2018年から「週刊少年ジャンプ」で連載中の大人気漫画『呪術廻戦』(著:芥見下々)。コミックスの累計発行部数は最新19巻で6500万部を突破。初の劇場映画となる『劇場版 呪術廻戦 0』は、4月28日時点で興行収入135億円超と大ヒットを記録中。7〜8月には舞台版の上演も控えており、2023年にはTVアニメの第2期が放送開始予定だ。


現在ジャンプ本誌で連載中の「死滅回游」編では、大量に新キャラクターが登場し、バトル描写含めてさらに作品のテイストやカラーに変容が見られる『呪術廻戦』。アニメ!アニメ!では、『呪術廻戦』呪胎戴天編の放送に伴い、「虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)」「伏黒恵(ふしぐろ・めぐみ)」「釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)」「五条悟(ごじょう・さとる)」の4人のキャラクターにそれぞれフォーカスし、その魅力を考察する短期集中連載を実施する。

なお、言及範囲に関してはアニメ1期&劇場版までに留めるため、アニメ勢の方もご安心を(原作コミック8巻第63話まで。ただ、今後のアニメ化予定のエピソードでそれぞれのキャラに壮絶な試練が多数巻き起こるため、ぜひ原作も追いかけていただきたい)。

第2弾となる本稿では、伏黒恵にフォーカスを当てる。

※以下の本文にて、本テーマの特性上、作品未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さいませ。


そもそも『呪術廻戦』って?

人の負の感情から生まれた“呪い”と、それを祓う“呪術師”の戦いを描く物語。「呪いの王」と称される両面宿儺の“器”となった高校生・虎杖悠仁は、呪術師としての訓練を積むために養成機関である東京都立呪術高等専門学校(通称:呪術高専)に入学。仲間たちと共に、様々な任務をこなしていく。



基本的な人物情報:伏黒恵編

まずは伏黒恵(ふしぐろ・めぐみ)の基本情報をおさらいしよう。埼玉県出身の15歳。東京都立呪術高等専門学校1年生であり、2級呪術師。基本的に熱くならず、冷静沈着なタイプだが、戦闘時にキレかける一面も(TVアニメ第8話の東堂葵との戦闘時など)。他者に対してシビアに接する部分もあれば、仲間には人情家の顔を覗かせたりと、本来は感情豊かな血の通った人物でもある(幼少期から無茶ぶりを受けている五条悟に対してはキレやすい)。

呪術師としての才能はもちろん(その背景は、複雑な生まれが起因している。アニメ化範囲で示唆されている部分は第5話・23話ほか限定的だが、今後色々明らかに……)、素の戦闘力も高く、中学生時代には地元の不良や半グレをことごとくブチのめしており、いまだに恐れられている(TVアニメ第22話より)。

幼少期より支え合ってきた姉・津美紀(現在は謎の“呪い”で昏睡中。第5話・第23話を参照)を誰よりも大切にしており、感情が爆発しそうになった際には彼女の教えがブレーキになるなどかなりの影響を受けている。五条悟。また、「恵」という名前の由来は父親が性別を知らなかったためらしい。


戦闘スタイル:伏黒恵編

様々な能力を持つ式神を召喚して戦う「十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)」を駆使しつつ、自身も直接戦闘に参加(時に剣術も使用)。使役する式神は玉犬(ぎょくけん)・鵺(ぬえ)・蝦蟇(がま)など動物の姿をしている。

影を操る術式であり、自身の影の中に呪具(呪力や術式がこめられた武具)などを格納できる技を開発(第19話での呪霊・花御との戦闘時に披露)。前述の十種影法術も含め、敵の虚をついて先の先を行く戦闘に秀でており、仮に格上の敵だとしても形勢逆転を図るなど戦闘の組み立ても上手い。伏黒の戦術眼が突出している証明でもあろう。

ただ、彼自身がまだ発展途上なのも事実。TVアニメ第23話では、五条に稽古をつけてもらっている際に「本気の出し方を知らない」「自他を過小評価した材料でしか組み立てができない」「もっと欲張れ」と指摘されている。

