江戸川区にある都営新宿線船堀駅前の「船堀タワー」とその北側、新大橋通りとの間で江戸川区庁舎及び複合施設建設の計画が動き始めています。多数の住宅、商業施設に公園がある駅周辺に区庁舎が誕生するとなれば、船堀駅の利便性、人気度は大きくアップしそうです。

駅南口側から見たタワーホール船堀。塔というにふさわしい細長い形状が特徴的です(筆者撮影)

船堀タワーで有名、都営新宿線船堀駅

写真右手にあるのが地上にある地下鉄駅、都営新宿線船堀駅。その前にあるのが船堀タワー、正式名称タワーホール船堀です(筆者撮影)

都営新宿線船堀駅といえば、まず思い出すのが船堀駅北口正面にある、江戸川区内唯一の映画館も入った通称「船堀タワー」、正式には江戸川区立の複合文化施設「タワーホール船堀」(以降タワーホール)でしょう。

1999年3月にオープンしたタワーホールは江戸川区のシンボルとして広く愛されており、展望塔の高さは115メートル。103メートルの高さには無料の展望室があり、都内全域を360度眺められます。9時から21時30分までと利用時間が長く、夜景を楽しめるのもうれしいところ。休日には子ども連れのファミリーやカップルなどでにぎわいます。

多様な施設が入っており、さまざまな楽しみ方ができます(筆者撮影)

入ったところは吹き抜けになっており、開放的。展望室へは7階で乗り換えます(筆者撮影)

展望室以外には映画館船堀シネパル1・2、コンサートや演劇などが楽しめる大小のホールや定員12〜84名までの17室の会議室、ブライダルサロンや書店、飲食店などさまざまな施設が入っています。区の施設と聞くと堅苦しい施設を想像しがちですが、タワーホールは映画、コンサート、演劇などが楽しめ、結婚式までできてしまう、近くにあるとうれしい施設というわけです。

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生活を楽しくしてくれる施設が集中する駅周辺

船堀駅周辺には昭和から平成に建てられた団地や集合住宅が多く集まっています。その人たちを対象にスーパーやスポーツクラブなどが造られてきました(筆者撮影)

最近ではタワーマンションなどもでき、駅周辺の利便性は年々アップしています(筆者撮影)

船堀駅周辺には、タワーホール以外にも生活を楽しくしてくれる施設が多数集まっています。駅周辺には主に昭和期に開発された都営住宅や公団団地(現UR賃貸住宅)が多く立地、その後もタワーマンションなどが建設されており、人口が集中しています。その人たちを対象に商業施設その他も集中しているのです。

ゴルフ練習場のネットの向こうにスーパーがあり、さらに左手には駅前のタワーホールも見えています(筆者撮影)

たとえば、駅北口側から歩いて4分ほどの場所にはフナボリゴルフというゴルフ練習場がありますが、駅にこれほど近い場所にあるゴルフ練習場はめずらしいかもしれません。車で行かなくても、駅から歩いて行けるのです。

駅徒歩圏にスーパー銭湯がある街はそれほどないのでは?(筆者撮影)

ゴルフ練習場の斜め前、駅からだと歩いて5分ほどの場所にはスーパー銭湯「東京健康ランド まねきの湯」があり、天然温泉、露天風呂、サウナが楽しめます。ゴルフ打ちっぱなしで汗をかいた後にひと風呂浴びてのんびり、という休日が地元で過ごせます。

駐車場を備えた施設が多いものの、それぞれの間にそれほどの距離はないので、歩いて利用する人でも不便はないはずです(筆者撮影)

ゴルフ練習場の隣には食品を中心にしたスーパー「イオンフードスタイル船堀店」があるので、ゴルフ、サウナと楽しんだ後で買い物して帰るというのも良い休日の過ごし方かもしれません。

銭湯、スポーツクラブにスーパーが点在
遊びという意味ではサウナ、スポーツクラブなどはほかにも複数点在しており、自分のやりたいこと、利用時間などに合わせて選び分けられます。運動不足を実感している人には特にうれしい街かもしれません。

黒湯温泉を謳う鶴の湯。安価に天然温泉に入れます(筆者撮影)

鶴の湯、あけぼの湯などと銭湯が多いのもこの街の特徴のひとつ。しかも、場所によっては淡褐色や黒褐色の黒湯という温泉が利用できます。これは大昔の海水を由来とする化石水でメタけい酸、炭酸水素塩類(重曹)などを含んでおり、肌に柔らかいのが特徴。何度か入ったことがありますが、入浴後、お肌がつるつるになる気持ち良い温泉です。

駅のすぐ近くにある24時間営業のスーパー。どこにいてもタワーホールが駅の目印になります(筆者撮影)

