中古戸建ては新築に比べて価格が安いだけではなく、土地や住宅面積が広いのが大きな特徴です。ただし、マンションに比べると傷みなどなどが早いので、築年数が長い物件に関しては大規模なリフォームが必要になり、いずれは建て替えも視野に入れなければならないという問題があります。

【価格】中古戸建てなら新築の8割強で購入できるケースも

新築、中古の戸建ての価格差を見ると、図表1のようになっています。2020年の平均は新築が3,486万円に対して、中古は3,110万円ですから、その差は376万円で、中古なら新築のほぼ9割の価格で手に入ることになります。

ただ、この東日本不動産流通機構の新築のデータは、首都圏の仲介市場で取引されている物件が対象であり、社内に販売部門を持たないビルダーや工務店の比較的低価格の物件が中心になっています。実際に販売されている建売住宅の全平均はもう少し高くなります。

たとえば、住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している住宅ローンの【フラット35】を利用して建売住宅を買った人たちの平均取得価格をみると、こちらは年度単位の調査で19年度の数字になりますが、その首都圏平均は3,915万円です。東日本不動産流通機構による調査も同じ年度で比較するため、19年度の中古戸建ての成約価格の平均を見ると3,117万円ですから、その差は798万円で、中古戸建ては新築の8割弱という計算になります。

図表1 首都圏新築戸建てと中古戸建ての成約価格推移

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」

【価格】マンションに比べると新築・中古の差は小さい

いずれにしても、マンションに比べると新築の戸建てと中古の戸建ての価格の差は小さいようです。不動産経済研究所の調査による2020年の首都圏新築マンションの平均価格は6,083万円で、東日本不動産流通機構による首都圏中古マンションの成約価格の平均は3,599万円ですから、中古なら新築の6割ほどで手に入る計算です。

中古マンションに比べると、中古戸建ての価格面でのメリットは小さいように感じますが、そうとばかりはいえません。中古戸建ては中古マンションに比べて築年数による資産価値の低下率が低く、一定の築年数を経ても価格を維持しやすいというメリットがあるのです。

図表2は首都圏の中古マンションと中古戸建ての築年数帯別の成約価格の平均をグラフ化したものです。ブルーがマンションで、オレンジが戸建てなのですが、ブルーのマンション価格は築年数が長くなるほど、右肩下がりで成約価格は大きく下がっていきます。築0〜5年の平均は5,883万円で、先に触れた新築マンションの6,083万円とさほど変わりません。

図表2 首都圏中古住宅の築年数帯別の成約価格の変化

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」

【価格】成約価格は土地の価値のおかげで下落にブレーキ

マンションの制約価格は築11〜15年では4,000万円台に、築21〜25年では3,000万円台に、そして築26〜30年では1,000万円台に下がります。築0〜5年と築31年〜の成約価格を比較するとほぼ3倍の差があります。

戸建ての築0〜5年と築31年〜を比べると、築年数帯別の格差は2倍強にとどまります。マンションに比べて戸建てのほうが築年数による資産価値の低下ピッチが緩やかで、資産価値を維持しやすいというメリットがあるわけです。

恐らく、戸建て住宅には土地が付いているため、その土地の価値によって成約価格の低下にブレーキがかかるからではないでしょうか。建築基準法などを順守すれば、自分独りの判断で増改築や建て替えが可能で、更地にして売却することもできます。その際の土地の価値が、資産価値の低下を緩やかにしているといってもいいでしょう。

もちろん、マンションにも土地は付いているのですが、区分所有者全員での区分所有ですから、独りの判断で自由にすることはできません。その差が、築年数による成約価格の変化に反映されているのでしょう。

【耐用年数】鉄筋コンクリート造が47年で木造は22年

戸建て住宅は、その耐用年数に注意しておく必要があります。構造や施工状況などによっても大きく異なるので、あくまでも一つの目安として法定耐用年数を見ると、木造は22年で、重量鉄骨造で34年、鉄筋コンクリート造は47年となっています。この法定耐用年数を過ぎると税務上の資産価値はゼロになります。そのため、戸建ては20年たてば建物の価値はゼロなどといわれますが、もちろん、木造住宅の寿命が20年ということではありません。

