トラウデンさんが音声ガイドに初挑戦!

【女子的アートナビ】vol. 248

『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』では、ドイツのケルン市が運営するルートヴィヒ美術館が所蔵する優れた作品を展示。20世紀初頭から現代までの油彩画や彫刻、立体作品、映像、写真など全152点が出品されます。

ルートヴィヒ美術館が開館したのは1986年。同館は、ドイツの市民コレクターたちによる寄贈を軸にしながら、コレクションを増やしていきました。

本展では、カンディンスキーやウォーホル、ピカソ、リキテンスタインなど、美術館が所蔵する代表的な作品を楽しめるだけでなく、市民コレクターたちの活動も紹介。ドイツにおける美術と社会の強いつながりも知ることができます。

今回、展覧会の音声ガイドを担当したトラウデン直美さんにインタビューを実施。楽しみにしている作品やアートの魅力などについて、語っていただきました。

トラウデン直美さんにインタビュー!

――まず、今回の音声ガイドを担当されて、いかがでしたか。

トラウデンさん こういった音声ガイドのお仕事は初めてでしたので、そもそもどういう風に読んだらいいのかな、と家でもイメージをふくらませていました。絵を見ている方の邪魔にならないように、変に意識をとられすぎないようにと心がけました。

――どんな展覧会になりそうですか。楽しみにしている作品などありましたら、教えてください。

トラウデンさん 有名なピカソとか、みんなが知っているアーティストによる目玉作品も楽しみですけど、近現代の作品もけっこうあります。それらは見てわかる、というものではなくて、「これはなんだ?」という不思議な感覚になる作品が多くありそうで、そちらも楽しみです。

特に、音声ガイドのなかでご紹介した《天使の5つの翼》(ハインツ・マック作)という作品は、直接見ないとわからないだろうなと思いました。写真で見るのではなく、本物のほうが感じるものがありそうです。この作品だけでなく、すべて本物を見られるのを楽しみにしています。

絶対「なんか好きかも」作品があります!

――特に現代アートは、わかりづらい作品もあり、難しそうなイメージをもつ人もいるかもしれません。ananの読者はトラウデンさんと同世代の方々が多いのですが、今回の展覧会、若い人たちにも刺さる内容だと思いますか?

トラウデンさん 思います! 私も、まったくアートは詳しくはないのですが、ただ、「なんか好きかも」みたいな感覚って、ありますよね。特に、今の若い人たちは、その感覚を大事にされている方が多いと感じているので、絶対にこの展覧会のなかにひとつは「なんか好きかも」作品があると思います。

あと、抽象的な作品であればあるほど、説明のつかない「なんか好きかも」があると思います。私みたいな素人でも、感覚で楽しめる作品がすごく多そうだな、というのを展覧会の資料を見せていただいて感じました。

まだ、実物は見ていないのですけど、私が「なんか好きかも」と感じたのは、緑の正方形を描いたアルバースの作品《正方形へのオマージュ:緑の香》。緑色が好きなんです。今日のスカートも緑(笑)。

未来の人に見てほしい…

――ルートヴィヒ美術館には、文化・芸術を次世代に継承したいと願うドイツの市民コレクターが寄贈した作品が多いと聞きました。トラウデンさんも、「日本の伝統工芸シリーズ」という番組をYouTubeで発信されていますが、やはり、文化を未来に残したいというお考えもあるのでしょうか。

トラウデンさん 私は、自分で何か(芸術)作品をつくっているわけではないので、そんな高尚な番組ではないのですが、私自身、日本の伝統工芸を「すごくステキだな、美しいな、きれいだな」といつも思って見ています。それをぜひ、未来の人にも見てほしいな、という気持ちはあります。自分が好きだからこそ、未来の人にも「美しいな、いいな」と思ってほしい。

たぶん、(市民コレクターのような)みなさんも、好きだったものを残したいという気持ちがあり、アートには価値があるということを未来の人に伝えたかったのだと思います。それで作品が残されてきて、今、私たちの目の前に届いている。このことは、うまく言葉には表せないですが、すごく感慨深いです。

――ちなみに、トラウデンさんがコレクションしているもの、したいものはありますか?

トラウデンさん コレクションしたいのは、お皿です。ご飯がとにかく好きで、食べるのもつくるのも好き(笑)。お皿は重要だと思うので、いいお皿があれば集めています。

最近、祖母が家のリフォームをするため整理をしていて、そのときにステキなお皿や小鉢が出てきたので、もらったりしています。お皿も受け継いでいけるものですし、長く使えたりしますよね。そんな魅力があるので、お皿を集めたいです。

壁や境界がないのがアートの魅力

――トラウデンさんが思う芸術・アートの魅力を教えていただけますか?

トラウデンさん 素人目線で私なりの考えですが、「自由さと思い」なのかな、と。アートは、「禁止」がない。自分が感じていることを、アーティストの方がつくっていきます。それがいろいろな時代を経ていくので、第一次世界大戦や第二次世界大戦を経験しているアーティストの作品があり、ピカソも戦争に対する疑問を描いていたりします。そういうことができる場所がアートなんだなと思います。

思想警察がいて、捕まってしまうような時代背景のなかでも、伝えていける手段がアート。それに心を動かされる人たちがいるし、守りたいと思う人たちがいる。その部分では、アートは自由であるべき場所。

それと同時に「思い」について。アートは、言葉にしてはいけない空気のなかでも「思い」を伝えられるもの。逆に、言葉にできないものを「思い」として表現して伝えていけるし、言語も越える。その意味では、生きている人たちに共通の言語がアートなのかなと思います。

全然違う文化で育っている人たちがアートを見ると、つくっている人たちの「思い」とは違う見方をするかもしれません。でも、それも肯定してくれる寛容さがあり、壁や境界がないのがアートの魅力、と素人ながら感じています。

――最後に、展覧会を楽しみにしている読者の方にメッセージをお願いします。

トラウデンさん 目にうれしい、いろいろな作品があります。カラフルだったり、写真があったり、飽きない展覧会になりそうです。もちろん玄人の方は、玄人目線で楽しめると思いますし、私のような素人でも楽しく見られるだろうなと感じました。

ぜひ音声ガイドを聴いて、市民コレクターの方の思いも感じていただけたら、よりいっそう楽しく見られると思います。ご自身の「なんか好き」を見つけて帰ってください。

――ありがとうございました!

インタビューを終えて…

インタビュー中も撮影中も、にこやかでかわいらしい雰囲気だったトラウデンさん。アートについては素人と仰っていましたが、その魅力について語る言葉は奥が深く、いろいろ考えさせられました。

トラウデンさんが思いをこめて語られた音声ガイドを聴きながら、ぜひ展覧会でご自身の好きな作品を見つけてみてください。

『ルートヴィヒ美術館展』は6月29日より東京・六本木の国立新美術館でスタート。その後、京都に巡回します。

Information

会期    :6月29日(水)〜9月26日(月) ※毎週火曜日休館
会場    :国立新美術館 企画展示室2E
開館時間  :10:00〜18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
観覧料   :一般¥2,000、大学生¥1,200、高校生¥800
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
※最新情報などの詳細は展覧会HPをご覧ください。