品川区役所の最寄り駅である大井町駅は、京浜東北線、りんかい線、東急大井町線の3線が交差する交通の結節点。その大井町駅に隣接する、JRの社宅跡地を劇場として利用してきた土地で、区役所移転も含む大規模な複合開発が動き始めています。

京浜東北線、りんかい線、東急大井町線が交差する交通利便性の高い街、大井町は駅周辺に公共施設、商業施設等も集まる街です(筆者撮影)

3線が交差する交通利便性の高い街

品川区にある大井町駅は区役所の最寄り駅であり、同駅では京浜東北線、東急大井町線、りんかい線の3線が交差しています。

都心を南北に縦断する京浜東北線

手前が東急大井町線の改札。正面はJRの改札、右手を下りたところにりんかい線の改札があります。りんかい線はかなり階段を下りなくてはいけないので、乗り換えには多少時間がかかります(筆者撮影)

京浜東北線は埼玉県さいたま市の大宮駅から東京駅を経由して神奈川県横浜市の横浜駅を結ぶ、都心部を南北に縦断する路線。実際には根岸線と直通運転をしており、神奈川県鎌倉市の大船駅まで繋がっています。田端駅から品川駅間で山手線と並走(快速では停車しない駅もあります)するほか、東京メトロ銀座線・丸ノ内線など多くの地下鉄路線への乗り換えが可能なため、都心への足としては非常に利便性の高い路線と言えます。

ただし、その利便性のためか、大井町駅から品川駅間は長らく混雑度も高い区間として知られてもいました。今後の鉄道利用状況がどうなるかは見通しがつきませんが、便利なぶん、都心に向かうためにはちょっと不自由もあるというわけです。

東京の湾岸エリアを繋ぐりんかい線

りんかい線はJR埼京線とも繋がっていて、都心のオフィス街、埼玉方面にも便利な路線です(筆者撮影)

りんかい線は江東区の新木場駅から品川区の大崎駅を結ぶ路線で、東京の湾岸エリアを結ぶために造られたもの。1996年の開業以来、沿線にオフィスや展示場、住宅などが増えていることから乗降客数も増加傾向にあります。仕事で利用する人に加え、沿線には大型商業施設や海沿いの公園などが多く、観光での利用客も多い路線です。沿線に住むと遊びの楽しみも増えるのではないでしょうか。

住宅街を中心に走る東急大井町線

商業施設、商店街、大学などが点在、住宅街がメインの東急大井町線沿線。それほど長い路線ではありませんが、いつもにぎわっています(筆者撮影)

東急大井町線は大井町と神奈川県川崎市の溝の口駅を結ぶ路線で、沿線には自由が丘駅や二子玉川駅などのショッピングスポットのほか、商店街、大学などが点在。主には静かな住宅街が広がる路線です。

以上のように、都心部、湾岸エリア、住宅街と異なる地域のいずれにもアクセスできる交通利便性の高さから、大井町にはさまざまな機能が集まっています。

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利便性を背景に多数の機能が集積

まず目につくのが、品川区役所をはじめとする公共施設でしょう。

公共施設が多数集まる大井町駅周辺

品川区役所。保健所その他の施設も入っており、さまざまな用事が一度に済む場所です(筆者撮影)

駅から歩いて8分ほどのところには区役所があり、区役所の敷地内には品川区保健所、品川都税事務所、品川区防災センター、東京法務局品川出張所などが入っています。区役所からは少し離れた場所には、子ども家庭支援センター、二葉図書館などがあります。

めずらしいところでは、品川区役所の防災センター内にあるしながわ防災体験館が挙げられます。都内には東京消防庁が作っている防災館のほか、いくつかの防災体験ができる施設がありますが、区の施設としては練馬区と品川区だけ。防災意識の非常に高い自治体と言えるでしょう。

工場移転後の跡地を利用して造られたしながわ中央公園。一部には防災時に使える設備も備えています(筆者撮影)

品川区役所の向かいにはテニスコートやトラックなどのスポーツ施設を備えたしながわ中央公園があり、敷地内には中小企業センター、品川区消費者センターなどが入っています。こちらの公園は防災公園にもなっています。

