GWが明け、いつもの日常が戻ってきました。今週は積もり積もったタスク処理に追われ、ヘロヘロに疲れている人も多いでしょう。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、心身ともに疲れると自律神経やホルモンの分泌バランスが乱れ、婦人科系の不調が感じやすくなるのだそう。愛先生が月経痛が重くなりやすいNG行動と対処法を教えてくれます!

最近、月経痛が酷くなっていませんか?

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 213


GW直後はストップしていたものが、いきなり動き始め、やることが山のように積みあがりますよね。息をつく間もない1週間だったという人は多いのではないでしょうか。そして、忙しいときに私たちが感じるのは、プレッシャーや集中力が続かないことなどの多大なるストレスではないでしょうか。

また、それに加え日中やりきれなかったタスクの処理に追われ、睡眠時間が削られてしまうこともあると思います。その結果として、女性の場合には、月経痛やPMS、おりものの変化、月経不順など婦人科系の不調を感じる可能性が高まります。

今回の月経痛はちょっと重かったなと感じている人も多いかもしれませんね。1か月の通信簿のようにして現れる月経痛ですが、もしもいつもよりひどいと感じてしまっていたとしたら、睡眠、ストレス、食事、姿勢、運動、入浴などの見直しをして、1つでも改善できるポイントを増やしていくことをお勧めします。ということで、今週はストレスや忙しさが極まり月経痛を強く感じてしまった人のための食薬習慣を紹介していきます。

今週は、月経痛がひどいときの食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
今週もお疲れさまでした。心身ともに疲れると女性のカラダにはさまざまな不調が現れてきます。男性と違い、1か月の中で女性ホルモンの分泌にリズムがあり、元気を保つためにはそのバランスを保つ必要がありますが、バランスの乱れが生じた場合には不調を感じやすくなってしまいます。

女性ホルモンの分泌は、自律神経や血流、食事内容なども関わるため、忙しくなり何気ない毎日の生活をおろそかに扱ってしまうと、途端にカラダに不調として表れてしまいます。そのため、新年度で慌ただしかった4月、一息つくことができたGW、連休明けの激務と生活スタイルが翻弄されていた人は、婦人科系の不調を強く感じてしまう可能性があります。

漢方ではこのことを自律神経が乱される『肝気鬱結』やそれによって血流も悪くなる『気滞血瘀』などと表現します。また、鉄欠乏ぎみである『肝血』が不足しがちな人は、より不調を感じる傾向にあります。そこで、今週は『肝血』を補い『肝気』を巡らせる食薬がおすすめです。食べるとよい食薬は、【アスパラの大葉肉巻き】です。そして、逆にNG行動は、骨盤のゆがみにつながり、血流を悪くしてしまう【足を組むこと】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:アスパラの大葉肉巻き】

ストレスが多い時は、ストレス解消に役立つ香り高い大葉が『肝気』を巡らせてくれます。また、元気の源である豚肉、代謝を高めるアスパラを組み合わせることで『気血』を補い、多方面からサポートしてくれます。心身ともに疲れてしまったときには、豚巻きを作ってみましょう。豚バラまきに大葉はすごくあいますよ。

<材料>
豚バラ  200g
アスパラ 1束
紫蘇   10枚
塩・胡椒 お好みで

<作り方>
アスパラに、紫蘇、豚バラの順番で巻き、巻き上がったらアスパラを3等分にする。
フライパンで両面焼いて塩と胡椒で味を整えたら完成。

NG行動【足を組むこと】

足を組むと当然お尻のどちらかに体重が乗りつづけることになるため、骨盤のゆがみに繋がります。その結果、骨盤内臓器が圧迫されたり、血流が滞ったり、腰痛を感じてしまうことがあります。骨盤周りの血行が良いことは、婦人科系を整えるために必要なことだと皆さんご存じだと思います。不調を感じる人は、全部完璧にすることは無理なので、1つでもNG行動を減らしていけるように努力してみてはいかがでしょうか。体調を整えるためには、カラダの中と外からの両方のアプローチが大切です。

女性の不調は、酷い人の場合、月経痛、排卵通、PMSと1か月の間ほとんど何かしらの悩みを感じることもあります。快適な時間をどれだけ増やすことができるかどうかということには、自分の日常の生活習慣も少なからず影響するものです。見直すことができるポイントはないか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。

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文・大久保愛