若さ、熱意、葛藤……ツウなあの人にとって青春って何だろう? ナルホドのセレクトから意外な一作まで。読めば、観れば、きっと誰かと“青春”したくなる、そんな偏愛作品について熱く語ってもらいました! ここでは、フリーアナウンサー・宇垣美里さんの“私の青春作品”に注目!

フリーアナウンサー・宇垣美里さんの“青春作品”『スキップとローファー』

思いがけないところから人間関係が広がっていく。

私は漫画が大好きで、ジャンルを問わずさまざまな作品を楽しんでいるのですが、ここ最近は淡い恋愛だけでなく人と人とのつながりを描いた少女漫画が増えてきているように感じます。自分の青春時代を振り返ってみても、決して恋愛のことだけを考えていたわけではないし、実は中高生にとっては友達同士の人間関係の方が重要だったりしますよね。漫画の中で描かれている人間関係の築き方は、大人になった今でも学ぶべき点がたくさんあるんです。

そんな中、特に心を掴まれたのが『スキップとローファー』。石川県の田舎から東京の進学校へ入学した主人公・みつみちゃんは、朴訥としていて一生懸命で、人と接する上で垣根があまりないタイプ。そういう彼女がクラスにいることによって、初めは雰囲気の違いから苦手意識を感じていた子たちも、「話してみたら気が合うじゃん!」って気づけたりして、思いがけないところから友情の輪が広がっていくんです。大人になったらわかるけど、「雰囲気が似てるから」や「趣味が同じだから」とかじゃない友達って、とても貴重じゃないですか。作中でも、みつみちゃんと同居するおばのナオちゃんが「誰かと本当の友達になれるチャンスってそうそうないのよ」と言っているシーンがあり、強く頷きました。出会いをきっかけに新しいことにチャレンジしたり、みんなにポジティブな変化が起こるのは、まさに人と出会えた時の醍醐味。それって一人っきりでは到達できないことだなと思います。

中学生の頃に読んだ『ぼくは勉強ができない』も、同じく読んでいて世界が広がるストーリー。先生をはじめとする大人たちとの対話も心に残り、立場の違う人と関わることによって自分の気づきが増えるということを知りました。自分という存在がまだ固まりきっていないからこそ、いろんなことを柔軟に受け入れたり、大人が当たり前だと思ってしまうようなことにも「なんで?」と疑問を抱けたり。そういうピュアな姿勢には青春を感じますね。

私自身も高校時代の友人とはとても仲が良くて、今でも頻繁に遊んでいます。それぞれが違う進路を選んでタイプの違う大人になりましたが、何者でもなかった頃に出会った子たちはいつ会っても居心地がいいなとしみじみ感じます。仕事では老若男女さまざまな方にお会いしますが、常に意識しているのは、相手に対してあまり先入観を持たないようにすること。初めは合わなさそうだと思っていた方と親しくなれたこともあるし、話してみないとわからないことも多いと思うんです。

『スキップとローファー』 高校入学を機に上京した、成績優秀だけどどこか天然な岩倉美津未。彼女のまっすぐな言動が、周囲の人の心に変化をもたらしていく。高松美咲/講談社 1〜6巻 726円・748円 ©高松美咲/講談社

『ぼくは勉強ができない』 勉強は苦手だがサッカーが得意で女性にモテる、主人公の時田秀美。学校に居心地の悪さを感じる彼の大切なものはすべて、学校の外にある。クールな彼が、時に悩みながら躍動する青春小説。山田詠美/新潮文庫 473円

うがき・みさと 1991年、兵庫県生まれ。フリーアナウンサー。『週刊SPA!』や『週刊文春』では趣味を生かした執筆も行っている。近著に『今日もマンガを読んでいる』(文藝春秋)などがある。

※『anan』2022年1月12日号より。イラスト・アボット奥谷 取材、文・大場桃果

(by anan編集部)