フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第39回目はムッシュ・ル・シャ(Monsieur Le Chat)さま。

小さなアパートの暗い部屋で生まれた猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol. 39

猫さまの話をもっと聞かせて! 



ムッシュ・ル・シャは4歳半の男性猫さま。バーマンという種類のお母さんから生まれました。


いま僕は都会と田舎の間にある広い庭のある家に住んでいます。掲示板サイトで僕のことを見つけた飼い主は一瞬にして恋に落ちたと言っています。すぐに投稿した人に連絡し、その夜に片道2時間運転して行きました。そしてとても驚いたと言います。そこは小さなアパートの暗い部屋で、子猫と親も何匹かいて、病弱な僕を連れて行くことに躊躇しなかったと。それ以来ずっと一緒に暮らしています。



朝は飼い主を起こすのが日課です。寝室のドアを押し開けて飼い主に寄り添い、起きる時間だよと伝えます。それから朝のごちそうを待ちます。スプーン一杯のパテです!

それから走りまくる時間になり、時には飼い主にも攻撃します。ネズミのおもちゃが大好きで、投げられるとソファへジャンプします。ネズミを捕まえたらそのまま寝落ちします。時には飼い主と一緒に長い昼寝をすることもあります。



テレワーク中の飼い主にちょっかい出したりスリスリしたりしています。午後になったら、再び走りまくる時間です。気まぐれで奇妙なジャンプ、まるでサーカスのような芸も披露します。夕方飼い主がテレビ番組を見るときは、彼女の足元のソファの上で伸びています。寝る前に、2番目のごちそう(2番目のスプーン1杯のパテ)か出てきます。そして抱きしめてもらい、キャットツリーで夜を迎えます。



僕は寒がりなので冬より夏が大好き! 夏は外に出て楽しんだり、昆虫を狩ったりするのが好きで、夕方には疲れてしまい、ソファで寝てしまいます。



食事のことでは、大好物のパテとカリカリは問題ないのですが、時たま飼い主が味見させてくれる肉やハムや魚は、舐めるだけで全然興味がないのです。飼い主は昼夜を問わずボウルにセルフサービスのカリカリを入れておいてくれますが、特別な食事をしないので心配しています。クリスマスに他のごちそうが出てきたのですが全然だめでした。



知らない人には少し臆病です。最近は飼い主の言葉もわかるので、答えるように少し声を出して反応します。少しうめき声を上げますが、気分を害しているわけではありません。例えば「抱っこ」と言われればスリスリするし、食事前の「お座り」という言葉も覚えました。特技は蟹のように横に走れることです。みんなを大いに楽しませることができる芸人です。



ーー飼い主は幼い頃から猫を飼っていたそうです。その子が亡くなった後は、しばらくの間、猫を飼うことを諦めていましたが、ムッシュ・ル・シャに恋に落ちました。弱っていたので獣医に連れて行きましたが、現在も小さな後遺症が残っています。今でもあの暗いアパートの光景が目に焼き付いているそうです。あそこから連れ出すことができたのはムッシュ・ル・シャにとっても飼い主にとってもラッキーだったのでしょう。

飼い主には子どもがいませんが、ムッシュ・ル・シャは息子のようだと言います。彼の世話をし、彼が病気のときは夜起きて看病します。いつかは彼と離れる日が来るでしょう。望んでいるのは、彼が苦しまないことです。できるだけ長生きし、可能な限り甘い死を迎えることを望んでいます。それから彼を実家の庭に埋めます。自分が子ども時代に飼っていた猫と家族の犬の隣にお墓を作りたいと力説していました。

本当に愛情たっぷりな関係を聞かせていただきました。末長く幸せが続きますように!

取材、文・Manabu Matsunaga

取材、文・Manabu Matsunaga