社会保険の適用範囲が拡大し、パートでも一定の要件を満たせば社会保険に加入できるようになりました。具体的な要件は週20時間以上、月額賃金88,000円以上などです。

ただし、共働きでパートナーの扶養に入っている場合、自分で社会保険へ加入すると手取りが減ると心配している人もいるでしょう。今回は、パートで働いている人が社会保険に加入すべきかどうか解説します。

社会保険の適用範囲はどう変わった?

2016年10月以降、パートやアルバイトで働いていても一定の要件を満たすと社会保険へ加入できることになりました。対象となるのは、学生以外で、従業員501人以上の会社で働いている場合です。また、1年以上勤務しており、所定労働時間が週20時間以上、月額賃金が88,000円以上である必要があります。

2017年4月からは、勤め先の会社が従業員500人以下であっても、労使の合意があれば社会保険への加入が認められるようになりました。ただしそのためには、従業員の2分の1以上から同意を得たうえで、会社が年金事務所へ申し出をしなければなりません。

社会保険の適用範囲が拡大されたことにより、パートやアルバイトで働いている人も、会社を通して厚生年金や健康保険へ加入できるようになりました。

出典:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ社会保険の加入対象が広がっています。」

社会保険の加入要件を詳しく解説!

社会保険へ加入できるのは、原則として学生以外です。そのほかにも、労働時間、賃金、雇用期間、企業規模についてそれぞれ要件が定められています。加入条件は雇用契約等に記載された労働条件が基準です。ここでは、社会保険の加入要件について詳しく解説します。

所定労働時間週20時間以上

加入要件の一つは、1週間の所定労働時間が20時間以上であることです。所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間のうち、休憩時間を引いた時間のことをいいます。残業時間は含まれないため、注意しましょう。

月額賃金88,000円以上

雇用契約によって定められている月額賃金が88,000円以上であることも要件です。所定労働時間と同様、残業に対して支払われる賃金は対象になりません。また、通勤手当や賞与なども対象外となっています。

雇用期間1年以上

雇用契約における雇用期間が1年以上であることも要件の一つです。ただし、雇用期間が1年未満であっても、就業規則や雇用契約書などの書面で契約更新の可能性が示されている場合は、社会保険へ加入できます。

勤務先の企業規模

パートやアルバイトで働いている人が上記の条件で社会保険へ加入できるのは、従業員数501人以上の民間企業に勤めている場合です。すでに触れたとおり、従業員数501人以下の民間企業でも労使の合意に基づいた申し出であれば、社会保険へ加入できます。また、地方公共団体に属する事業所に勤めている人も要件を満たすことになります。

さらに、企業規模については、2022年10月からは従業員数101人〜500人、2024年10月からは従業員数51人以上の企業も対象となります。また、勤務期間による制限は2022年以降2ヶ月以上に緩和される予定です。

なお、ここでいう従業員数とは、すでに社会保険に加入している従業員の人数を表しています。

自分で社会保険へ加入するメリット・デメリット

夫または妻の扶養家族として社会保険へ加入している人は、扶養を外れて自分で社会保険へ加入すると損になるのではないかと気になっているでしょう。ここでは、自ら社会保険へ加入するメリットとデメリットを説明します。

社会保険へ加入するメリット

保険料の負担はあっても、将来の年金額を増やせるのは心強い

勤め先の企業を通して社会保険に加入する場合、厚生年金へ加入できます。老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされるため、扶養に入っているときよりも、将来受け取れる年金の金額を増やすことができます。

また、社会保険料の半分は勤め先に負担してもらえる点もメリットだといえます。特に、パートナーが自営業など国民年金のみの場合は、そもそも扶養の仕組みがありません。夫婦それぞれが保険料を負担しなければならないため、勤め先を介して厚生年金に加入したほうが保険料の負担を少なくできます。

また、厚生年金の加入中に障害の状態になった場合は、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金も支給されます。健康保険からは、傷病手当や出産手当の受け取りが可能です。

保険料の負担はありますが、歳をとったり何かあったりしたときに受け取れる金額を増やせるのは心強いでしょう。

社会保険へ加入するデメリット

自ら社会保険に加入するためには、保険料を負担しなければなりません。保険料は、基本的に毎月の給与から天引きされます。そのため、それまでと労働時間がほとんど変わらなくても、手取り額は少なくなります。

特に、年間の収入が社会保険の加入の条件となる106万円をギリギリ超える程度の人は、手取りが大きく減ってしまうでしょう。社会保険へ加入するかどうかは、保険料を引いた手取り額を考慮して決める必要があります。

社会保険に加入すべきか判断するときのポイント

妻または夫の扶養を外れて社会保険に加入すべきかについては、どのように判断すればよいのでしょうか。ここでは、判断の具体的なポイントを解説します。

手取り額を減らしたくない場合

パートとして働いている人は、家庭の事情により労働時間を増やせないケースも少なくありません。特に、子育てや介護をしている人は仕事以外にすべきことが多いため、働きたくても働けない状況に陥りやすいといえるでしょう。また、パートの収入を食費や子どもの学費などの決まった使い道に充てているため、手取り額を減らしたくないと考えている人も少なくありません。

現在の労働時間と手取り額の両方を維持したいのであれば、無理に社会保険に加入する必要はありません。妻または夫の扶養に入ったまま働き、計画的に日々の生活を送るほうが現実的だといえます。

社会保障を手厚くしたい場合

何かあった場合に受けられる社会保障を手厚くしたいなら、社会保険への加入がおすすめです。健康保険に加入すると、病気やケガで働けなくなったときに賃金の3分の2程度の傷病手当金を受給できます。出産した場合も出産手当金が支給されるため、これから子どもを産みたいと考えている人にもメリットがあります。

また、将来もらえる年金の金額を増やしたい人は、厚生年金へ加入しましょう。厚生年金では、加入している期間中に障害がある状態になった場合、障害厚生年金を受け取れます。所得金額や障害の程度によって受け取れる金額は異なりますが、万が一に備えられるため安心感があります。

毎月の保険料を負担する必要がありますが、それでも社会保障を手厚くしたいなら、勤務先で社会保険に加入したほうがよいでしょう。

まとめ

パートとして働いている場合、自ら社会保険へ加入すべきかどうか悩む人が多いでしょう。社会保険に加入すれば保険料がかかるものの、さまざまな保障を受けられるようになります。

まずは、自分自身の手取り金額とともに、社会保険の保障内容を確認することが大切です。家族ともしっかり話し合いながら、社会保険へ加入したほうがよいか検討しましょう。