幕張メッセのオープンから始まった幕張新都心の開発は「職・住・学・遊」の複合機能を計画的に配置、便利で美しい街並みを特徴としています。その幕張新都心で、最後の大規模住宅地とも言える幕張ベイパーク(若葉住宅地区)の開発が進んでいます。公園を中心に整備される街区を見てきました。

1986年に開設された海浜幕張駅のホームから、1991年に駅前に誕生したワールドビジネスガーデンを望んだところ(筆者撮影)

戦後すぐに始まった幕張新都心開発

幕張新都心の開発は、戦後すぐの1945年に始まっています。当初の目的は食料増産のための緊急開拓事業でしたが、その後、事業目的は中小工場用地造成に変更され、1964年には60ヘクタールの造成が完成しています。

事業目的はさらにその後、変更されます。1967年には、都心部から30キロメートル圏と利便性が高い立地に加え、広大な埋め立ての可能な稲毛、検見川、幕張があることから計画人口24万人という海浜ニュータウン建設が計画されます。ご存じのように、その当時は住宅不足の時代。これだけの広い土地があれば、多くの住宅が供給できると考えられたのでしょう。

しかし、その計画は再度変更されます。それが1975年のこと。東京一極集中に歯止めをかけることを目的に住宅中心の土地利用計画を見直し、業務機能を持つ新都心を建設することになったのです。

「学園のまち」構想が幕張らしさを醸成

駅の東側、東関東自動車道周辺に大学や中学、高校などが集中、文教地域となっています(筆者撮影)

さらにそこに加わったのが、1976年の千葉県の「学園のまち」構想。千葉圏内における進学率の上昇、学生数の増加に対応し、千葉県は幕張新都心に教育文化機能を充実させる「学園のまち」構想を示したのです。実際に1981年からは順次、大学、高校などの文化・教育施設が立地、文教地区を形成することになります。

2009年に開校した幕張インターナショナルスクール。幕張ベイパークにほど近い場所にあります(筆者撮影)

個人的にはこの方針が加わったことが、幕張新都心の住宅地を魅力的なものにしてきたように思います。教育に関心のある家庭にとっては、その土地の教育レベルは気になるところだからです。

幕張メッセ誕生が大きな契機

また、1982年には千葉県知事が幕張メッセ建設構想を発表します。この年には千葉市が千葉スタジアム構想、横浜市がみなとみらい21計画を発表するなど、臨海部の開発に意欲的な自治体が目立つようになった年でした。

1987年に開業した海浜幕張公園内にある日本庭園「見浜園」。こちらは1990年にオープンしています(筆者撮影)

こうした動きと同時に、海浜幕張エリアでは着々と工事が進んでいます。幕張地区の埋め立て工事は1980年に完了、1982年に東関東自動車道の宮野木〜市川間が開通、1985年に放送大学がオープン、1986年にはJR京葉線の海浜幕張駅が開設、翌年には海浜幕張公園が開業するなど、矢継ぎ早の変化です。

国際展示場、国際会議場、イベントホールを有する幕張メッセ。取材時にも多くの人が向かっていました(筆者撮影)

そして、何より海浜幕張の存在を全国に示す形になったのは1989年の幕張メッセの開業です。開業した10月には東京モーターショーが開催され、史上最高の15ヶ国が参加、192万人が訪れたとか。今でも日本を代表する、アジアでも有数規模を誇るコンベンション施設で、オープン以来延べ約1億8,464万人(2022年3月末時点)が来場しています。

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都市型住宅地、幕張ベイタウンの魅力

その後も、幕張新都心ではさまざまな開発が進められてきました。その中で、住宅としては1995年から入居が始まった幕張ベイタウンの分譲があります。

国内外の有名建築家が起用されるなど、これまでにない街づくりと当時は大きな話題になりました(筆者撮影)

この地域は1999年に住宅地として初めてグッドデザイン賞、アーバンデザイン賞を受賞しており、都市型の住宅地としての機能性、街の景観を重視した街づくりは高く評価されています。実際に訪れてみるといくつか、ほかの街とは違う点に気づきます。

ほかにない魅力のある街づくり

メインストリート美浜プロムナードとバレンタイン通りの交差点。1階が店舗などになっていること、車道、歩道の間に段差がないことなどが分かります(筆者撮影)

ぱっと見て最初に気づくのは住棟を街路沿いに配列した沿道型建築であること。建物中央には憩いの場となるパティオ(中庭)が設けられています。パリなどヨーロッパの都市でよく見るタイプの建物なのです。

