専門家やYouTuber、TikTokerなど流行りに敏感な人たちがいま気になっている物事の中には次なるブームが眠っているのでは? “コンテンツ全部見”の名のもと、ドラマや映画の考察動画を数多く配信しているXXCLUBの大島育宙さんに、今注目すべき3つのコンテンツについて教えてもらった。

押さえておきたい3つの大きな流れ。

「まずは大人気の考察ドラマから。『あなたの番です』で一大ブームとなり、最近はヒューマンドラマやホームコメディでも、視聴者が前のめりになるようなどんでん返しや伏線回収が盛り込まれるようになりました。もし地上波の放送回を見逃しても、むしろ配信サービスでシリーズを一気見できる楽しみがあります。副音声やHuluのオリジナルストーリーのような副次的要素も充実し、SNSのおかげでドラマ好きが意見を交換し合える。YouTuberの考察動画も深読みの助けになりますよね。まずは1話見て、自分の好みで考察しやすいドラマを見つけるといいかなと思います」

バラエティではテレビプロデューサーの佐久間宣行さんが作るコンテンツが外せないという。

「最近は作品本数が多いのでチェックするのが大変ですが、お笑い好きならできるだけ網羅してほしいです。なぜなら『トークサバイバー!』が『キングちゃん』の企画をベースにしているように、佐久間さんが今やっていることは数年後に別の形で生きてくる可能性があるから。見ておいて損はないと思います」

Jホラーの動きも気になるそう。

「今はリアリティを重視する時代なので、ナラティブというか、語るに足るストーリーテリングの存在が大事だと思っています。事故物件や都市伝説が刺さるのは、人づてに聞く噂話だからですね」

ドラマ、バラエティ、ホラーとジャンルが異なるコンテンツにも、実は共通項があるのだそう。

「どんなジャンルも、チャレンジが多様化しないと盛り上がらない。僕は考察ドラマも、佐久間さんの番組も、Jホラーも、それぞれのチャレンジが明確な意図を持って行われていると感じています。今後の展開も非常に楽しみです」

ここでは、Jホラーの注目作品を大島さんが教えてくれました!

Jホラー・都市伝説モノが再燃!

近年、Jホラーの「第2期ルネッサンス」が来つつあると思っているんです。第1期は1996年の『女優霊』、1998年の『リング』、2000年の『呪怨』。それまでは時代劇=怪談だったものが“Jホラー映画”として現代劇で演じられるようになった。心霊ブームも起こりましたが、残念なことにその頃起こった大事件で“オカルト”の扱いがタブー視されてしまう。2000年代には“都市伝説”と言い換えられ『やりすぎ都市伝説』の影響を受けカルチャーが定着。その頃2ちゃんねるやテキストサイトで長文の都市伝説ブームが起こったんですが、これがYouTuberの間でリバイバルし、東映の村シリーズが誕生しました。『犬鳴村』は「犬鳴峠」、『樹海村』は「コトリバコ」、『牛首村』は「牛の首」と、全てネットで囁かれた都市伝説三部作です。事故物件も人気の題材。『リング』のVHSテープにはもう感情移入しづらいけれど、噂や伝説、事故があった物件というリアリティはいつの時代も同じ。都市伝説系と事故物件系が現代Jホラーを牽引する2本柱ですね。

『きさらぎ駅』

ネットを騒がせた神隠し事件を映画化。

2ちゃんねるに「はすみ」と名乗る人物が書き込んだ都市伝説を元に、恒松祐里主演で映画化。新浜松駅から遠州鉄道に乗った女性は、掲示板に“きさらぎ駅”という見知らぬ無人駅に着いたと書き込んだが、途中で投稿が止まり神隠しが疑われた。6月3日公開予定。「2004年にオカルト板に書き込まれた都市伝説が元ネタです。リアルタイムで書き込まれる文章への半信半疑な気持ちを、実写映画でどう表現するのか期待しています」©2022「きさらぎ駅」製作委員会

『犬鳴村』

“都市伝説×怪村”の豪華マリアージュ。

臨床心理士の女性の周辺で不可解な出来事が起こり始める。奇妙なわらべ歌を口ずさんで気がふれた女性、消息を絶った兄弟、次々と見つかる変死体。その背景に、「犬鳴トンネル」の存在が浮かび上がった。2020年公開。「2ちゃんねる発の『犬鳴峠』は、村の要素は実は多くはないです。同じく掲示板で盛り上がった“怪村ブーム”をマリアージュしたのが東映の村シリーズです。都市伝説を閉鎖的な空間と組み合わせることで、恐怖が増進されています」

『呪怨:呪いの家』

実際に起こった事件を元にした異色作。

Jホラーの名作『呪怨』を、シリーズに長年携わってきた高橋洋と一瀬隆重による共同脚本、三宅唱監督による再解釈で蘇らせたNetflixオリジナル作品(Netflixで配信中)。「まさに、止まってしまったJホラーブームの波を現代に蘇らせようとした試み。昭和や平成に実際に起こった事件を史実として盛り込んでいるため賛否も出ましたが、僕は『あの事件は本当にあったよね』という部分に引き戻そうとしたチャレンジとして、非常に面白いと感じました」Netflixシリーズ『呪怨:呪いの家』Netflixにて全世界独占配信中

『残穢‐住んではいけない部屋‐』

第2期ルネッサンスの源流? 奇妙な音の正体は。

小野不由美の小説を映画化。とある小説家の女性は、女子大学生から「住んでいるマンションの部屋で奇妙な音がする」と書かれた手紙を受け取った。調査の結果、その部屋から転居した住人たちが不可解な死に遭遇していることを知る。2016年公開。「今のJホラーの源流はこの作品じゃないかと。つまり第1期における『女優霊』と同じポジションになる気がしています。ということは2025年頃に『リング』のような国民的ホラーが誕生するかも?」
『残穢【ざんえ】‐住んではいけない部屋‐』DVD&Blu‐ray発売中 ¥4,620(DVD版) 発売元:株式会社ハピネットファントム・スタジオ 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング©2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会

おおしま・やすおき 1992年、東京都生まれ。お笑い芸人、YouTuber。東京大学法学部卒業。2016年にお笑いコンビ「XXCLUB」でデビュー。YouTubeチャンネル「コンテンツ全部見東大生」で映画やドラマの評論や考察を行う。『西川あやの おいでよ!クリエイティ部』(文化放送)水曜コメンテーター。

※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・松崎亜紀 取材、文・飯田ネオ

(by anan編集部)