司(1894-1978)、河井寬次郎(1890-1966)は、民衆がふだん使っている生活道具に“美”を見いだし、「民藝(民衆的工芸)」と名付けます。

柳らが民藝に注目したのは、工業化が進み、大量生産されるモノが出回りはじめた時代。職人によって生み出された昔ながらの美しい「モノ」が失われていくことに憂慮し、日本の伝統的な手仕事を維持し、文化を守るための「民藝運動」を進めていきます。

具体的に、彼らはどんな活動をしたのでしょう? 

まず、民藝品を集めることから開始。日本各地を旅し、旧家や朝市などを訪れてさまざまな民藝を探し、蒐集していきます。

さらに、欧米にも行き、イギリスでウィンザーチェアなどを買い付け、海外の生活スタイルや椅子文化を日本で紹介。東洋と西洋を比較し、世界の工芸やデザインの流れも見ながら、日本各地の民藝を発見していきます。

雑誌がおしゃれすぎ!

柳らは、集めた民藝を雑誌や展覧会で広めていきます。

1931年には、民藝運動の機関誌として雑誌『工藝』を創刊。写真や記事で、民藝の美などを紹介しています。

表紙には織物や漆絵が使われ、用紙は各地の手すき和紙を使用。紙や布がテーマとなっている号では、実物が貼り込まれています。

会場に展示されている雑誌は、表紙デザインがすごくおしゃれ。装幀や小間絵は、染色家の芹沢銈介や陶芸家の河井寬次郎など民藝の同人が担当し、素材も作り手もかなり贅沢です。

1936年には、日本民藝館が完成。集められた作品を展示紹介し、さらに日本各地の作り手と協力して新しい民藝品を売る店も開きます。

日本の大事な手作り文化を保存、紹介するだけでなく、新しい民藝品を流通させるという点も民藝運動の大切な活動のひとつでした。

鉄瓶も藁沓もかわいい!

それでは、展示品のなかから、驚くほどモダンでかわいい民藝を2点ご紹介。

ひとつは、展覧会のメインビジュアルにも使われている《羽広鉄瓶》。山形のものですが、このような鉄瓶は寒い地域でお湯を沸かすときに使われていました。持ち手もフォルムもとってもキュート。羽のように広がる部分は、熱が伝わりやすくするための形であり、使いやすさが重視されたデザインです。

もうひとつは、《藁沓》。雪の上を歩くためのものです。豪雪地帯の農村で、農作物のできない冬に副業として制作し、販売していました。米粒をとった稲わらを使い、手で編んでいます。素朴でかわいく、とても暖かそうです。手元に残った稲わらを使い、日用品として循環させていく生活はエコライフそのもの。当時のような暮らし方を見習えば、持続可能な社会が実現できそうです。

本展のさまざまな民藝や、その歴史に触れることで、今のライフスタイルについても新たな気づきを得られそうです。

展覧会は2022年2月13日まで開催。

Information

展覧会名  :柳宗悦没後60年記念展『民藝の100年』
会期    : 〜2022年2月13日(日)※会期中一部展示替えあり
休館日   :月曜日[ただし、2022年1月10日(月・祝)は開館]、年末年始[12月28日(火)〜 2022年1月1日(土・祝)]、1月11日(火)
会場    :東京国立近代美術館
開館時間  :10:00〜17:00(金・土曜日は20:00まで) *入館は閉館の30分前まで
観覧料   :一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料

問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)

※最新情報などの詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。