しかも、建物は個性的で色鮮やか。中にはどこか和風のものがあったり、近未来的なものがあったりします。それらが違和感なくひとつの街としてまとまっているのは、最初の段階で官民が連携、方針を明確にしての街づくりだったためです。

住宅エリア内の道路もその雰囲気に合わせて石張りになっているところが多く、歩道と車道間に段差がない、バリアフリーになっている場所もありました。

建物1階に店舗など商業、業務系施設を配した建物も多く、これは街ににぎわいを創出するためだとか。加えて電線が地中化されていることもあって、幕張ベイタウンの地域内はどこを見ても風景が絵になります。

エリア内には広々として公園が複数造られており、植栽も時間を経て成長、風格を感じるようになっていました(筆者撮影)

計画的に造られた街ですから、公園や小・中学校もバランスよく配されています。この地域の小・中学校の中には住棟同様に道路際に校舎を配置、フェンスも門もないような形式とするなど当時の新たな試みにチャレンジしたものもあり、開校時には話題になりました。2020年5月末時点では約9,400戸が供給されており、約2万5,500人が住む街になっています。

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首都圏有数の開発面積を誇る幕張ペイバーク

京葉線海浜幕張駅のホームから住宅エリアを見たところ。線路を挟んで右側が幕張ベイタウン、左側が幕張ベイパークです(筆者撮影)

その幕張ベイタウンと隣接、現在開発が進められているのが開発面積約17.5ヘクタールという広大な幕張ベイパーク(若葉住宅地区)です。以前は文教地区とされていましたが、2008年以降、千葉県企業庁が順次土地利用の見直しを行い、2014年にはマスタープランの名称が「幕張新都心若葉住宅地区・文教地区未利用地マスタープラン」に変更。計画戸数約4,000戸の居住機能等が導入されることになりました。

幕張ベイパーク3つの特徴

幕張ベイパークの全体像(幕張新都心若葉住宅地区のまちづくりについて 千葉市ホームページより)

それを受け、2015年には当該地区の事業予定者が決定しています。街づくりの3つの特徴として千葉市は
・全米No.1建築事務所・ZGFアーキテクツが参画、地域特性を活かした「コミュニティ形成」を促す街づくり
・ミクストユース(複合利用)設計により「街の賑わい」という都市価値を醸成
・ドローン宅配などの先端技術を活用した「次世代の生活インフラ」構築推進
を挙げています。

「B-3街区」の囲いに掲示されていた幕張ベイパークの全体像。「B-3街区」は水色の線で囲われた部分です(筆者撮影)

実際の街づくりとしては2015年から暫定施設も含め、施設の開業が相次いでいます。住宅では2016年11月に着工した「B-7街区」が2019年3月に、2018年1月に着工した「B-2街区」は2021年2月から入居が開始されるなど、街の姿は徐々に見え始めてきています。

では、2022年10月現在の実際の街の様子を見て行きましょう。

2街区でタワーマンションが完成

中央にある細長い楕円形の若葉3丁目公園。緩く高低差があり、イベント時には会場にもなります(筆者撮影)

JR京葉線を挟んで、幕張ベイタウンの北に位置する幕張ペイパークは、細長い楕円形の公園を中心に大きく6街区に分かれており、その外にさらに2つの街区が予定されています。公園に面した街区は主に住居として使われるエリアで、そのうち、駅に近い「B-7街区」、「B-2街区」は前述した通り、すでに完成しています。

若葉3丁目公園から街区の入口方面を見たところ。右側が「B-7街区」、左側が「B-2街区」で、その左隣が現在姿を現しつつある「B-3街区」になります(筆者撮影)

街区図(千葉市ホームページより)

「B-7街区」はクロスタワー&レジデンス街区と名付けられており、37階建てのタワーマンションと8階建てのレジデンス、2階建てのコミュニティー拠点となるコワーキングスペースから構成されています。街区内には保育所、インターナショナルプリスクール、アフタースクールなどが用意されています。

スカイグランドタワー街区をA街区側から見たところ。手前の建物にはスポーツジム、レストランにエリアマネジメント拠点施設が入っています(筆者撮影)

「B-2街区」のスカイグランドタワー街区は48階建てのタワーマンションとクリニックモール、スポーツジム、レストランなどの入った建物から構成されています。この建物内には一般社団法人幕張ベイパーク エリアマネジメント、通称「B-Pam」の拠点でもあり、地域の人々にも開かれたコミュニティー活動の中心地となる幕張ベイパーククロスポートも入っています。それぞれの街区に特徴のある施設を入れることで、全体として生活に便利なエリアとしようという計画です。

