少子高齢化が進み、自分たちが老後を迎える頃には、十分な年金は受け取れないだろう考えている人は少なくありません。特に20代〜40代では、その考えが顕著に表れているようです。これからは年金といった国の制度に全面的に頼るのではなく、自分自身で老後資金を準備する必要性が高まっていくと予想されます。
老後資金の準備方法は、大きく「ストック」と「フロー」の2種類に分けられます。今回は、この「ストック」と「フロー」について解説するとともに、具体的な5つの貯め方も併せて紹介します。

老後資金の準備方法は2種類に大別できる

十分な老後資金を準備するためには、「ストック」と「フロー」の2種類の違いを知り、バランスよくポートフォリオを組むことが大切です。

まず、「フロー」とは、一定の期間に得られるお金のことをいい、具体的には勤労収入や株式からの配当収入、不動産からの賃料収入、年金収入などが挙げられます。「フロー」には「流れ(収入)」という意味があり、労働力や時間などの対価を支払うことで得られるという特徴があります。

そして「ストック」とは、「フロー」の結果、貯まったお金を指します。具体的なものとして、預貯金や退職金、保険の満期金などを想像するとわかりやすいでしょう。「ストック」は「蓄え(資産)」という意味を持ち、時間をかけて築いていくものです。そして、今後はこのストックに運用を取り入れる重要性が高まっています。

老後資金がストックに偏っているとどうなるのか?
日本人の多くは、預貯金や保険といった「ストック」に偏った資産形成を行っています。2022年3月末現在の日本の家計の金融資産構成をみると、現金や預貯金が54.3%、保険や年金などが26.9%、株式や投資信託においては14.7%しかありません。一方、アメリカでは、株式や投資信託が52.4%と半分以上を占め、保険や年金が28.6%、現金や預貯金の割合は13.7%にとどまっています。

しかし、年金を含む収入が少なければ、支出に応じて資産が目減りすることになり、支出の割合が多ければ多いほど、資産が目減りするスピードも速くなります。預貯金が年々減っていくと、その分不安が大きくなるでしょう。

つまり、預貯金や生命保険など、円資産やインフレに弱い資産に偏っていると、現在のような物価高騰や円安の状況に対応できなくなる恐れがあります。

老後にフロー収入が得られるとどうなるのか?
では、老後に継続的なフロー収入が得られるとどうなるのでしょうか。

フロー収入が得られれば、資産が目減りするスピードがその分緩やかになります。さらに、必要最低限の生活費をフロー収入で補えるなら、ストックを旅行や自宅のリフォームなど自由に使えるようになります。その結果、ストックに偏っていたときのような心理的負担が減る結果につながるでしょう。

ただし、安定したフロー収入を築くには、株式などの投資が必要であり、一定のリスクを伴います。フロー収入を築くにあたり、事前にどのくらいのリスクがあるのかについて理解しておくことは必須といえるでしょう。

おすすめの老後資金の貯め方5選

安定したフローを築くには、先立つもの(ストック)も必要となります。老後資金を賢く貯めるには、具体的にどのような方法をとるべきなのでしょうか。ここからは、おすすめの老後資金の貯め方を5つご紹介します。

預貯金
資産の流動性を高めるためにも、一定額は預貯金で準備しておくことをおすすめします。ただ、現在の定期預金の金利はかなり低いため、勤務先に財形貯蓄などの制度が用意されている人は積極的に活用しましょう。

預貯金で老後資金を準備する際のポイントは、簡単に引き出せないようにすることです。老後資金を貯めるための口座を別に作る、あえてキャッシュカードを発行しないなどといった方法をとるとよいでしょう。

また、生活用口座には毎月の生活費の3ヶ月分〜6ヶ月分を置いておき、残りは貯蓄用口座に貯めていくという考え方も大切です。

保険
貯蓄性のある保険商品で、老後資金を貯めていく方法もあります。その際には返戻率がどのくらいかを確認しておくようにしましょう。返戻率が高ければ、保険料を払い込んだ後に解約した際、払込保険料総額以上の金額が返ってくるケースもあります。

保険料が毎月口座から差し引かれるため、自分で貯蓄するのが苦手な人や、将来受け取れる金額を確定させたい、元本保証がほしいなど、確実性を求める人に向いています。

さらに、年間の払込保険料に応じた生命保険料控除が受けられるため、節税効果もあります。
商品によっては、満期保険金を年金形式で受け取れるものもあるので、検討してみましょう。

現在の低金利下において、保険商品の返戻率も低下していることから、利回りの向上と為替リスクの軽減を狙い、外貨建て保険を検討するという選択肢もあります。

つみたてNISA
つみたてNISAは金融庁が長期運用に向いていると認めた投資信託商品を、毎月一定額購入しながら運用していく制度です。年間40万円までの非課税枠が設けられており、利益に対しては課税されない点がメリットです。20年間非課税で運用できることから、老後資金など、長期目線での資産形成に向いています。

1年間に積み立てられる額が40万円までと決まっていて、月100円から積み立てを始められる金融機関もあるため、小額から投資にチャレンジしてみたい人におすすめです。

資産がインフレに強くなるなどのメリットもありますが、次に紹介するiDeCoと比べると、節税効果はそこまで高くありません。。

iDeCo
iDeCoは「個人型確定拠出年金」の略称で、私的年金の一つです。
掛金がすべて所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になるほか、運用中の利益も非課税になります。また、原則として60歳から受け取れますが、その際にも受け取り方法に応じた控除制度が適用される点がメリットです。

特に掛金全てが所得控除の対象となることから、所得金額の多い人が行うことでより高い節税効果が得られます。

2022年の制度改正により、加入対象者の枠が拡大されたことや、人によっては65歳まで掛金を拠出しながらの運用が可能となった点は注目すべきでしょう。また、受け取り開始時期も最長75歳まで選べるようになりました。

ただし、原則として60歳までは引き出せないため、必ず余剰資金で行うのが大切です。

その他の投資
ここまで紹介した方法を行ってもまだ資金的な余裕がある人や、フローを重視したい人は、個別で株式投資や不動産投資などに挑戦し、フロー収入の構築を目指すという選択肢もあります。

ただし、投資にはリスクがあります。事前にどのようなリスクがあるのかを理解し、自分のリスク許容度を超えていないかを確認したうえで始めるようにしましょう。

逆に投資をするほどの余裕がない人や、リスクをとりたくないという人は、働く期間を長くするというフロー収入の作り方もあります。

大切なのは、一つの方法に偏ることなくバランスよく資金を配分し、老後資金を準備していくという考え方です。

まとめ

老後資金の貯め方には、「ストック(資産)」と「フロー(収入)」の2種類があります。

ストックとフローの違いを理解したうえで、バランスよく老後資金を準備していきましょう。そのためには、フローに投資を取り入れることも検討してみましょう。ただし、リスクを伴う点はしっかりと理解しておく必要があります。

老後資金を貯めるにあたり、さまざまな方法がありますが、それぞれの特徴やメリット、デメリット、そしてリスクを理解したうえで、最終的に自分に合った方法を選ぶようにしましょう。