アドビ、リクルート、データスタジアムらと協働で新たな連携の形を模索

 新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮うようになってから、早くも2年が経とうとしている。未曾有の出来事に当初は戸惑いばかりが先行したが、状況を憂うだけでは何も生まれない。制限が多い新たな生活様式に順応しながら、社会は未来に向けて力強い一歩を踏み出している。

 スポーツ界もまた然りだ。一時はスポーツ界全体がストップしたが、それぞれが「ウィズコロナ」における新たな形を模索しながら未来に向かって前進。東京オリンピック・パラリンピックも開催が1年延期となったが、国際大会の新たな姿を示したと言えるだろう。

 その中で2020年6月、日本のアマチュアスポーツ界の中でいち早く活動再開のガイドラインを発表したのが日本ラクロス協会(JLA)だった。大半が大学生から競技を始めるというチャレンジ精神の持ち主で、競技生活から離れた後もコミュニティーの絆が深いという特性を活かし、JLAが旗振り役を務めながら学生の活動を支えるためのクラウドファンディングや成長戦略発表会などを実施。日本スポーツ界において斬新とも言える仕掛けに取り組んできた。

 その動きは2022年も止まらないようだ。昨年11月からスタートした3つの施策が本格的に動き始めた。

 学生時代にラクロスというスポーツを通じて得た経験が、社会に羽ばたいた後も意味あるものであってほしいと願うJLAは昨年、株式会社Criacao(クリアソン)の協力の下、学生の就職活動を支援するオンラインイベントを開催。そして今回は、大学生を中心としたJLA会員たちがチーム運営・強化に役立てられると同時に、社会人としてもプラス要素として生かせる学習プログラムを提供する「Lacrosse Breakthrough Campus -Musha-」というプラットフォームの運用を始めた。

 このプラットフォームでは、アドビ、リクルート、データスタジアムなど専門的な知見を持っている企業と協働し、これまでにない新たなスポーツと企業の連携の形を生み出していくという。その第1弾として、昨年12月15日からアドビ社提供による「クリエイティブディレクター育成プログラム」をスタート。合計18時間のプログラムでは、アドビ社を代表するクリエイターたちが同社製品「Photoshop」「Premiere Pro」「Aftereffects」などを使用した画像・動画制作のコツを指導するもので、定員を超える応募者の中から選抜された10人が参加している。

 1月8日からはデータスタジアム社が提供する「ラクロスアナリティクス・ブートキャンプ」(計8時間)が始まり、プロのスポーツアナリストがデータ分析の仕方を伝授している。1月12日からはリクルート社が新入部員の新勧活動を支援する計5時間のプログラム「リクルーティングワークショップ(GrowUpプログラム)」の提供をスタート。ここ2年はコロナ禍によりオンライン授業が増えたこともあり、対面での勧誘活動に苦しむ現状を反映してか、47チームから参加応募があり、新勧活動における実践的なマーケティングの方法について、グループワーク形式で学んでいる。

 この他にも新たに複数の企業からプログラム提供の打診があると言い、さらなる展開が期待されるプラットフォーム事業となりそうだ。

継続型クラウドファンディングやラクロス専門オンライン配信サービスにも着手

 いまやスポーツ界ではチームや選手の活動を支援するクラウドファンディングが一般的になってきた。JLAでも2020年4月に「READYFOR」で「Keep The Future of Lacrosse ラクロスの未来をつなごう。」というクラウドファンディングを実施し、開始から3日間で1000万円を超える支援が集まった。その支援を元にラクロスの楽しさを伝える広告をSNS上で展開。思うように新勧活動ができない学生たちをサポートした。

 その当時は一度限りで終わったサポートを継続的なものにしようと、昨年11月24日から同じく「READYFOR」を舞台に「Japan Lacrosse Founders(JLF)」というマンスリーサポートプログラムを開始。ひと月ワンコインの支援から日本ラクロスの未来を担う「共同創設者」になることができるサービスで、協会もチームも選手もファンも、みんなでスポーツの未来を作るプロセスに関わることができる新たなスポーツの在り方を目指すものだ。

 JLFでは支援金の使い道を「日本代表強化支援」「Lacrosse for Everyone」「メディアブランディング」「指定地区応援」の4コースの中から選択することができる。支援者には年に一度、オンラインイベントに参加し、自身の意見を発表することもできる特典が与えられる。スポーツ界では珍しいサブスクリプション型の支援を通じて、競技とより深い繋がりを感じてもらおうというものだ。

 12月24日までの1か月間で133人が支援者として名乗りを上げ、年間でおよそ200万円のサポートが集まっている。“マイナースポーツ”と呼ばれる競技の中には活動資金の捻出に苦労するものが少なくないが、この取り組みは新たな収入源の形としてモデルケースとなる可能性もありそうだ。

 さらに、昨年11月22日からライブ配信・動画サービス「rtv社」とパートナーシップを結び、ラクロス専門オンライン配信サービス「Japan Lacrosse Live by rtv」を開設。2022年から各地区リーグ戦から日本代表戦までJLA主催の公式戦をライブ配信(一部無料)、アーカイブ配信(一部無料)、ハイライト配信(無料)することになった。試合映像の他、インタビュー映像や対談企画なども予定されており、短期的な収益を目指すのではなく、5年後、10年後を見据えて着実に育てていく方針だという。

 新たな挑戦を続けるラクロス界の姿には、新たな価値観が生まれつつある社会の中で生き抜くヒントが隠されていそうだ。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)