朝、目を覚ますと必ず、同居人の伸ばした腕の下に猫がいる。寝ぼけていて、脇からついに猫が生えてしまったのかと思ってしまうくらい密着して猫がいる。

普段は抱っこも好きではなく、撫でられるのもちょっと迷惑そうな顔をしているしらす。どうしてか、朝はほぼ毎日同居人の顔の最前線にいる。ここで注目してほしいのは目の前でじっと見られていること。と、言いたいところですが、本当はたまに起きていて観察されている時もあるし、ほとんどは目を開けたまま、ぐーすか寝ている。なんにせよ、なぜか生活の中で一番近い距離感にいる瞬間は、いつも同居人の目覚めの瞬間だ。

ブブブブブ……と冷蔵庫が発するあの音に似たような音をどこからか鳴らしながら、いつもいる。もちろん舌出しも忘れずに。目覚めの瞬間に目に入る顔がこんなのんきな顔だと、ふふふと笑いながら楽しく起きることも多々。そして、しらすが寝ている時は無制限の撫で撫でチャンス。手を動かすと起きそうなので、頭と密着している手首あたりを使い、ゴシゴシ動かしながら撫でています。そんな時間を満喫したいがためにアラームは絶対に起きなくてはいけない時間の30分前にセットするようになりました。ほぼ毎日のこととはいえ、この時間はとんでもなく愛おしいものです。


しらす しらす

モデル・小谷実由さんと暮らすしらす。名前の由来は、グレーの背中の真ん中に白い毛が生えている様子が、背中にしらすを乗せて歩いているように見えたことから。跳ね上げアイラインのような丸い目で美猫と思われがちだが、本当は舌が年中出ているおとぼけ猫。同居歴は7年目。特技は引き戸を人間と同じようにガラリと開けること、住み慣れた場所を初めて来たような顔でうろうろすること。本誌2022年7月号にて、わたなべとしふみさんによるしらすの紹介イラストを掲載しています。