確定申告をした後に間違いに気づいたら、どのように対処すればよいのでしょうか。確定申告は年に一度しか行わない手続きのため、どれだけ慎重に書類を作成しても間違ってしまうことがありますが、修正することができます。確定申告の修正では「訂正申告」「更正の請求」「修正申告」の3つの方法がありますので、状況に応じて修正方法を選ぶことが大切です。この記事では、確定申告の3つの修正方法について、詳しく解説していきます。

確定申告の修正は条件によって手続きの方法が異なる

確定申告を行った後に間違いを見つけた場合は、修正することが可能となっています。修正の内容や時期によって3つの修正方法があるため、状況に応じて一番適したものを選ぶことが大切です。

まず、確定申告の期限内に修正した申告書を再提出したい場合は「訂正申告」を行います。確定申告の期限が過ぎた後に間違いに気づいたり、新たな控除証明書などの書類が出てきたりした場合は、「更正の請求」もしくは「修正申告」を行います。

「更正の請求」は税額を多く申告していた場合や、還付金額を少なく申告していた場合に行う手続きで、払いすぎた税金を還付してもらうことができます。逆に「修正申告」は、税額を少なく申告した場合や還付金額を多く申告した場合に行い、追加で税金を納付する必要があります。

このように、確定申告時期を過ぎてから修正をするときには、払いすぎた税金を戻してもらうのか、税金を追加で納付するのかによって修正方法が違いますので注意しましょう。

訂正申告で確定申告の期限内に修正する方法

確定申告書の間違いや記入漏れがあった場合でも、確定申告の期間内であれば、書類の再提出をする「訂正申告」で簡単に修正を行うことができます。それでは、訂正申告について詳しく説明していきます。

書類を再提出して訂正申告をする

確定申告では、申告期限内に同じ人から2回以上確定申告書が提出された場合、日付が新しい確定申告書が「正式な書類」として受理されることとなっています。つまり、確定申告書を複数回提出した場合、後から出した書類が自動的に正式な書類として扱われることになります。

確定申告では、一度提出した確定申告書類を返却してもらうことはできません。そのため、訂正申告では正しい情報を記載した確定申告書類をもう一式作って提出する必要があります。

訂正申告では書類の1枚目の上部に朱書きで「訂正申告」と書き、余白に「訂正前の確定申告の申告年月日」と「訂正前の申告税額」を記載しましょう。また、訂正内容を証明できる書類も忘れずに添付するようにしましょう。

e-Taxで確定申告をした場合は?

書類ではなく、確定申告書をデータ送信する「e-Tax」を利用した場合は、申告期限内に正しいデータを再送信するだけで訂正をすることができます。このとき、訂正したことを税務署へ連絡する必要はありません。

「e-Tax」では間違った部分だけを送ることができないため、訂正部分だけでなくすべての書類を作り直して送る必要があります。なお「e-Tax」で確定申告をした後に、訂正申告として紙の書類を提出することも可能です。

「e-Tax」のデータを再送信する方法は、以下となっています。

1.「申告・申告等一覧」から訂正したいデータを選択して訂正する帳票を開きます
2.帳票を訂正し、「作成完了」をクリックします
3.「申告・申請等名」に30文字以内の文字を入力し、「別名で保存」をクリックします
4.「署名可能一覧」から再送信するデータを選び、電子署名を付与します
5.「送信可能一覧」から送信します

訂正を証明する追加の資料がある場合は、申告書と一緒に提出するようにしましょう。

出典:国税庁「e-Taxホームページ」

すでに還付を受けている場合は「更正の請求」が必要

提出した確定申告書に基づいてすでに還付金を受け取っている場合は、確定申告期間中であっても「訂正申告」ができない場合があります。このようなときには「更正の請求」を行い、訂正内容を証明できる書類とともに「更正の請求書」を税務署に提出しましょう。

更正の請求を行うと、その書類に基づいて税務署が調査を行います。そして、修正が認められれば納めすぎていた税金が還付されます。

更正の請求書は、郵送もしくは持参で提出することができます。「更正の請求」を行う具体的な手続きの方法は、後述しますので参考にしてください。

「更正の請求」で払いすぎた税金の還付を受ける方法

控除額の記載漏れや計算ミスなどで納める税金の額を多く計算してしまったり、還付金として戻ってくる税金を少なく申告してしまったりした場合は「更正の請求」を行います。更正の請求が認められると、払いすぎた税金が還付されます。それでは、「更正の請求」を行う方法について詳しく解説していきます。

「更正の請求」ができる期間は?