買い物という面では、船堀駅周辺には個人商店などが並ぶ、いわゆる商店街はほとんどありません。その代わりスーパーが充実していて、なかには24時間営業の店もあります。同様に飲食店も駅周辺に集中しており、駅から500〜600メートル圏で買い物から遊びまでのほとんどのものがそろう便利な街、それが船堀です。

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水と緑、自然にも恵まれた街

船堀グリーンロード。平坦な土地のため、自転車を利用している人が多い街です(筆者撮影)

便利な街と聞くと自然、潤いのない街をイメージするかもしれませんが、船堀は緑も水も身近にある街でもあります。都営新宿線と交差するように走る船堀街道沿いには船堀グリーンロードという遊歩道が伸びており、緑陰にはベンチも用意されています。

新川沿いでひときわ緑の濃い一画。江戸時代は舟運で栄えた地域です(筆者撮影)

この通りに限らず、歩いてみるとあちこちに並木のある通りがあり、街中には緑が豊富。ところどころには旧家と思われるお屋敷も点在しており、緑に加えて鳥居や祠があったりもします。

西船堀公園。細長い公園で、じゃぶじゃぶ池があって夏には水遊びが楽しめます(筆者撮影)

それほど大きな公園はありませんが、街中には船堀スポーツ公園、船堀公園、西船堀公園などといった公園も点在しています。

歴史が生んだ江戸川の水辺

中川沿いの遊歩道。左手には並行して荒川が流れています。河岸では本を読む人、日光浴する人、はたまたダンスの練習をする人とそれぞれに楽しむ姿が(筆者撮影)

駅の西に中川・荒川、南に新川が流れているため、水辺の風景も楽しめます。中川沿いには遊歩道があり、車を気にせず、散歩やジョギングを楽しむことができますし、緑化された堤防では読書、日光浴などを楽しむ人の姿も見られます。

右手の火の見櫓に上ると新川はもちろん、船堀駅なども見渡せ、位置関係がよく分かります(筆者撮影)

中川の堤防を下っていくと火の見櫓が見えてきますが、そこが新川と中川の合流地点。現在は高さ15.5メートルの火の見櫓のある新川西水門広場が造られており、櫓からは新川を中心に街の様子が遠望できます。

新川は徳川家康が江戸の流通のために1590(天正18)年に開削を命じた3本の水路のうちの1本(ほかは道三堀、小名木川)で、主に千葉県の行徳からの塩などの食料品を運ぶためのものとして使われていました。川沿いには味噌や醤油などを売る店や飲食店などが並んでいたそうで、江戸時代に栄えていたのは新川沿い。

取材時にはちょうど新川沿いに金魚ちょうちんを飾るイベントが行われていました。走る人あり、釣り人あり、水辺の風景は豊かです(筆者撮影)

金魚ちょうちんと江戸川区の金魚についての説明。赤い金魚がひらひらするのは楽しい雰囲気でした(筆者撮影)

逆に現在の船堀駅周辺は、江戸時代には水田が広がっており、明治期には金魚の養殖も盛んな土地だったとか。今でも船堀は愛知県弥富市、奈良県大和郡山市と並んで三大金魚生産地とされており、7月には江戸川区特産金魚まつりが開催されています。

ところが、舟運が使われなくなって以降、新川も含め、水路の多くは見捨てられ、関東大震災以降何度かにわたり、そのうちのかなりの数が埋立てられてしまいます。ところが、江戸川区は元々水路が多く、水辺の風景に愛着を持つ人たちも多かったからでしょう、1973(昭和48)年に日本で初の親水公園として古川親水緑道を整備。以降も水辺の復活に努めてきました。その結果、現在では18路線、1万7,680メートルもの親水緑道が整備されています。

親水公園周辺は景観地区として定められており、外観の色のほか一定のルールが定められているそうです(筆者撮影)

船堀周辺には、せせらぎが涼しげな一之江境川親水公園があります。公園には桜の大木もあり、春には花見が楽しめます。

新川千本桜は新名所
新川はほかの水路に比べると川幅も広く、1944(昭和19)年までは蒸気船(!)が運航されていたこともあり、他水路よりは長く使われていましたが、それでも1976(昭和51)年まではあまりきれいとは言えない状況になっていました。

火の見櫓から見下ろした新川と街の風景。駅と新川の距離関係が分かります(筆者撮影)

その後、1993(平成5)年に堤防が撤去され、以降、護岸の耐震化、環境整備などが進んで河岸は現在の姿に。特に2007(平成19)年から始まった、河岸を江戸情緒あふれる街並みとして整備するという「新川千本桜計画」の効果は大きく、今では20種、700本を超える桜が植えられ、春には花見客が多く集まる場所になっています。

