「マクロス」シリーズ最新作『マクロスΔ』の完全新作劇場版、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』が10月8日(金)に公開される。

テレビシリーズは、西暦2067年、人間を凶暴化させる奇病「ヴァ―ルシンドローム」が蔓延する銀河を舞台に、その対抗手段として結成された戦術音楽ユニット「ワルキューレ」とそれを守護するΔ(デルタ)小隊の活躍が描かれた。

映画はその1年後、ワルキューレの前に現れた新たな脅威「Yami_Q_ray(ヤミキューレ)」との戦いが描かれる。



キャッチコピー「銀河争奪歌合戦」さながら戦闘シーンもライブシーンも、あらゆる点がテレビシリーズよりもスケールアップし、「マクロス」らしさが詰まった本作。その中でも、ファンにとって大きな注目のひとつは、同シリーズ初代から天才パイロットとして活躍したマックスことマクシミリアン・ジーナスが登場する点だろう。

そこで今回、マックス役の速水奨さんと、『マクロスΔ』のヒロインで、本作を支えるフレイア役の鈴木みのりさんにインタビューを敢行。ともに「マクロスシリーズ」のキャラクターを代表作に持つお2人に、キャラクターや本作への想いについて話を聞いた。

『マクロス』で人生が変わった2人

――『マクロスΔ』の新作が制作されると聞いた時、お2人はどんな思いを抱きましたか。

鈴木:最初に新作のお話を聞いたのは、横浜アリーナでのセカンドライブ(※)の数か月後でした。『マクロスΔ』の物語はテレビシリーズで一区切りついたものと思っていましたから、フレイアたちのその後に出会えるのが嬉しかったです。

(※編集注:2017年1月28日に行われたワルキューレの2ndライブ「ワルキューレがとまらない」)

速水:僕は多分、収録の2カ月くらい前にこの話をいただきました。ずっと河森さんに「出してください」と嘆願していたので、やっとそれが叶いました(笑)。

――ずっと出演を嘆願されるほどのマックスというキャラクターは速水さんにとってどういう存在ですか。

速水:名刺ですね。プロフィールの代表作に最初に書くのがマックスですし、僕の声優の歴史とリンクした存在です。初めて、オーディションで勝ち取った役で、あの時合格していなかったら今声優をやっていないと断言できます。



――鈴木さんもオーディションでフレイア役に選ばれ、本作でデビューとなりましたから、やはり人生の大きな転機となった役ですね。

鈴木:そうですね。よく「8000人の中から選ばれた」と言っていただくのですが、それは私が芝居と歌が一番上手かったのではなく、フレイアというキャラクターに一番フィットしたということだと思っています。その分、私自身と切り離せない役だと思いますし、速水さんがマックスを名刺だとおっしゃったように、私にとってもフレイアはそういう存在で、一生付き合っていくキャラクターの1人だと思っています。

――デビュー作で名刺となるキャラクターを得られたのは大きな財産ですね。

鈴木:本当にありがたいことですし、視聴者の方もキャラクターの成長と一緒に私の成長も見守ってくれているんだと思っています。だからこそ、フレイアに恥じない自分でいたいですし、より成長していくことが私の課題です。



マックスの歳の取り方は理想的

――成長という点で、今回のマックスの姿はどう思われましたか。『マクロス7』の時は、50歳を超えても姿は若々しさを保っていましたが、今回は変化しています。

速水:すんなりと、「ああ、あの何年後のマックスはこういう感じなんだ」と受け入れられました。しかし、すごく身体鍛えていますよね。あれぐらい鍛えていないとパイロットとしてGの負荷に耐えられないでしょうね。

『マクロス7』の時は、男として一番脂の乗っている時期だったでしょうけど、今回は70歳を超えて孫も立派に成長しているし、本来なら悠々自適に引退している年ですが、すごく良い年の取り方をしていて、自分もこんな風に年をとれたらいいなと思いますね。



――今回、マックスを演じるにあたって、年齢をどの程度意識したのでしょうか。

速水:登場シーンの時は若干意識しました。でも、バルキリーに乗ってからは、だんだん若くなっていったような気がします。やはり、パイロットとしての血がたぎるんですね。アニメの場合、キャラクターの年齢感はある程度度外視していい時もあると思っています。

――鈴木さんはデビューから5年経ち再びフレイアを演じてみて、ご自身の成長を感じる部分はありましたか。

鈴木:そうですね。2018年の『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』の時は、テレビシリーズのストーリーをもう一度演じることになったので、何も知らないフレイアに戻るのが大変でした。
でも、今回は色々な経験を経た大人になりつつあるフレイアでしたから、自分も成長した分だけ演技に込められるものもありましたし、台詞にも、今の私だから込められるニュアンスがあったと思います。



――昔演じたキャラクターを久しぶりに演じるのは大変なのでしょうか。

速水:大変ではないですね。それで思い出すのは、初代『マクロス』の音響監督、本田保則さんと別の作品の収録でご一緒させていただいた時のことです。10年前に演じた役をもう一度やることになったんですが、本田さんが「青春ってなんだろう」って突然言い出したんです。アフレコブースの中のみんな、頭にはてなマークが浮かんでました(笑)。

それは要するに、10年経てばテクニックも身に着けているから、それを使って役を良くしていこうと思いがちだけど、望まれているのはそういうことじゃない、キャラクターは当時の年齢で止まっているから、その時点での新鮮な感情をテクニックではなく感性で演じてほしいというディレクションだったんですよ。

