連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」

 忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。今回は「運動不足の人が始めるトレーニング」について。「THE ANSWER」公式YouTubeチャンネルの動画では、中野トレーナーが提案する「腹筋やウォーキングよりも先にやってほしい、2種目のトレーニング」を紹介しています。

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 運動不足の人が、まず始める運動と言えば、「腹筋」と「ウォーキング」です。

 運動習慣のない大人は皆、20代をピークに、年約1%の筋肉が減っていきます。そして減っていく筋肉のほとんどが下半身。下半身には全身の約7割の筋肉が集中しているため、筋肉量が低下するともれなく、基礎代謝もどんどん落ちてしまいます。これが「20代の頃は全然、太らなかったのに、30代から急に太りやすくなった」と感じる理由です。

 そして、太ってくると、多くの方がまず気にするのが「お腹」の脂肪。すると今度は、お腹が気になるからとおもむろに腹筋運動を始めたり、「いきなりランニングは難しいからせめて歩いて脂肪を燃やそう!」と考え、ウォーキングを始めたりします。

 でも、トレーニングは「落ちてくる筋肉を鍛える」のがセオリーです。

 ですから、運動習慣のない方は、腹筋運動でお腹を鍛えるよりも先に、下半身を鍛え、基礎代謝を上げるのが正解。そして、「筋肉を鍛える」方法は有酸素運動ではなく筋トレです。筋肉量をアップし、基礎代謝を上げれば、内臓脂肪が減り、お腹も凹んできます。まずは下半身の筋トレから行いましょう。

「THE ANSWER」YouTubeチャンネルで「運動不足の人が始めるトレーニング」を紹介

腹筋やウォーキングより先にやってほしい2種目のトレーニングを紹介

 もう一つ、運動不足が続くと衰えてくるのが「心肺機能」です。心肺機能を向上させるには、息がはずむぐらいの運動強度が必要です。しかし今まで、何も運動をやっていない人が、いきなりその強度の運動ができるか? というと難しい。むしろ、階段を上りましょう、早歩きをしましょう、ジョギングしましょうと言われても、ちょっと動くだけで息が上がったり疲れたりすれば、体を動かすモチベーションまで下がります。

 以上のことから、運動習慣のない人は腹筋運動やウォーキングよりも先に、まずは下半身の筋トレで筋肉量をアップする。そして心肺機能を鍛え、楽に動ける体を作ることがとても重要です。それから、腹筋運動やランニングを始める。これが、正しいトレーニングの順序です。

 今回の動画では、運動不足だと感じている方に、腹筋運動やウォーキングよりも先にやってほしい、2種目のトレーニングを紹介します。

 1種目目は「スプリット・スクワット」。スクワットでもいいのですが、通常のスクワットは両脚に等しく体重が分散されるため、30〜40代の方には強度が少し物足りません。筋肉量を増やすには「過負荷の原則」と言って、普段よりも筋肉に強い刺激を与え、傷つける必要があります。今回紹介する「スプリット・スクワット」は前脚と後ろ脚にかかる体重を7:3にすることで、前側の太もも、臀部を中心に強く刺激。しかも、太もも周りの筋肉には、エネルギー源に糖質をたくさん使ってくれる赤筋線維が多く、効率的にエネルギー消費できるだけでなく、鍛えることで脂肪をためづらい体になります。

 2種目目は心肺機能アップに有効な有酸素系のスクワット「バンザイスクワット」です。両手をあげると、体は心臓よりも高い位置にある手に血液を送ろうとするため、心臓の拍動が強くなります。すると、シンプルなスクワットよりも少ない回数で息が弾み、繰り返し行うことで心肺機能が向上しますよ。

「来年こそは本気で体を変えよう」という人に最適の準備運動に

 さて、みなさん、2021年はどのように過ごされたでしょうか? 昨年から続き、テレワークに移行する会社が増えたり、なかなか旅行や外出が難しかったりするなか、家でゴロゴロする生活にどっぷりつかっている人、逆に家籠り生活に危機を感じて運動習慣ができた人など、いろいろだと思います。

 ゴロゴロ生活にすっかり馴染んでいる方のなかには、きっと、来年叶えたい目標の一つに「運動習慣」や「体作り」を掲げる方はたくさんいらっしゃるでしょう。

 今回紹介したトレーニングは、簡単で手早くできるし、寒い冬空のなか、外に出なくてもいい。しかも、筋力と心肺機能を確実に上げられるので、これから運動に取り組みたい人の体作りにもぴったりです。

 来年こそは本気で体を変えよう、ボディメイクをしよう、と考えている方。ぜひ目標に向けての準備運動と思って、トライしてください。

中野ジェームズ修一
1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、以上サンマーク出版)、『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド完全版』(金哲彦著、高橋書店)など。