仕事を辞めたあとは、失業手当を受け取ることを考えるのが一般的でしょう。しかし、失業手当を受給するためにはいくつか条件があり、誰でも無条件に受け取れるものではありません。また、条件に当てはまったとしても、自分で申請する必要があります。この記事では、失業手当を受け取るための条件や申請方法について解説します。

失業手当とは

失業手当とは、失業中でもお金の心配をせずに新しい仕事を探せるように、規定の金額を支給するものです。一般的に失業保険や失業手当と呼ばれますが、正しくは「雇用保険」といいます。

雇用保険は労働者を雇う事業所であれば強制的に適用されるため、労働者であれば失業手当を受給可能です。ただし、雇用保険の被保険者であっても、失業手当を受け取るには一定の条件を満たさなければなりません。

失業手当をもらえる条件

失業手当には、「雇用保険の加入期間」と「失業者の状態」が条件として設定されています。どのような条件か詳しく解説します。また、雇用期間が短い短期雇用特例についても紹介します。

参照元:厚生労働省ハローワーク インターネットサービス 「雇用保険手続きのご案内」

一定期間雇用保険に加入している
倒産や解雇など会社側の理由で離職した場合、「離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上」である必要があります。つまり、過去1年の間に半年以上雇用されていなければなりません。

しかし、自己都合での辞職だと「原則として、離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上」と、会社都合のときよりも条件が厳しくなります。さらに、自己都合での辞職の場合、受給手続日から7日間の待機期間に加えて2ヶ月間は受給できない給付制限の設定があり、辞職後すぐに失業手当を受け取ることはできません。

再就職の意思がある失業の状態であること
失業手当は再就職を目指す人への支援であるため、雇用保険の加入期間で条件を満たしたうえで、以下の3つの状況に該当する必要があります。

・就職する積極的な意志がある
・健康面や環境等が再就職できる状態にある
・職探しや就職活動をしているが就職できていない

そのため、妊娠、出産、育児、介護、病気や怪我などの状態では、失業手当は受け取れません。こういった状況で就職できない場合は、出産手当金や介護休業給付など、ほかの手当や給付金を受け取るようにしましょう。

特例一時金(短期雇用特例)をもらえる条件
雇用保険加入期間が短い場合でも、短期雇用特例に該当すれば特例一時金という失業手当を受給できます。短期雇用特例被保険者とは、一時的に雇用される人、もしくは雇用期間が1年未満であることが常態である人です。

さらに、「4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者」、「1週間の所定労働時間が 30 時間未満である者」、このどちらにも該当しないことも必要です。

特例一時金を受け取る条件は、通常の失業手当と同じく再就職の意思がある失業の状態であることにくわえ、「離職の日以前1年間に、11日以上働いた月が通算して6ヶ月以上あること」です。

令和2年8月1日以降に辞職した場合は、労働時間が80時間以上である月も1ヶ月と換算します。特例一時金の場合も、自己都合で辞職すると、受給手続日から7日間の待機期間に加えて2ヶ月間は給付できないという給付制限があります。

失業手当を受け取る手順

これらの条件すべてに該当したとしても、失業手当は自動的に受け取れるものではありません。自分でハローワークに足を運び、手続きを進める必要があります。ここでは、失業手当を受け取る手順について解説します。

必要書類を用意する
まずは、以下の必要書類を用意しましょう。

・離職票
・個人番号確認書類
・身元確認書類
・写真2枚(マイナンバーカードで代用可能)
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

離職票は退職するときに所属していた会社から受け取るものです。離職票には、雇用保険被保険者番号や、雇用保険の加入開始日、離職日、離職原因などが記載されています。離職票は複数枚交付された場合は、そのすべてを提出するようにしましょう。

個人番号確認書類とは、マイナンバーがわかる書類で、通知カードや住民票でも代用可能です。身元確認書類は運転免許証やマイナンバーカードなど、写真、氏名、生年月日が記載されているものを提出します。

預金通帳やキャッシュカードは失業手当を受け取る口座を登録するために必要です。多くの銀行が対象となっていますが、一部の金融機関は登録できません。

管轄のハローワークで申し込む
必要書類を用意したら、所属していた会社管轄ではなく、自分の居住地管轄のハローワークに持参します。インターネット等では手続きが完了しないことには注意してください。失業手当を受け取る期間は限定されているため、離職票が交付されたらなるべく早く手続きを開始しましょう。

ハローワークの開庁時間は平日8:30から17:15までで、土日祝日や年末年始はお休みです。

雇用保険説明会を受ける
失業手当をもらうには、雇用保険説明会に参加しなければなりません。雇用保険説明会では、受給手続方法や就職活動方法などの説明を受けるほか、雇用保険受給資格者証など、失業手当の受給に必要な書類を受け取ります。

ただし、2022年5月現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用保険説明会はオンラインでの動画視聴が主流です。

4週間ごとに失業認定を受ける
失業手当の受給条件には、「再就職できる環境や健康状態であり、再就職をする意思があること」といったものがあります。失業状態を確認するため、4週間ごとに失業認定を受けなければなりません。

指定された失業認定日になったら、居住地管轄のハローワークで失業認定を受けましょう。その際には、どのような求職活動をしているのか記載した「失業認定申告書」と雇用保険説明会で受け取った「雇用保険受給資格者証」を提出します。これらは失業認定の日に必ず持参しましょう。

もらえる失業手当の額

失業手当の支給額のおよその計算式は「(離職前6か月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率」ですが、給付率は人によって異なります。おおむね以下の表の通りですが、正確な金額はハローワークにて計算した額を参照しましょう。

報酬額とは、社会保険料等を差し引く前の賞与を除いた金額です。離職時に60歳以上65歳未満の場合は、報酬額によって45%〜80%ほどの支給額になります。

※引用:厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜」

失業手当をもらえる期間

失業手当をもらえる期間は、原則として離職日の翌日から1年間(短期雇用特例の場合は半年)です。その期間が過ぎると、給付日数が残っていても失業手当は受給できなくなります。離職票が届いたら、なるべく早くハローワークで手続きを開始するようにしてください。

ただし、失業手当を受け取れる所定給付日数は90日〜360日のあいだで決められています。所定給付日数は、年齢や被保険者であった期間、離職の理由によって異なります。

受給期限、もしくは所定給付日数に達したあとは失業手当をもらえなくなるため、再就職までのスケジュールは計画的に立てるようにしましょう。事情により就職活動をする期間を後ろ倒ししたいときには、申請すれば最大1年間延ばすことも可能です。

まとめ

失業手当とは、失業中の人がお金の心配をせずに就職活動をするための資金です。失業状態であっても妊娠や育児、介護、病気、怪我などの理由で就労できないのであれば、失業手当は受け取れません。

また、失業手当をもらえる状況であっても、自ら必要書類を用意しハローワークで手続きを進める必要があります。受給期間も離職日の翌日から1年と定められているため、なるべく早く手続きをするようにしましょう。