家で食事をすることが増え、料理に合わせて器を選ぶ楽しさを感じている方も多いのではないでしょうか。陶磁器やガラス、漆器、世界各国の器など、17人の器好きたちに使い方を見せていただいた本誌No.67の特集「器と日々の生活」より、料理研究家・中川たまさんの器使いをご紹介します。

フランスのアンティークの大皿はティーセット用のトレーとして使うことも。微妙に違う白のニュアンスが繊細で美しい。

白い器のニュアンスを楽しむ。

料理家・中川たまさんの料理の魅力をひと言で表すとしたら、それは〝彩り〞だと思う。季節の野菜やフルーツをふんだんに使った料理はどれも素材の色が生かされ、器の中に花が咲いたよう。そしてその料理をひと際引き立てるのが白い器だ。 「もともと白という色が好きで、服もインテリアも気づけば白を選んでいます。食器は和洋問わず、現行のものも古いものも気に入れば手に取りますが、なかでも一番好きなのはフランスのアンティーク食器です」

豆皿やココット皿も古いバットに収納。和洋新旧さまざまだけれど、食卓に並ぶと不思議と統一感が出る。

人を招き、自宅で料理を振る舞うことも多い中川さん。が、取り皿やティーカップは、ほとんどが〝揃い〞ではなく、作られた場所も年代もさまざま。それでも食卓に統一感があるのは、すべてが〝白〞だから。
「アンティークの食器はセットで使うと少し豪華すぎたり、甘すぎたりしてしまいがち。でも形や色み、ニュアンスが少しずつ違うと、肩の力が抜けた感じになっていいんです」

たけのこご飯をフランスのアンティーク皿に。角がありつつも丸みのあるフォルムはオリエンタルな雰囲気で和食によく合う。大胆な金継ぎの跡も渋い。
同じフランスのアンティークでもこちらは繊細で華やかな印象。ケーキなどに使うと甘くなりすぎるので、あえて春巻きなどの中華料理を盛ることが多い。
可憐なフォルムと青みがかったカラーが清々しいプレートは陶芸家・安藤雅信のもの。和と洋のエッセンスが同居する佇まいはどんな料理にも馴染む。
一番気に入っているフランスの古い大皿は金継ぎと貫入の表情を見せるためにあえて盛りは小さく。オレンジと菜の花の鮮やかな色を引き立ててくれる。

たとえ揃いの皿でも、一つには金継ぎがされていたり、別のものには繊細な貫入が入っていたりと、同じ表情のものはひとつとしてない。
「年月を経て刻まれた器の表情がアンティークの最大の魅力。とくに白い器は金継ぎや貫入のニュアンスが出やすいので、個性が際立ちます。欠けてしまっているものもありますがそれも器の愛おしい個性なんです」
世界にひとつしかない器は、使うたびに愛着が増す特別な存在だ。

中川たま
料理家

暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた料理や手仕事を提案。近著に『器は自由におおらかに おいしく見える器の選び方・使い方』(家の光協会)がある。

photo : Yumiko Miyahama text : Yuriko Kobayashi
※『&Premium』No. 67 2019年7月号「器と日々の生活」より

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