「更正の請求」ができる期間は、確定申告の期限である3月15日から5年間となっています。以前は請求期限が1年だったのですが、平成23年に5年間に延長されました。確定申告書を提出して数年後に間違いが見つかった場合でも、5年以内であれば更正の請求を行うことが可能です。

「更正の請求」をした場合は、事実を証明する書類を添付し、調査を受ける必要があります。その結果、納めすぎている税金があると認められた場合には税金が減額され、還付金を受け取ることができます。調査の結果によっては申し出が認められないこともありますが、不服申し立てをすることはできないので注意が必要です。

更正の請求をしてから税金の還付を受けるまでには約1ヶ月かかります。また、調査中に更正の請求期限の5年を超えてしまうと税金の減額ができないことがあります。更正の請求は余裕をもって、請求期限の3ヶ月前までに行うようにしましょう。

「更正の請求」で還付を受ける方法

「更正の請求」で還付を受ける方法は、比較的簡単です。まず、国税庁のホームページまたは税務署で「更正の請求書」を入手します。そして、その書類にオンライン入力または手書きで必要事項を記入し、持参または郵送、e-Taxで税務署に提出します。

請求書には名前や職業、電話番号、確定申告の年度などを記入します。「更正の請求」をする理由や詳細を記載する欄がありますので、「住宅ローン控除において、銀行からの借入金を控除額に含めておらず控除額が過少となっていたため」「医療費を計上していなかったため」「扶養控除の記入が誤っていたため」などと更正の請求をする理由を記載しましょう。

「更正の請求」は確定申告済みの納税額に対する修正となるため、最初に提出した確定申告書に基づいた税金を納付済みであることが前提となります。いったん申告通りに税金を納め、その後に「更正の請求」をして払いすぎた税金を戻してもらうという流れになります。

「更正の請求」に必要な書類

「更正の請求」を行うために必要な書類は「確定申告書の控え」「更正の請求書」「事実を証明する書類」「本人確認書類」の4つです。

「確定申告書の控え」は税務署に提出する必要はありませんが、更正の請求書に数字を転記するときに必要となります。「更正の請求書」は税務署もしくは国税庁のホームページから入手することができます。本人確認書類は、郵送の場合はコピーを添付します。

「更正の請求」では税務署による調査が行われるため、「事実を証明する書類」を必ず添付しなければなりません。たとえば、医療費控除を受けられるはずの医療費を計上していなかった場合には、更正理由を証明できる病院の領収書などが証明書類となります。

また、「更正の請求」でよくある事例として、一般の控除対象扶養親族(年間の合計所得が48万円以下の配偶者以外の親族で、控除額は38万円)と特定扶養親族(19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族で、控除額は63万円)を間違うケースがありますが、この場合は基本的には証明書類は必要ありません。ただし、配偶者特別控除を申告するときには配偶者の収入を証明する書類が必要です。

このように、更正の請求の理由によって必要となる証明書類は変わります。不安なときは書類の提出前に税務署に問い合わせをするとよいでしょう。

「修正申告」で税金を追加納付する方法

税金を少なく申告してしまった場合や、還付される税金を多く申告してしまった場合は「修正申告」を行い、追加の税金の納付を行います。修正申告は、税務署から更正を受けるまではいつでも可能ですが、間違いに気づいたらできるだけ早く申告することが大切です。それでは、修正申告の方法を詳しく解説していきます。

修正申告をする方法

修正申告をする方法としては、「申告書B第一表」と「第五表(修正申告書・別表)」の2つの書類を提出するだけです。また、特別な証明の添付は必要ありません。

「申告書B第一表」は通常の確定申告で使われる書類で、上部の「申告書B」と書かれている直前のスペースに「修正」と記入します。また、「種類」では「修正」に〇をつけます。この申告書B第一表には、修正後の数字を記載します。

逆に、「第五表(修正申告書・別表)」には修正前の数字を記載します。修正後の正しい数字を記載するのは第五表(修正申告書)ではなく、「申告書B第一表」なので間違えないようにしましょう。

修正申告によって追加の税金が発生した場合、納付期限の猶予はありません。修正申告書を提出する日に追加の税金を納めるようにしましょう。

修正申告をした場合に課される延滞税とは?

修正申告によって新たな税金が発生した場合、法定納期限の翌日から完納までの期間分の延滞税がかかります。法廷納期限は原則として確定申告期限の3月15日となっているため、3月16日から延滞税が加算されることとなります。ただし、令和3年の確定申告は、新型コロナウイルスの影響により、期限が1ヶ月延長されました。延長後の期限は、令和3年4月15日(木)となっています。

出典:国税庁「報道発表資料 申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限を 令和3年4月 15 日(木)まで延長します」

また、税務調査を受けてしまうと延滞税に加えて「過少申告加算税」や「重加算税」が課される場合があるため、間違いに気づいたらできるだけ早く修正申告をすることが大切です。

延滞税の割合はその年によって異なりますので、毎年確認する必要があります。令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞税の割合は以下となっています。

納期限の翌日から2ヶ月を経過すると延滞税が2倍になってしまうため、できるだけ早く修正申告と追加の税金納付を行うようにしましょう。

出典:国税庁ホームページ「No.9205 延滞税について」

まとめ

確定申告を間違った場合でも「訂正申告」や「更正の請求」、「修正申告」の3つの方法で修正することができます。確定申告の期間中であれば、正しい書類を再提出する「訂正申告」で簡単に修正することができますが、申告期限を過ぎた場合は修正の内容によって「更正の請求」もしくは「修正申告」を選ぶ必要があります。

「更正の請求」では払いすぎた税金の還付を受けられますが、「修正申告」では逆に税金の追加納付が発生し、延滞税もかかります。税金を過少申告していることに気づいたら、できるだけ早く修正申告を行うようにしましょう。