43歳・松井俊英が現地発コラムで予期せぬ事態を回顧

 43歳でテニス界現役最年長ランカーとして有名な松井俊英(AFPグループ)が、新型コロナウィルス感染拡大の影響で封印状態だった海外ツアーを1年10か月ぶりに再開。「THE ANSWER」に現地発のコラムを寄稿した。今回はダブルスのパートナーの身に降り掛かった偽陽性トラブルを告白している。

 ◇ ◇ ◇

 みなさん、こんにちは。松井です。代表戦ATPカップを除いて、22か月ぶりに海外ツアーを回っています。パンデミックの影響で日本国内やアジアの大会の延期や中止が続く現状で、健康などのリスクを天秤にかけながら、ツアーに出るか、苦悩する日々が続いていました。

 しかし、国内でじっと待っていてもATPからプロテクトされているポイントも無くなってしまう。プロテニスプレイヤーとしてのキャリアが自然消滅してしまうのは絶対に避けたかったので、欧州でツアーを転戦することにしました。

 今回は上杉海斗選手とダブルスでコンビを組んで、ラファエル・ナダル選手の生まれ故郷、スペイン・マジョルカ島で行われた「ラファ・ナダルOP」を皮切りに、3大会に出場中です。コロナ禍で欧州にトッププレイヤーが集まっています。

 カテゴリーが1つ下のチャレンジャーの大会ですが、ナダルOPにはフェルナンド・ベルダスコ選手、レンヌの大会ではアンディ・マレー選手、リシャール・ガスケ選手ら、ダブルスでグランドスラム優勝の経験を持つ名手も参戦しています。ハイレベルです。

 久々のツアーなので、やはり実践感覚を取り戻すのが難しい。ナダルオープンは初戦負けでしたが、マッチポイントを手にしながらの逆転負け。次のカシス・チャレンジャーではベスト4でしたが、本来なら優勝できたはず。手応えを徐々に感じながら、今はスイスのビールに来ています。

 欧州では新型コロナウィルスのワクチンパスポートとPCRの陰性証明さえあれば、飛行機移動も、レストランの食事もスムーズです。日本で2度接種した際の証明書を携帯に画像データで記録しているので、それを提示すれば、オッケーです。

パートナーがコロナ陽性…強制終了の危機に

 スイスでは大きい駅の前にはPCR検査のテントが出ていますし、大会の会場でドクターが待機しています。プレイヤーは毎週水曜日にPCR検査を受けることが義務付けられています。

 そんな中、コロナ禍ならではのトラブルに見舞われました。先週のフランス・レンヌで行われた大会では初戦で負けてしまったのですが、試合後にパートナーの上杉選手がPCR検査の結果、陽性と判定されました。

 ルームシェアもすることがあったし、ずっと一緒にツアーを回っていた自分は陰性。それなのに、上杉選手は症状もない。ですが、陽性なら10日間、ホテルで隔離になります。最悪の場合、隔離後に帰国しなければいけない。ツアー強制終了危機の状況で、ATPからチャンスを手にしました。

 それはPCR再検査です。再検査の条件は2つ。ワクチン接種、もしくは新型コロナに6か月以内に感染し、回復していること。ホテルで隔離中の上杉選手の代わりに交渉しましたが、再検査の結果を待つ24時間はドキドキしていました。

 そして、結果は陰性。フランス国内のルールでは陰性でホテルからの外出は可能になったけれど、試合会場で練習はできない。ATPに掛け合って、もう一度再検査を受けて、陰性だったら会場で練習しても問題ないということになりました。

 再々検査の結果も陰性。3日間の待機後、練習を再開できました。

 実はこのレンヌの大会では新型コロナの陽性者が6人でました。ですが、再検査の結果、衝撃の6人全員陰性。上杉選手同様に偽陽性だったのか。検査したラボのミスだったのか……選手の間にもかなりの動揺が走っていました。基本的に大会が行われている国のルールに則って、大会やATP側も対処するので、もしも、スイスの大会で陽性反応が出ていたら、再検査の余地はなし。本当は陰性だったとしても、10日間の強制隔離でした。フランスで起きたアクシデント、不幸中の幸いというべきでしょうか。

 手洗い、うがい、鼻うがいを欠かさず、感染予防に気をつけながら、優勝という成果を持ち帰りたいと思っています。

■松井俊英(まつい・としひで)

 1978年4月19日、千葉県柏市生まれ。43歳。ATPダブルスランキング世界217位。シングルスランキング809位。私立八千代松蔭中学卒業後、カナダ・トロントのノースビュー・ハイツ・セカンダリースクールで単身語学留学を経て、ブリガム・ヤング大ハワイ校卒業。2000年にプロ転向後、06年、10年にデビス杯日本代表に選出。世界50か国以上を転戦し、19年には41歳で現役選手として世界最年長のATPランカーとなった。2年連続でATPカップ日本代表にも選出されるなど実力は健在。公式HPを中心に、SNSやオンラインサロンも展開中。(THE ANSWER編集部)