イラク政府が同国第二の都市モスルの解放作戦で、勝利宣言をしてから1カ月。過激派組織「イスラム国」(IS)に襲撃され、2014年6月に日本に逃れたイラク人女性、リカア・アルカザイルさん(47)が約3年ぶりに故郷モスルを訪ね、10日、日本に戻ってきた。

 イラクでは少数派のキリスト教徒であるアルカザイルさんは、モスル南部のアルワハダ地区出身。ISによる支配前までは、自宅近くのアルサラーム病院や北部のイブン・アスィール病院で小児がんの専門医として勤務していたが、銃撃を受けて命の危険を感じ、母国を離れた。女性でキリスト教徒、職業上の地位などを理由に来日後もISから3度、SNSで「殺す」と脅迫を受けた。

 故郷に戻ったアルカザイルさんは、モスルで二つの病院を訪れ、知人やかつて患者だった人たちと再会を喜び合ったという。日本から支援物資として運んだ薬も渡すことができた。しかし、アルサラーム病院は破壊し尽くされ、自宅の窓はすべて割られていたという。IS支配下の3年間で少なくとも知り合いの医師10人が死亡し、その家族も行方不明になっているという。