新川さくら館。かつては新川沿いにこうした蔵や店などが並んでいたのでしょう(筆者撮影)

川沿いにはところどころにベンチ、藤棚などが整備されており、散歩する人、走る人、釣りをする人の姿も。お休み処として整備された新川さくら館では子どもたちを対象にしたイベント、落語会、各種展示なども開かれています。

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タワーホール北側に開発計画

タワーホール北側の開発予定地からタワーホールを見たところ。道を1本挟んで、真裏になります(筆者撮影)

買い物に、遊びに便利で自然にも恵まれた船堀駅周辺でその魅力をさらにアップしそうな開発計画があります。それがタワーホールの北側に江戸川区庁舎を移転・新築、合わせて複合施設を建設するという計画です。

現在の江戸川区庁舎は新小岩駅からバスで約10分、歩くと20分以上かかる場所にあり、船堀駅からだとバスで15分ほど。あまり利便性が高い立地とは言えません。また、築60年以上と古い棟もあり、老朽化が進んでいます。加えて庁舎スペースが手狭になっており、周辺の建物、駐車場などを賃借している状況。その費用もかさんでいます。

不整形な敷地を再開発で使いやすく
こうした状況下で浮上した候補地がタワーホール北側の都有地です。元々は都営住宅があった土地で、建替事業によって更地となっており、面積は約1万1,000平方メートル。立地といい、広さといい、最適な場所です。

現状が左側、その権利関係を右のように整理、新庁舎と再開発ビルを建設するという計画になっています(江戸川区新庁舎建設基本構想、基本計画 令和3年3月より)

ただ、都有地だけで考えた場合、敷地形状が不整形で、かつ民有地にも挟まれていることから新庁舎に必要な規模、利便性を確保するには問題もありました。そこで区は当該敷地周辺の地権者の協力を得て、敷地の権利関係を整理する市街地再開発事業を行うことを決定。これによって整形された土地に新庁舎、再開発ビルを建設できるようになりました。

2021年10月には「船堀4丁目地区第一種市街地再開発事業」の事業協力者として日鉄興和不動産株式会社と東京建物株式会社が選定されており、「事業協力に関する協定書」を区との間で締結しています。

住宅は約300戸が建設される予定

現地は中央に道を挟んで南北に分かれており、写真では左手が駅側、右手が新大橋通り側。写真でも分かるようにところどころに民有地があり、建物が建っています(筆者撮影)

新大橋通り側の敷地。左手のマンションは通り沿いにあり、右手は駐車場になっています(筆者撮影)

計画によると約2.7ヘクタールの土地を南北の2つに分け、北側には敷地面積約1万100平方メートル、延床面積約5万5,000平方メートルの江戸川区庁舎を、南側には商業施設やオフィス、約300戸の住宅が入る地上27階地下1階建ての複合ビルを建設するというもの。新庁舎は2022年5月に20階建て程度の高層とする方針が決まっています。

施行するのは民間の事業者ですが、そこに新庁舎が入るため、設計などに時間がかかるとのことです(江戸川区新庁舎建設基本構想、基本計画 令和3年3月より)

スケジュールとしては2023年度に都市計画決定、2024年度に本組合設立を認可、2025年度に権利変換計画認可となる予定で、早ければ2028年度には供用を目指して取り組むとのこと。あと数年はかかることになりますが、区役所の移転も含めた計画であり、地域に与えるインパクトは非常に大きいはずです。

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水害の危険も考えておきたい

駅南口にあった掲示。この場所は荒川工事基準面(A.P.)と呼ばれる水面より0.10メートル高い土地で、大潮の満潮時の高さが水色のA.P.+2.1メートルという高さです(筆者撮影)

ただ、一方で意識しておきたいのは、江戸川区は海、川に挟まれた低地であるという点。船堀駅前には土地の高さ、過去の水害の潮位を示す掲示がありますが、そのうちには見上げるほどの高さのものもあります。区のハザードマップには江戸川区だけでなく江東5区のほとんどが水没とまで書かれており、危険の高さが読み取れます。

都営新宿線で新宿まで約30分。途中の駅ではさまざまな路線に乗換できて便利です(筆者撮影)

とはいえ、都営新宿線利用で新宿まで約30分という足回りに生活利便性も高く、ここまで紹介してきたように住みやすい条件がそろった街、船堀。住む場所としてみると非常に魅力がある一方で、水害の危険も想定されるという面もあり、何を優先して住む場所を選ぶかは悩ましいところ。家族でよく話し合い、実際に歩いてみて検討されることをお勧めします。

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