大井町駅・駅ビルアトレ。区役所の出張所が設けられ、住民票、印鑑登録証明書等の取得に加え、図書館で借りた本の返却などもできます(筆者撮影)

大井町駅ビル内には区役所の出張所である大井町サービスコーナーがあり、区役所まで行かなくても住民票や印鑑登録証明書、戸籍謄本・抄本などの取得ができます。駅前には品川区総合区民会館きゅりあん(2022年10月現在、大規模改修中)もあり、身近に芸術等を楽しめます。きゅりあん近くには品川郵便局もあります。

商業施設なども多数集まっていて便利

駅前広場に面したところにあるスーパー。正面が東急大井町線、京浜東北線、りんかい線の駅で、JR駅の中心は写真右手にあります(筆者撮影)

商業施設も豊富です。駅周辺には駅ビル、スーパー、大型家電量販店などが集まっており、駅から200〜300メートル圏で生鮮食料品から衣料、家電など生活に必要なたいていのものが買えてしまうほどです。

テレビによく登場する飲食店なども点在

通り沿いに多いのは飲食店。それ以外は大型商業施設を利用するほうが便利かもしれません(筆者撮影)

その一方で、庶民的な飲食店も多く集まっています。京浜東北線と直交する、通称・区役所通り沿いには、駅から品川区役所方面、仙台坂方面と両方向に店が並んでおり、手頃な価格で昼も夜も多くの人を集めています。

路地に小規模な飲食店が並ぶ小路が長く続いており、大井町の名物になっています(筆者撮影)

また、同じ通りの北側には東小路、平和小路などといった路地に小さな飲食店が集まるエリアもあり、夜には大いににぎわいます。テレビなどでもよく紹介されていますから、知っている人も多いのではないでしょうか。路地は仙台坂近くまで長く伸びており、外食好きの人には楽しい街と言えそうです。

便利さの証明、ビジネスホテルの集積

JR駅に面した駅前広場にはホテルがあり、入浴施設、スーパー、ドラッグストアなども集まっています(筆者撮影)

もうひとつ、集まっているのがビジネスホテルです。出張で東京に来る人たちは何より足回りの便利さを重視します。

大井町からなら首都圏内のオフィス街はどこも行きやすく、新幹線利用なら京浜東北線で品川駅まで約3分、東京駅まで約14分。飛行機利用でも羽田空港なら京浜東北線で品川駅から京急線に乗り換えて約20分、もしくは、京浜東北線で浜松町、またはりんかい線で天王洲アイルを経由して、東京モノレールで30〜40分ほどです。あるいは空港バスという手も。

成田空港へも品川駅から成田エクスプレス利用のほか、りんかい線大崎駅発着のシャトルバス「成田シャトル」など、さまざまなルートが利用できます。日本国内はもちろん、世界を飛び回る人にとっても大井町は便利な場所というわけです。

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長年かけて駅周辺を整備してきた品川区

正面に見えるのが、大井町西地区の再開発によって2012年に竣工したタワーマンションです(筆者撮影)

そんな大井町の駅周辺の姿は1989年竣工の大井町駅東口第一地区に始まり、延々と再開発などを繰り返して造られてきたもの。元々は細街路に住宅、店舗などが密集する地域が広がっていましたが、災害に強い街を念頭に、時間をかけ、段階を踏んで徐々に街は変わってきたのです。

駅周辺をブロック分け、徐々に整備、開発を進めてきたことが分かります(出典:大井町駅周辺地域まちづくり方針)

品川区役所ホームページ内の大井町駅周辺地域まちづくり方針を見ると、駅を中心にいくつかのブロックに分けられ、それが1997年、2011年、2012年、2014年、2019年と時を追うごとに変わってきた経緯が読み取れます。

動き出した複合再開発「広町地区」

最近までの利用方法と駅、品川区役所との位置関係が分かる資料(出典:(仮称)広町地区開発計画説明会資料)

そうした計画の中にあって、現在動き始めたのが広町地区と呼ばれる地域です。この地域はJR東日本の東京総合車両センターと呼ばれる南北に細長く広大な敷地で、かつては東急大井町線大井町駅からJR東日本広町アパートが見えたのを覚えています。その建物群が取り壊された後は、2021年まで暫定的に劇場として使われていました。