実際には、多くの住宅メーカーが30年間の性能保証を実施しており、最近は60年保証を実施するところも増えています。定期的に維持管理を行い、大切に扱えば60年以上使い続けることができるわけで、長期優良住宅の認定制度では、数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できることが条件になっているほどです。

とはいえ、建物は大丈夫でも設備や配管などが老朽化して、継続使用が困難になるケースもありますし、60年が経過する前に建て替えられるケースが多いのが実情のようです。

【耐用年数】建て替えまでの平均築年数は約40年

戸建て住宅にどれくらい住めるのか、ひとつの目安として何年で建て替えられているかを見ると、図表3にあるように、2019年度の平均は39.7年でした。18年度は39.4年でしたから、およそ40年で建て替えられる戸建てが多いといっていいでしょう。

経過年数の長い中古戸建てを買うときには、この点を十分に念頭に置く必要があります。たとえば、築30年の戸建てだと、10年、20年後には建て替えが必要になるかもしれません。

建物自体は耐震化リフォームなどによって強化できても、設備が老朽化し、配管などが傷み、最先端のIT技術などを取り入れにくいといった事情から、建て替えが避けられないといったケースが出てきます。

購入時には当面の生活を快適にするためのリフォームにどれくらいかかるのか、その費用はいくらかなどを試算すると同時に、その先の建て替えまである程度は意識しながら購入するのがいいでしょう。

図表3 建て替えにおける従前住宅の平均築年数の推移

出典:一般社団法人住宅生産団体連合会「2019年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」

【広さ】新築に比べて土地・建物とも広め

リフォームや建て替えを考える上で注目しておきたいのが、戸建て住宅の広さです。中古戸建て住宅のメリットとして、新築に比べての価格の安さと、土地面積・建物面積の広さが挙げられます。それは、マンションに比べての戸建て住宅の寿命の短さを補ってくれる可能性があります。

土地面積を見ると、2020年の平均は、図表4にあるように、中古戸建てが147.99平方メートルに対して、新築は122.95平方メートルです。中古が25.04平方メートル広くなっています。建物面積は、新築が98.40平方メートルに対して、中古は105.24平方メートルで、中古のほうが6.84平方メートル広くなっています。1畳を1.62平方メートルとすれば、4畳強のひと部屋分に相当します。寝室として使うのは難しいにしても、コロナ禍で必要なワークスペースには十分でしょう。

また、土地の広さを生かして、庭に菜園を造ったり、庭いじりを楽しんだりできますし、建築基準法の範囲内で増築や離れの設置などが可能になるかもしれません。さらに、将来的な建て替え時には、いまより広い建物を建てられるケースもあるでしょう。

購入前には、増築や建て替えの可能性などについて、どこまで、何ができるのかを確認しておいたほうがいいでしょう。

図表4 新築・中古戸建ての成約物件の土地面積の推移

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」

【広さ】築年数が古いほど土地・建物面積が広くなる

この中古戸建ての土地や建物面積、築年数によって大きく異なり、基本的に築年数が長くなるほど広いようです。土地面積を見ると―。

図表5にあるように、築0〜5年では、118.68平方メートルが、築6〜10年で121平方メートル台に、築11〜15年で130平方メートル台に、築16〜20年で140平方メートル台に達し、築31年〜では172.23平方メートルです。
建物面積はこれほどには増えませんが、それでも築31年〜を除いて、築年数が長くなるほど広くなります。

築年数が長くなるほど成約価格は低くなりますから、若干高くても状態のいい築浅の戸建てか、多少リフォームなどにお金がかかっても安くて広めの築深物件か―どちらがいいのか、あらかじめ検討しておけば、物件選びの迷いが少なくなるかもしれません。

図表5 首都圏中古戸建ての面積の推移(単位:平方メートル)

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏不動産流通市場(2020年)」