3街区では現在工事が進行中

右が「B-3街区」、左が「B-4街区」。その向こうに見えているのがJR京葉線の高架で、さらにその先が幕張ベイタウンです(筆者撮影)

現在は「B-2街区」の隣、ミッドスクエアタワー街区と呼ばれる「B-3街区」で2020年8月に着工した地上43階建てのタワーマンションが立ち上がりつつあるところ。入居予定は2024年3月となっており、販売戸数は749戸。この街区には商業施設、保育施設などが予定されています。

その隣、「B-4街区」では工事は始まりつつあるものの、まだ形までは見えていない状況です。

暫定使用されている2街区

「B-6街区」にあるマンションミュージアム。平日の火、水、木は休みです(筆者撮影)

公園を挟んだ「B-6街区」は、現在はマンションミュージアム、MAKUHARI NEIGHBORHOOD POD(以下幕張ネイバーフッド)などとして暫定利用中。

ウッドデッキもあって楽しそうな雰囲気の幕張ネイバーフッド。パイを売りにしたカフェ、各地のクラフトビールも味わえるブルワリーと店も個性的でした(筆者撮影)

幕張ネイバーフッドはこれから新しくできる街の地域コミュニティーの拠点となることを想定した施設で、ブルワリー、カフェ、スタジオ、フリースペースからなる複合施設です。訪ねてみると、子ども連れで飲食を楽しむファミリーの姿が見られました。

砂浜をイメージしたようなバーべキュー施設。グループごとにテントを利用する仕組みになっています(筆者撮影)

その隣の「B-5街区」は一部がバーベキュー施設として暫定利用されており、残りの区画では(仮称)パークウェルステイト幕張計画の建設が進んでいました。

敷地内の一番奥まったところで建設が進む高齢者のためのサービスレジデンス。最終的には28階建てになります(筆者撮影)

(仮称)パークウェルステイト幕張計画は、自立した元気な高齢者のためのサービスレジデンスとのこと。地上28階、617室の、首都圏でも有数の規模のシニアサービスレジデンスということです。

商業施設、スポーツ施設も誕生

街区入口から見た「A街区」。スーパーのほか、飲食店、クリーニング店などが並んでいます(筆者撮影)

住居街区の入口にあたる「A街区」にはイオンスタイル幕張ベイパークが2019年4月のオープンしており、日常の買い物はすぐ近くで賄えるようになっています。

暫定施設としてオープンしたZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA。それ以外にも、近隣にはスポーツジムなどがあります(筆者撮影)

「A街区」に隣接した「B-1街区」には、ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREAが2015年12月に暫定施設としてオープンしています。これはサッカー、フットサル、テニスを中心としたスポーツ施設で、さまざまな競技で利用できるのだとか。会議室(スタジオ)もあり、各種教室、インドアスポーツも楽しめます。

幕張ネイバーフッド内に置かれていた完成をイメージさせる模型。幕張ベイタウン同様、計画的に建設されていく予定です(筆者撮影)

幕張ベイパークには、全体で6棟のタワーマンションが並ぶことになる計画で、うち1棟はシニアのためのサービスレジデンスのため分譲マンションは5棟。すでに2棟は完成しており、これからの発売は3棟。首都圏でも有数の住宅供給が期待できるエリアというわけです。

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2023年には新駅も誕生

長年かけて手入れされてきたのでしょう。歩道の並木も成長し、緑濃い街になっていました(筆者撮影)

実際に歩いてみるとオフィス街、商業施設、住宅街、公園、学校その他の公共施設がバランスよく配置されており、街並みの美しさ、にぎわいがよく感じられます。

バス乗り場は駅を挟んで2ヶ所にあります。周辺のみならず、関西へ、観光地へのルートもあります(筆者撮影)

ベイタウン内内を巡回するバスや周辺を結んで走るバス路線も多く、移動も快適そうです。成田、羽田の両空港のほか、大阪、京都などへの高速バスも出ています。

幕張メッセの北側、写真の奥にイオンモール幕張新都心などの商業施設があり、新駅はその前に造られる予定です(筆者撮影)

また、鉄道ではJR京葉線海浜幕張駅の東京寄りに新駅「幕張豊砂」が2023年春に開業する予定もあります。東京駅から30分あまりと、今でも便利なうえにまだまだ進化していく幕張新都心にこれからも注目です。

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