(10日、フランス1―0ベルギー ワールドカップ準決勝)

 後半の立ち上がり6分、フランスFWグリーズマンのCKだった。狙ったのはニアサイド。速いボールを蹴り込んだ。

 まだベルギーの選手の体が試合のペースに戻っていなかったのかもしれない。「そんなに難しいシュートではなかった」と身長183センチのフランスDFウンティティは言う。ゾーンで守る身長194センチのフェライニの前のスペースに、するりと入り込んでヘディング。弾道は鋭く、ベルギーGKクルトワの反応が遅れた。ボールがネットに突き刺さった。

 フランスのデシャン監督は「セットプレーが試合全体を決めた」と振り返る。序盤からベルギーがボールを保持して積極的に攻め、フランスが守りを固めてカウンターを狙う。その構図が先制点でより鮮明になった。

 フランスは時に最終ラインに6人の選手が入った。バランスを崩さないように守備的な選手を投入し、反則を受けては再開を遅くした。FWグリーズマンやFWエムバペが相手陣内でボールを回して時間を稼ぐのは職人芸のよう。ベルギーに大きなチャンスを作らせずに試合を締めくくった。

 2006年大会以来3度目の決勝で、20年ぶり2度目の優勝をめざす。ただ、デシャン監督にも選手たちにも「決勝」には苦い思い出がある。2年前、自国開催の欧州選手権決勝。ホームの声援を背にしながらポルトガルに敗れた。

 この日の試合後、どの選手も異口同音に言った。「まだ終わっていない。この大会で一番大事な試合が残っている」。同じ過ちを犯さないために……。気の緩みはみじんも見られない。(河野正樹)