意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日中国交正常化50周年」です。

50年の間に刻々と変化した力関係。直接対話を求む。

9月29日、日中国交正常化50周年を迎えました。習近平主席は非常に平和的、友好的なメッセージを打ち出し、日本側も中国の覇権主義に対して一定の重しをかけながらも、両国の発展のために協力し合っていきたいというメッセージを送りました。国際社会でロシアが孤立するなか、世界の信用を得ようとするあたりは、習近平主席のしたたかさが垣間見られた印象です。

文化大革命を経て集団指導体制をとっていた中国でしたが、近年は永久国家主席を狙っているのではないかと推察されるほど、習近平主席に権力が集中しています。“一つの中国”を掲げ、香港の自由を奪い、次のターゲットが台湾であることは間違いありません。

これまでに日本と中国は4つの政治文書を交わしてきました。1972年に田中角栄首相と周恩来首相の間で日中共同声明を。1978年には福田赳夫首相と鄧小平党中央委員会副主席との間で日中平和友好条約を結び、互いの領土を尊重し合うことを確認。これを機に日本は中国に政府開発援助(ODA)を大胆に入れていきました。1998年には小渕首相と江沢民主席の間で日中共同宣言を交わしました。このときは中国への侵略行為に反省を示し、日中の関係を調整しました。2008年に福田康夫首相と胡錦濤主席が出した日中共同声明のキーワードは、戦略的互恵関係。尖閣問題など、日中関係が冷え込みましたが、互いに恵み合える戦略的なパートナーシップを作りましょうと手を打ちました。

これらの文書を振り返っても、中国が次第に力を持ち、日本の立場がだんだん弱くなっていることが明白です。習近平体制のなかで、岸田政権が5つ目の文書を交わすかどうかが注目されましたが、50周年式典のなかでは何もありませんでした。日中首脳会談も、2019年を最後に開かれていません。

今後、台湾問題は避けて通れませんし、世界が注視する中国の海洋進出問題、電子戦や宇宙戦、軍事的パワーを強めている中国と、これからどう対峙していくのか、日本の技術力や安全保障政策が問われます。友好を前面に打ち出した50周年、これらの問題もしっかりコミットしてほしいと思います。

ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00〜)が放送中。

※『anan』2022年11月23日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)