東急大井町線のホームから見える現地。正面に見えている建物が現在の品川区役所です(筆者撮影)

2022年9月時点では更地になっており、2022年5月に認可を受けた土地区画整理事業が行われています。今後は複数の建物、道路、広場などが建設される予定です。

土地を集約して公共性のある開発に

具体的に何ができる予定なのかを見ていきましょう。(仮称)広町地区開発計画説明会資料によると、対象となる敷地は約7.1ヘクタール。元々はJR東日本、品川区が所有する土地が分散していましたが、それをまとめることで敷地西側に広場や区役所方向に抜ける道路が造られることになっています。

駅に近い側には高層ビルが、西側には広場や店舗など低層の建物が建てられる計画となっています(出典:(仮称)広町地区開発計画説明会資料)

完成予想図を見るとA-2地区は広々とした芝生広場を中心とした区画になっており、大きな公園の少ない大井町駅周辺にあっては貴重な存在となりそうです。このエリア内には3階建ての商業施設、駐車場も予定されています。

築50年超の品川区役所を広町地区に移転、新築

品川区役所屋上にはルーフガーデンが設けられており、そこから見た開発現場。広さが実感できます(筆者撮影)

品川区が整備する西側エリアには行政機能を有する施設、にぎわい施設が造られることになっています。そのうち、行政機能と書かれている場所には品川区役所が移転する計画です。

品川区役所は現在土地区画整理が行われている土地に移転を予定しています(出典:新庁舎整備 品川区)

品川区役所は1968年に建築されており、築54年。建物や設備の老朽化が進んでいることから、土地区画整理が進んでいる同地への建設を計画しています。計画としては、2022年度中に発注準備、業者選定などを行い、2025年度から建設工事に入って2027年度には移転・供用開始を目指しているそうです。

現在の区役所も決して駅から遠いわけではありませんが、移転先はより駅に近く、目の前には広場もある立地。使いやすく、人が集まるような場所になるのではないでしょうか。

オフィス、宿泊・住宅のタワーも2棟

現時点では工事現場まで近づくことができ、近寄ってみると大崎のビル群が想像以上に近く見えて驚きます(筆者撮影)

さて、行政機能以外の開発ですが、東側のA-1地区には2棟の建物が予定されています。オフィス棟と宿泊・住宅棟の2棟で、オフィス棟は地下4階、地上23階の高さ122メートル、宿泊・住宅棟は地下2階、地上26階の高さ115メートルの建物になる予定とか。宿泊・住宅棟は低層に商業施設等、中層にホテル、上層に住宅という構成とされています。

現地に掲げられていた建築計画のお知らせ。建物の高さや詳細が分かります(筆者撮影)

2棟並んでのタワーとなると、周囲からも目を引くものになりそう。予定では2025年度、区役所よりも早い時期の竣工を目指しています。

注目の大規模複合開発ですが、住宅は300戸の賃貸住宅とされています。これだけの良い立地であれば人気を集めるのではないでしょうか。

より住みやすくなる大井町

最近では駅から東側、仙台坂に向かうエリアでのマンション供給が増えているようです(筆者撮影)

この開発での分譲物件は期待できませんが、前述した通り、品川区が駅周辺の開発を段階を追って進めています。そのため、毎年とまではいきませんが、駅徒歩圏での住宅供給は比較的コンスタントに行われています。その中心はマンション。100戸以上の規模のある物件が多く、最近はタワーマンションも増えています。

大規模複合再開発で注目が集まっていることから、今後も駅周辺を中心に開発が進むことが考えられます。そもそも、区のまちづくり方針にはいつとは決まってはいないものの、いずれは整備されていく予定という地区もあります。

開発エリアの西側に作られる広場の完成予想図(出典:(仮称)広町地区開発計画説明会資料)

再開発でこれまでの大井町に少なかった規模の大きな緑地が整備されれば、この地域に住む魅力も増すはず。これから2〜3年、大井町の変化に注目したいところです。

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