――その複雑なディレクションが「青春ってなんだろう」の一言に込められていたのですか。

速水:そうなんです(笑)。鈴木さんも5年経てば、意識が変わる部分もあったんじゃないですか。

鈴木:デビュー当時、私はこの作品に集中して仕事をしていましたが、今は他の作品にも出演させていただいているので、だからこそ、フレイアに必要ないテクニックや余計な思いが入ってきてしまうこともあります。ただ、それを全て取り除くのも違うかもしれませんし、難しさは感じました。



――その辺りの感覚で、河森監督や音響監督の三間さんからディレクションは何かありましたか。

鈴木:台本をいただいた後、河森監督と個別にお話させていただく機会があったんです。そこで、監督の本作にかける思いや、物語の中でフレイアを通して何を伝えていきたいかなどをお聞きしました。
私は、それで意気込みすぎたのか、前半パートで元気なフレイアに振り切ってしまい、三間さんに「絵に合わせて芝居しているように見える」と言われたんです。

例えば、フレイアがウィンダミアの村長さんに謝るシーンで、絵がギャグっぽくなっていても、フレイア自身はギャグを言いたいのではなく、心の奥底から謝りたいと思っているわけです。そういう点を「絵に合わせている」と指摘してくださったんです。

声優としての武器は周りが見つけてくれる

――映画公開後、ワルキューレのサードアルバムも発売されます。ワルキューレとしてのレコーディングはいかがでしたか。

鈴木:ワルキューレとしてライブやフェスには定期的に出演していましたが、レコーディングは久々だったので、デビュー当時の思い出に浸りながらやらせていただきました。

――声優アーティストが一般的な歌手と異なるのは、キャラクターとして歌う時があることです。とりわけ、鈴木さんはそれが前提でデビューされた方ですが、自分として歌うことと、キャラクターとして歌うことはどのように違いますか。

鈴木:例えば、「愛してる」という歌詞があってフレイアとして歌う時、それはハヤテに対する気持ちだと思います。じゃあ、私の場合はというと、お客さまに大切な誰かを思い浮かべてほしかったりとか、私自身の感じ方とフレイアの感じ方は違うはずなので、それを混同しないように気を付けています。



――声優が歌うのが当たり前の時代ですが、速水さんもラップに挑戦したりと本当に色々なことに挑まれていますよね。漫才や落語にも挑んでおられます。

速水:決して、自分が好奇心旺盛というわけではないんです。最初の頃はマックスのような役の主人公やライバルキャラが多かったですけど、ある時期から、この声でおかしなキャラクターを演じる機会が増えてきて、自分がフリー素材みたいになってきたんです(笑)。だったら、自分も速水奨をフリー素材として使おうと思ったんです。

――ご自身をフリー素材と割り切るのはすごいですね。今後挑戦されたいことなどはあるのでしょうか。

速水:コロナ禍前に小学校で朗読会をやっていたんで、それは続けたいと思っています。小学校低学年の子たち僕のことを知らないから、素直に「じょうずでした」と感想をくれるんですよ。色紙で作ってくれた飾りをプレゼントされたりして、これは僕にとっての金メダルだと思いました。



――速水さんは後進の育成にも力を注いでおられますが、今の若手声優について何か思うところがありますか。

速水:本当にみなさん上手ですし、しっかりしています。鈴木さんの今日のインタビューの受け答えも、きちんと自分の想いを言葉にできている。僕も勉強しなければと思わされます。

鈴木:すごくうれしいです。自分ではまだまだだと思っていますし、同世代で私より活躍されている声優さんもたくさんいるので、自分の武器はなんだろうと悩むことがあるんですけど、そういう風におっしゃっていただいて自信になります。

速水:武器は自分で自覚するものじゃなく、周囲の人が見つけてくれるものだと思っています。僕は、自分の武器がなんだろうって悩んだことはないです。そういうことは、考えても埒があかないんですよ。駄目な時は駄目で、それは自分に合わないかめぐり合わせが今じゃないというだけなので、それを自分のせいにするのは違うと思うんです。

鈴木:ありがとうございます。一時期、自分の武器が何か考えすぎて、もっと面白いことした方がいいのかなと思っていた時期があるんですけど、答えをいただけた気がしました。



――最後に、本作をこれからご覧になる観客に向けて、メッセージをお願いいたします。

鈴木:この劇場版をお届けできるのは、ファンのみなさんの応援があればこそですから、みなさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。ワルキューレやΔ小隊のみんな、ウィンダミアの人たちそれぞれが役目を全うして生きている姿が描かれていますので、是非、すみずみまで楽しんでいただければと思います。

速水:たぶん、2回は観たくなると思います。1回だけでは消化しきれないほど、それぞれのシーンの密度が濃くて、目と耳から入ってくる情報がすごく多いですから、是非2度見してください。

――ありがとうございました!


完全新作劇場版『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』(同時上映『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』)は、2021年10月8日(金)より、TOHOシネマズ池袋ほか全国ロードショー。


現在は映画前売券付きブロマイドが販売されている他、公開前日の10月7日22時からは、SHOWROOMおよびYouTube「マクロスch」にて、特番『劇場版マクロスΔ冒頭5分29秒を一緒に観よう!!!!!! 〜マクロスは絶対とまらない〜』の配信を予定。その名の通り、配信では『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の冒頭5分29秒を視聴できる。