連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」

 忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。今回は「有酸素運動を続けているのに痩せられない疑問」について。

 ◇ ◇ ◇

 多くの方にとって、最も身近な有酸素運動といえばウォーキング。思い立ったその日からできることもあり、健康目的、ダイエット目的で始められる方が非常に多い運動の一つです。

 一方、「ウォーキングを頑張って続けているのに痩せられない」という悩みも、講演会の参加者や知人からもよく聞かれる「ダイエットあるある」の一つ。今回は「有酸素運動を続けているのに痩せられない」という疑問にお答えしましょう。

 痩せられない要因の1つ目は、摂取カロリーと消費カロリーの収支バランスの問題です。毎日、しっかり歩いていたとしても、摂取カロリーが消費カロリーを上回っていれば、痩せられない。これは、ダイエットのセオリーの基本です。

 ウォーキングは誰もが手軽にできる反面、残念ながらエネルギー消費量はとても少ない運動です。例えば、50分間のウォーキングを消費カロリーに換算すると約100kcal(体重や強度により多少差はあります)。100kcal程度では、1回の間食や、食事をちょっと食べ過ぎるだけで、アッという間に歩いて消費した分をオーバーしてしまいます。

 その点、ランニングは消費カロリーもグッと高くなります。同じ100kcalを約10分で消費することができるため、比較的、ダイエットの成果が出やすい運動です。

 とはいえ、油断は禁物。「走ったから大丈夫」と飲み食いしていては、簡単に消費したカロリーをオーバー。やはり成果は出にくくなります。

 第2の要因は、そもそも筋肉量が少ないことが挙げられます。

 食事によって得たエネルギーをたくさん使ってくれる器官は筋肉です。筋肉量が少なければ基礎代謝が低く、当然、脂肪燃焼率も低い。だから、有酸素運動を頑張って続けていてもなかなか成果が出ない、ということも考えられます。

 また、有酸素運動は脂肪を効率良く燃焼をする一方、筋肉を破壊してエネルギーを作る、という反応を起こします。ボディビルダーの方たちが積極的に有酸素運動をしない理由もそこにあります。

 ですから、例えば週4日、ウォーキングやランニングをしているのであれば、2日は筋トレの日に変えてみましょう。筋肉量が上がることで、今よりも脂肪燃焼率が上がると思います。

オススメは「プラスαの『メリット』を作ること」

 そして、3つ目の要因として考えられるのは、継続性の問題です。

 先日、取材にこられたライターさんは、「私もランニングをしているのですが、全然痩せられない」と言っていました。どのぐらい走っているんですか? と聞いてみると、「2週間に1回ぐらいですね」という答えです。

 みなさんはこの答えを聞いて、どう思われましたか?

 うちのパーソナルジムに初めてこられた方にヒアリングしていても「月に2回はジムに行っています」「週1回は走っています」と言われる方は割りといます。でも、正直、週1回の運動で得られる消費カロリーは、月単位で見ると「運動をやっていない」のに等しいほど微々たるものなのです。有酸素運動の種類は、ウォーキングでもランニングでもいい。ただし、運動によるダイエット効果を期待するのであれば、やはり週3日〜5日は体を動かしたい。耳の痛い話だと思いますが、成果を出すためには、運動を「月数回のイベントごと」ではなく、「日々の習慣」にすることがとても大切なのです。

 そこで、やる気はある、でもどうしても頻度が少なくなってしまう、という方にオススメしたいのが、有酸素運動を行う際、プラスαの「メリット」を作ることです。

 まずは試しに、買い物や銀行に行く用事があるならば、自宅のすぐそばではなく、いつもならバスや車で移動してしまう、2km程度離れた場所まで行くようにしてみてください。大人の脚ですと、だいたい2、3kmの距離を歩くだけで、4000〜5000歩にもなります。

 また、「あのパン屋さん気になるんだよな……でも駐車場がないから車ではいけないんだよな……」と思ったら、面倒くさがらず、走っていく。パン屋は私自身の話ですが(笑)、そうやって気になるお店に行くときも脚を使う。このように色々な場面で、「用事のついでに運動をする」習慣を、生活に取り入れてはいかがでしょう?

 何より、ちょうど10月、11月の気候は、外で運動するには絶好の気候です。それほど着こまなくてもいいし、歩いたり走ったりしても、恥ずかしいほど大汗をかくこともありません。それに、昔は大人がジャージ姿で街を走っていると奇異な目で見られましたが、今はなんとも思われない時代。そのままカフェでお茶をしても誰も気にしません。

 用事が一つ済んだり、気になる店をの覗くことができたりするついでに、体もスッキリしてくれば一石二鳥。さらに、気持ち良かった! というイメージで終われば、また走ろう、歩こうというモチベーションにもつながります。ぜひ、自分なりの楽しみ方を見つけてください!(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

中野ジェームズ修一
1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。クルム伊達公子選手の現役復帰にも貢献した。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。主な著書に『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(大和書房)、『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)などベストセラー多数。