その言葉を受けて覚醒した伏黒が23話で発動したのが、不完全な領域展開「嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)」。領域展開とは、ざっくりいうと『呪術廻戦』における必殺技で、展開後は必中効果が付与される。つまり、攻撃が必ず当たるのだ(例外や対抗手段もあり)。伏黒が第23話で発動したものはまだ未完成だったものの、それでも呪霊を圧倒した。

また、奥の手として「布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)」という技を持っている。これまで第5話・23話で発動しかけたが、いずれも途中でキャンセル。五条は「最悪自分(伏黒)が死ぬ」と意味深な発言をしており、伏黒のポテンシャル含め、まだまだ謎が多い。両面宿儺が伏黒に固執しているのも、この奥の手に起因しているのか……?

主義・信念:伏黒恵編

伏黒の主義・信念を示す言葉はいくつかある。その最たるものは「俺は不平等に人を助ける」だろう(第5話)。これまでも、助ける相手を選ぶ(第2話の「(処刑対象である虎杖を)死なせたくありません」ほか)傾向があり、平等に「正しい死に導く」をモットーとする虎杖とはたびたび衝突していた。第4話で虎杖に放つ「自分が助けた人間が将来人を殺したらどうする」などは、その一例だ。

幼少期からさまざまな不平等にさらされてきた伏黒は「悪人が嫌いだ」「善人が苦手だ」(第23話)という考えがあり、呪術師になったのも本人の意志ではない(五条の働きかけにより、呪術高専の伏黒と津美紀に対する金銭的援助と引き換えに伏黒は呪術師になった)。そういった背景から、伏黒は「俺は正義の味方(ヒーロー)じゃない。呪術師なんだ」(第5話)という自らの居場所へとたどり着く。ある種エゴイスティックな主義・信念だが、このアンチヒーロー的ポジションは『呪術廻戦』全体を通じた伏黒の特長といえるだろう。

ただ、決して冷酷非道ではないのが伏黒の魅力。同級生である虎杖や釘崎、先輩たちの身を常に案じており、虎杖の死に対する哀しみを隠そうとする釘崎への気遣い(第5話)や、重傷を負いながらも禪院真希を優先して助けようとする(第19話)、虎杖が両面宿儺の“器”になったことで呪いの動きが活発化したことを隠そうとするなど(第24話)、愛情深さを随所で覗かせている。



第1期の中での歩み:伏黒恵編

今後アニメ化されるエピソードでのますますの活躍に期待がかかる伏黒。最後に、彼の歩みを、TVアニメ第1期最終話(24話)までの内容でざっと振り返ってみよう。

第1話:宮城での任務中に虎杖と出会う。その後、虎杖は伏黒たちを助けるため宿儺の指を食べ、一体化
第2話:虎杖の死刑撤回を五条に嘆願
第3話:釘崎と対面。出番がなくてすねる
第4話:虎杖・釘崎と少年院の任務へ。呪霊との戦闘中、玉犬(白)が破壊される
第5話:宿儺と戦闘(気に入られる)。虎杖の意をくみ、彼の死を看取る
第6話:上級生との訓練中に、戦闘力UPのアイデアを思いつく
第8話:東堂に絡まれ戦闘に。キレかけるがパンダ・狗巻棘らに仲裁される
第9〜第13話:京都校との交流会に向けて特訓
第14話:虎杖と再会
第15〜21話:京都校の加茂憲紀と戦闘→乱入してきた花御に重傷を負わされる
第22話:任務で母校へ。中学時代の秘密がバレる
第23話:呪霊との戦闘中に領域展開を発動。勝利を収めるも、気絶
第24話:宿儺の受肉による“呪いの共振”を虎杖に漏らさぬよう、釘崎に口止め


そののちは、五条の過去を描く「懐玉編」「玉折編」を経て(伏黒にも深く関わるエピソードだ)、超ボリュームの「渋谷事変編」へと突入。伏黒の内面もさらに深掘りされていくため、放送開始を楽しみに待ちたい。