国の統計によれば、会社員で年収900万円を超えている人は、日本では全体の6〜7%です。年収900万〜1,000万円の人となると、約2%しかいません。一方、世帯年収900万円超の人は16〜17%、世帯年収900万〜1,000万円の人は約4%となります。

この記事では、世帯年収900万円の夫婦共働き世帯を前提として、住宅ローンで借りられる金額(借入可能額)と借りても問題なく返済できる額(借入適正額)について解説します。住宅ローンを利用するうえで注意すべき点や失敗しないコツもあわせて解説するので、参考にしてみてくださいね。

世帯年収900万円の人が知っておきたい住宅ローンで失敗しないコツ3選

せっかく住宅ローンを組んでマイホームを手に入れても、途中で返済に行き詰まってしまっては大変です。まずは、世帯年収900万円の家庭が住宅ローンを組むときに意識しておきたい、3つのポイントについて見ていきましょう。

1人分の収入で返せる金額を目安に借りよう
夫婦共働きで世帯年収900万円の場合、夫婦の収入を合算して住宅ローンの申し込みをすることで、より大きい金額の借入が可能になります。ただ「借りられる金額」と「返せる金額」は別物なので、2人分の収入を見込んで目一杯借りてしまうのは避けたほうが無難です。

ローン返済中に出産や育児、介護などでどちらかが休業したり、大病や解雇などで仕事を継続できなくなったりする可能性もあります。本当にやりたいことが見つかって、収入が下がる転職をしたくなるかもしれません。

そのような事態に備えて、1人分の収入でも返せる金額を目安に借りるのがおすすめです。一般的には、借入額を世帯主の収入の5倍程度に抑えておくと返済に困りにくいといわれています。

住宅関連支出を加味した返済計画を立てよう
「今住んでいる賃貸物件の家賃」と「住宅ローン返済額」が同程度なら問題なく返せるだろうと考える人もいます。

ただ、住宅を購入すると、住宅ローンの返済以外にも税金などさまざまな費用がかかります。今後想定される住宅関連支出全体を加味して、資金計画を練っておきましょう。

【住宅購入時にかかる費用の例】
・仲介手数料
・税金(不動産取得税、登録免許税、印紙税など)
・住宅ローンを組むための費用(ローン事務手数料、保証料など)など

【住宅購入後にかかる費用の例】
・税金(固定資産税など)
・保険料(火災保険、地震保険)
・修繕費(修繕積立金を含む)など

住宅購入時には諸費用がかかり、購入後も維持費が発生します。いくら必要かは物件ごとに違いますが、物件価格に比例して高くなる傾向があるため、高額な物件を購入する場合は特に注意が必要です。

このほか、引っ越して家が広くなったことで、光熱費が上がってしまうケースなどもあります。これらの住宅関連支出を含めても、無理なく返済できるかを事前に確認しておくことが大切です。

手取り金額をもとに住宅ローンの返済を考えよう
資金計画を練るときは、一般的な「年収」(税金や社会保険料が引かれる前の額面年収)ではなく、実際に手元に残る「手取り」をもとに考えるようにしましょう。

同じ「世帯年収900万円」でも、夫婦それぞれの収入額によって手取り額は異なります。たとえば以下のとおりです。

この例では、世帯年収は同じですが、「世帯主700万円、配偶者200万円」のほうが、手取りが少なくなっています。

これは、年収が高くなるほど所得税率が高くなって税負担が増す累進課税が関係しています。基本的に、配偶者が扶養の範囲内で働いている場合を除き、夫婦間の所得差が大きいほど(1人に収入が偏っているほど)、世帯全体の手取りが目減りしてしまいます。

このほか、手取りは年齢、家族構成、職業、各種控除の有無などによっても変わってきます。住宅ローンの審査のために申告する年収は「額面」が一般的ですが、家計をやりくりするときは額面だけにとらわれず「手取り」をもとに判断しましょう。

世帯年収900万円の住宅ローン借入可能額と借入適正額

では、ここからは世帯年収900万円の家庭の住宅ローンについて、「借りられる金額(借入可能額)」と「借りても問題なく返済できる金額(借入適正額)」がそれぞれいくらなのか、両者はどう違うのか解説します。

世帯年収900万円の住宅ローン借入可能額の目安は?
借りられる金額の上限は、金融機関などにもよりますが、年収の7〜10倍程度が一般的です。夫婦で協力して申し込めば6,300〜9,000万円程度まで借りられる可能性があるでしょう。

金融機関では、審査の際に「返済負担率(返済比率)」も確認しています。返済比率とは、「年収に占める年間返済額の割合」です。

貸せる金額の上限として、「返済比率が30〜35%まで(高くて40%)」を目安としている金融機関が多くあります。たとえば全国300以上の金融機関が取り扱う【フラット35】では、以下のような基準が明示されています。

上記の基準だと、住宅ローン以外の借り入れがない「世帯主500万円、配偶者400万円」の夫婦なら、年間返済額が315万円(世帯年収900万円×35%)まで、1ヶ月あたりの返済額に直すと315万円÷12ヶ月=26.25万円まで、借入金利が1%台前半と仮定すると、だいたい9,000万円程度までなら借りられる可能性があるということになります。

世帯年収900万円の借入適正額の目安は?
家族構成やその他の借り入れ(自動車ローンや奨学金など)の有無などにもよりますが、住宅ローンを無理なく返済していくには、住宅ローンの返済額は世帯主の手取り月収の25%(住宅関連支出を含めて30%程度)までに抑えておくのが無難です。

先述の「借入可能額」の上限である9,000万円の住宅ローン(固定金利1.5%、35年)を組んだ場合、月々の返済額は約27万5,500円になります。夫婦の手取り収入が月に50万円以上あったとしても、その約半分が住宅ローンの返済に消えるようでは、その他の住宅関連支出や突発的な支出まで含めたやりくりを考えると、返済が困難になる可能性が高いといわざるを得ません。

年収900万円の場合は、その5倍の4,500万円程度までが無理なく返せる目安です。ただ、夫婦共働きで世帯年収900万円の場合は、先述のとおり1人分の収入で返せる範囲にしておくのが無難なので、世帯主の年収に合せて2,500〜4,000万円程度が理想的な水準となります。

【年収900万円】住宅ローンシミュレーション

適正な住宅ローンを組むには、事前のシミュレーションが欠かせません。ここでは、具体的なシミュレーション例を見てみましょう。

(参考:ARUHI住宅ローンシミュレーション)

「世帯主の年収800万円、配偶者の年収100万円」の世帯でも、借入可能とされる「世帯主の収入の10倍(8,000万円)」の住宅ローンを組んでしまうと、手取り収入の約半分が返済や住宅関連の支出で消えてしまいます。

「世帯主の年収500万円、配偶者の年収400万円」のように所得差が少ない場合はなおさら、育児休業などで世帯年収が減ってしまったときに返済困難となる危険性が高いでしょう。

まとめ

年収の10倍程度の住宅ローンを組める金融機関も存在します。世帯年収900万円なら9,000万円程度まで借りられる可能性がありますが、「借りられるかどうか」と「返せるかどうか」は別の話です。

住宅ローンの返済額は、世帯主の手取り月収の25%(住宅関連支出を含めて30%)程度までに抑えておくのがおすすめです。世帯年収900万円なら2,500〜4,000万円程度が無難な水準となるでしょう。

目の前に素敵な家があると背伸びしたくもなりますが、その後の生活も考えれば、「借りられるだけ借りる」のではなく「無理なく返せる金額だけ借りる」ことが大切です。