2021年12月10日、与党(自由民主党・公明党)の「2022年度税制改正大綱」が公表され、24日に閣議決定されました。実際に施行される税制改正の内容は国会で税制改正法案が可決・成立しなければ確定しませんが、税制改正大綱を見れば、翌年以降に政府が考えている税制改正の内容を把握することができます。
私たちの生活に関係の深い改正を中心に、税制改正大綱の内容を確認してみましょう。

税制改正大綱とは?

内容を見る前に、税制改正大綱とはどういうものかを確認しておきましょう。

税制改正大綱とは、与党(自由民主党・公明党)が増税や減税・新しい税制の創設など次年度以降に実施したい内容をまとめたもの。与党の税制改正大綱は閣議に提出され、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出されます。その法案が可決・成立すれば、改正法で定められた日から改正法が施行されることになります。

税制改正大綱は、税制改正法案のベースとなるもの、というわけですね。

次に、私たちの生活に関わりそうな税制改正の内容を確認してみましょう。

「賃上げ税制」で、企業の賃上げを促す

2022年度税制改正大綱で第一に取り上げられているのは、「賃上げ税制」です。

政府の掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けて、賃上げに係る税制措置を強化することで、各企業の賃上げを促すとされています。

賃上げ率などに応じて大企業は最大30%、中小企業は最大40%の税額控除が設けられるほか、逆に収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も特に消極的な企業に対しては租税特別措置の適用を停止するなど、複数の税制措置により賃上げを促進する姿勢が示されています。

控除を受けるにはさまざまな条件があり、各企業で経営状況も異なります。税制改正によって勤め先企業が賃上げするとは限らないので過度な期待は禁物ですが、収入増に期待したくなりますね。

住宅ローン減税は、控除率0.7%に。所得制限が厳しく

消費税増税の負担軽減措置として控除期間が13年となっていた「住宅ローン減税」の今後が注目されていましたが、条件が厳しくなった上で、適用期限は4年間延長されることになりました。

控除率は2021年まで1%だったのに対し0.7%に引き下げられ、対象者の所得要件は合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられます。

ただし、省エネ性能の高い認定住宅等の場合には、借入限度額が上乗せされます。
なお、中古住宅の場合は、借入限度額は一律2,000万円(認定住宅の場合は3,000万円)、控除期間は一律10年となります。

なお、住宅ローン控除額のうち、所得税から控除しきれなかった金額が個人住民税から控除限度額の範囲内で控除される制度も4年間延長されます。
ただし、控除限度額は、2022年〜2025年の間に住み始めた場合には、所得税の課税所得の5%(最高9.75万円)に引き下げられます。

自己資金で住宅購入した場合の特別控除も延長に

ローンを利用せずに住宅購入した場合には住宅ローン減税は利用できません。しかし、認定住宅等を取得した場合には、購入費用等の10%(控除対象限度額650万円)の所得税が控除される制度(認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除)があります。この制度の適用期限も2021年12月末までとされていましたが、2023年12月まで2年延長されることになりました。

住宅資金贈与の特例も2年延長

住宅購入の際、直系尊属(親や祖父母等)から住宅取得等資金の贈与を受けたときに贈与税が非課税となる制度も、2021年12月末までが期限となっていましたが、非課税限度額が引き下げられた上で2023年12月末まで2年延長されることになりました。

また、特例の対象となる住宅のうち、既存住宅用家屋については、築年数の要件がありましたが、廃止されます。代わりに、新耐震基準に適合していること(登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなされる)ことが条件に加えられました。

なお、成年年齢引き下げに伴い、2022年4月からは受贈者(贈与を受ける人)の年齢要件が18歳以上(現在は20歳以上)に引き下げられます。

固定資産税のコロナ対応の特例は商業地のみ縮小して継続

固定資産税は、新型コロナ対策として、2021年度に限り、地価が上昇しても2020年度と同じ税額に据え置く特例措置が取られていました。この措置は、住宅地については予定どおり終了。商業地は2022年度に限り、税額据え置きではなく、地価上昇に伴う税額の上昇幅を通常の半分に抑える措置が取られます。

まとめ

特に、これから住宅購入を考えている人にとっては、今後の住宅ローン控除などの税制改正は気になるところだと思います。実際に施行される税制改正がどのような内容になるか、税制改正法案の可決・成立のニュースにアンテナを張っておきましょう。法案が可決・成立すると、しばらくして、財務省や各関係省庁のホームページ等で具体的な税制改正の内容について発表されるので、確認するとよいでしょう。

※今記事は2021年12月10日発表の税制改正大綱(自民党・公明党)をもとにしています。実際の制度内容については今後確定する情報をご確認ください。