バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)や3D映像などを活用して原爆の被害を伝える取り組みが、被爆地の長崎や広島で広がりつつある。72年前の出来事を、今の時代に現実感をもって感じてもらうための工夫の一つだ。

 灰色の画面から目の前に浮き出るがれきの山。倒壊した浦上天主堂や黒く焼け焦げた城山国民学校も目に飛び込んでくる。特殊な眼鏡をかけると、原子野をさまようような感覚になる。

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)で体験できるのは、爆心地から半径500メートルの範囲のデモ映像だ。長崎大教育学部の藤木卓教授の研究室が開発し、原爆投下直後の長崎市内の様子を3D映像で再現した。

 祈念館では、関連した被爆者の証言音声も重ねて上映している。祈念館の展示担当者は「足を止めて見入る人が多い。証言だけだとピンと来ないが、土地勘がない人にもイメージがつかみやすくなるのだろう」と話す。外国人来館者の反応もいいという。