爆破もお手のもの! 実験系YouTuber。

「うちの車庫でスイカに輪ゴムを巻いて圧をかけて遊んでたんです。で、どうせならカメラで爆発するシーンを撮ろうって。そしたら友達が覗いた瞬間にスイカが爆発して。動画を見たら、友達のアゴがありえないくらい伸びてた(笑)」

友達と、試しに動画をアップしたら、学校のみんなから面白いと反響があった。それが嬉しくて、以来仲間たちと放課後の遊びを撮影するように。だが、高校に入るとメンバーたちが勉強を理由に泣く泣く脱退。りくさんはひとりでチャンネルを守ることに。

「感覚を切り替えて、全てをYouTubeにぶつけると決めました。誰よりも本気でやる、動画制作の神を目指すというか(笑)。高校生は伸びる時期だって聞いてたし、得意なこと、好きなことに振り切ろうと。そのかわり苦手な勉強は捨てる。勉強するのが当たり前な世界だったからこそ、逆に勉強ではない方向に集中するというのは、新しくて特化してることだよなと。遊びも全部断りました」

面白い動画を作りたい! 駆け抜けた高校時代。

授業中も企画書を書き、帰って動画制作にいそしんだ。企画と編集担当に加え、出役もこなした。

「僕がやりたくないことを友達にやらせて楽しむのが好きだったんですけど、まさかそれが全部自分に回ってくるとは思いませんでした(笑)。でも『もっと面白い動画を作りたい』っていう気持ちがモチベーションだったし、そのためには頑張るしかないなって」

友達も家族も応援してくれる環境のなか、高校3年間を動画制作に費やした。高1のときに作った「ペットボトル100本で空を飛ぶ」は、独自の発想とテンポの良さに、コメント欄が「面白い!」で溢れた。じわじわと注目の高校生YouTuberになっていったりくさん。高3になり進路を考える時期が訪れたが、どこの大学を目指せばいいか決められなかった。勉強で日本一になると言い脱退した元メンバーに相談したら、「慶應SFC目指しなよ」と返事が。

「学長の『出る杭を伸ばす大学です』という言葉に惹かれました。遊んでないで勉強しなさい、と言われ続けてきた僕にはこの言葉がすごく魅力的に聞こえて。やっと波に乗れたときに活動休止をするのは前代未聞で事務所にも猛反対されましたが、YouTubeを始めるにあたって、大学に入ることは両親との約束だったので半年間活動休止させていただき、人生で一番勉強しました。僕は“The出る杭”だったので、自分で言うのもなんですが僕しか知らないような特殊な知識と経験を膨大に持っていて、それがとてつもなく力になりました」

培った物作りの経験と知識を武器に、慶應義塾大学環境情報学部に合格。いざ入学してみると、大学には変わった人ばかりだった。

「何かを突き詰めてる人が多いんですよ。とんでもないエンジニアもいるから、『こんな装置の作り方わかる友達いる?』と聞くと『見つけたよ』って。その繋がりにすごく影響を受けていますね」

ただ、高校と違って常に全員が集まるクラスがあるわけではない。面白い出来事は自分で探しに行かなければ出合えなくなった。

「最近はゼミの後で友達とごはんを食べたり、週1で休むようにしてます。友達に『いい加減休めよ。まだ大学生だろ』って言われたこともあって。何年も遊びを断って動画を作るのが当たり前だったから、なかなか慣れなかったですけど。コロナ禍でひとりだった時期もあったし、改めて誰かと話す時間って大事だなと思いました」

海外視聴者も虜に。“楽しい”は無限のモチベ。

りくさんの動画はサクサク楽しめるのが魅力だが、ただノリでふざけているわけではない。準備には1か月以上をかけ、爆破企画は採掘場を借り、万全を期して撮影を行う。一本一本が大切な映像作品であり、根底にはクリエイターとしての熱い思いがある。

「毎回誰もやったことないことなんで、なかなかうまくいかないんです。でも“できるまでやる”をモットーにしているので、失敗オチを動画にはしない。せっかくみんなが忙しい時間を割いて見てくれてるんだから、最後は笑ってほしくて。その気持ちでやり続けていると、最初にイメージした画が作れるようになってくるんです」

実験器具を作るスキルも、長い活動のなかで磨いたものだ。

「小さいときから工作は好きでしたけど、工業高校出身だったわけでもない。初期の動画を見てもらうとわかるんですけど、当時使ってたのは大半が段ボールとガムテープなんです。でも“楽しい”って思いながら学ぶときの成長力ってすごくて、今では鉄も扱えるようになりました。YouTubeさまさまなんですよ」

実は海外からも熱い注目を浴びている。発端は高3のときに作った「巨大扇風機のパワーがエグすぎる!!」だ。業務用の巨大扇風機の強風度合いを確かめるため、りくさんがあの手この手で風を浴びる動画。国内外を問わず凄まじい反響があり、なんと登録者数が1日で8万人も増えたという。

「日本人ではありえないことなんです。数字を目的にしてなかったんですが、そこで海外の視聴者という分母のデカさを知りました」

今では9言語ほどの翻訳を付けている。海外でウケる理由とは?

「画で見てわかる面白さだと思います。基本的に言葉を必要としませんから。ただ、日本の場合はちょっと違くて、言葉やツッコミで笑いが起こることも多いんです。あえて言語をゼロで作ってみたら日本の反応が弱かった。正解はないので、リアクションを強めたりして試行錯誤しています」

数字を追い求めた時期もあったが、初心に立ち返ったという。

「数字のために動画を作ると、遊びが仕事になってしまう。だから遊びを守り抜くのがいちばん大事。“楽しい”感情でやるから時間が10分くらいに感じられる。“楽しい”って無限のモチベなんです」

ストイックに動画を作り続けるりくさん。その志はとても高い。

「YouTubeってスマホで見るじゃないですか。テレビと違って、画面に集中してグッと見てくれるけど、それってめちゃくちゃくすごいことで。自然に生まれた信頼関係のもとで動画を見てもらうわけだから、それに甘えて5分の動画を20分に引っ張って出したりしない。できるだけ凝縮して面白いものを出さないといけない。僕たちクリエイターの使命は信頼を守ること。それがYouTubeという空間をより面白くしていくと思うんです」

すしらーめん《りく》/チャンネル登録者数604万人

1999年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部在籍中。中2で実験動画を作り始め、’13年に友達とYouTubeチャンネルを開設。当初「すしらーめむ」で登録したため、一度作り直している。著書に『いたずらの魔法』(KADOKAWA)。

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シャツ¥37,400(コントール/アンシングス TEL:03・6447・0135) 中に着たTシャツ¥14,300(ザ インターナショナル イメージズ コレクション/ノウン TEL:03・5464・0338) パンツ¥35,200(タンジェント TEL:050・5218・3859) その他はスタイリスト私物

※『anan』2022年6月22日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・井田正明 ヘア・高橋佑大朗 メイク・小玉星宇美 取材、文・飯田ネオ

(by anan編集部)