闘将を熱くさせたワンプレーを選出、10月は「磐田加入のMF遠藤が直接FKを決めた瞬間」

 サッカー界で最も熱い男が選んだ、漢を感じる熱いプレーとは。

 J2ジュビロ磐田MF遠藤保仁が、10月25日の第29節ザスパクサツ群馬戦(3-1)で今季初ゴールとなる直接FKを決めた。横浜フリューゲルスでデビューした1998年以来、自らが持つ歴代最長記録を更新するリーグ戦23年連続ゴールを達成。昨季限りで現役引退した元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は、スポーツチャンネル「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との企画で、10月のJリーグの「月間最熱モーメント」にこの芸術的なFKを選出した。「THE ANSWER」のインタビューで遠藤が放つFKの凄さを語った。

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「ヤットさん(遠藤)から見ればちょっと近かったかなと思ったんですが、素晴らしかったですね」

 昨年現役引退し、ブラジルで実業家として活躍する一方、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」でブラジルの生活を魅力たっぷりに届けている闘莉王氏。そんな闘将が絶賛したのは40歳で新たな挑戦を決意した遠藤の一発だった。

 J2リーグ第29節群馬戦で3-1と勝利し、ホームで2試合ぶりの白星を飾った一戦。この試合で、今季ガンバ大阪からレンタル移籍で加わった遠藤が先発出場で直接FKを決め、移籍後初ゴールをマークした。前半29分、磐田はペナルティーアーク内でFKを獲得。絶好の位置から遠藤が正確な右足キックで狙うと、ボールは壁を越えてゴール右へと突き刺さった。このゴール、闘莉王氏は遠藤だからこそなせる“技術”が詰まっていると解説した。

「壁が近くなるあの位置は、技術がないとボールを落とすのが難しくなる。僕も見ていてどうするのかなと思った。ヤットさんの駆け引きに勝負があった。蹴ってくるのかなと思ったら、(遠藤が)少し時間かけていて、GKも壁に入っていた人たちも考えさせられた。そのひと呼吸かふた呼吸かで迷いを生んだ。ヤットさん賢いなと思いましたね」

 遠藤は今季G大阪で在籍20年目を迎え、J1リーグ最多出場記録も更新。だが、リーグ戦出場が11試合、先発出場は3試合にとどまっていた。出場機会を求め、1年でのJ1復帰を目指す磐田への期限付き移籍を決断。10月6日からチーム練習に合流すると、新天地デビュー戦となった第25節の松本山雅FC戦(0-0)から先発出場を続けている。挑戦を続ける名手が繰り出した直接FK弾に日本代表でチームメートだった闘莉王氏は思い出を語った。

田中マルクス闘莉王氏は2010年南アフリカW杯での遠藤との思い出を語った【写真:闘莉王TV提供】

思い出す2010年南アフリカW杯での一発「あれで僕らは予選突破できた」

「代表では練習が終わると中村俊輔、遠藤、そして本田圭佑の3人がFK練習していた。レベルがものすごく高くて、なかなかみなさんが見られないような練習だったのを思い出しますね。だからこそヤットさんの場合はゴールからもうちょっと2、3メートル離れた方が上手いんかなと思っていた。ヤットさんはFKのコース、速さだけではなく、駆け引き、ベテランの上手さがある。あの時の代表を思い出させるような」

 そのなかで闘莉王氏が一番印象に残っている遠藤のFK弾はやはり日本中を熱狂させた10年前の一発。ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会1次リーグ第3戦デンマーク戦、1点リードする前半30分に決めた直接FKだ。中央約25メートルの位置から綺麗な弧を描いてゴール。3-1で勝利した日本は決勝トーナメント進出を決めた。

「あれは違った。あれで僕らは予選突破できたといっても過言ではない。本当に印象的だったし、最も嬉しかった。あの時、(中澤)佑二さんと『これから僕らが勝負しないといけない』と話していたことを覚えています」

 遠藤がJリーグで直接FKを決めたのは2014年10月26日のJ1リーグ第30節FC東京戦以来6年ぶり。衰えない技術を示したJ屈指の名手の“復活”に闘将も思わず熱くなったようだ。

■田中マルクス闘莉王

 1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に。(小杉 舞 / Mai Kosugi)