京都で和菓子の制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子と文とで表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。    

 

京都御苑
枯葉せんべい

 

 京都市内の地図を広げると、中心に緑の長方形をすぐに見つけることができる。そこが京都御苑。京都御所の周りを囲むようにある緑地で、東西約700m、南北約1300mの範囲に及ぶ。
 市民の憩いの場として愛されるこの場所では、 老若男女が散歩や日光浴、読書、昼寝……と、自由に過ごす。都会と自然が程よく混じり合うこの風景を見ると、「ああ、ここは京都なのだ」としみじみ感じてしまう。
 植物も種類豊かで、梅や桜、桃と、四季折々に楽しめる。秋には木の葉が色付き、やがて落ち葉になって、辺りはシャクシャクとした音の出る絨毯に。この上を音を鳴らしながら歩くのは、大人だって楽しいもの。
 落ち葉の触感を踏み締めるだけじゃなく、噛み締めたい、と生まれた枯れ葉のお菓子。サツマイモと米粉をベースに食感を表し、風味はほろ苦く、スパイシーな香りに仕上げる。そして、枯れ葉をおいしく食べるためのアイスを添えた。口で味わいながら脳内に広がる風景は、いつ訪れても変わらない、自然豊かな京都御苑だ。

 

京都御所を囲む公園では500種を超える約5万本もの植物が育まれている。『京都御苑』京都市上京区京都御苑3 075-211-6348 入苑自由

photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』2022年12月号より。


和菓子作家 杉山早陽子

1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰。