鉄腕アトムが18歳の少年に生まれ変わったら――。そんなユニークな設定の創作絵本を、イラストレーターの黒田征太郎さん(80)=北九州市門司区=が出した。今年は原作者の手塚治虫さんの没後30年。人間になったアトムを通し、今を生きる若者に困難に直面しても乗り越える強さと命の尊さを大切にして欲しいと願う。

 絵本は「18歳のアトム 手塚治虫の鉄腕アトムから18歳のアトムへ」(今人舎(いまじんしゃ)、1728円)。人間がアンドロイドに支配されているさまや自然破壊が進む状況を夢の中で見たアトムは、夢から覚めた後、18歳の人間の体になっていることに気づく。今までのような超人的な力で地球を守ることができなくなったことに戸惑うアトム。そして仲間となった人間の力を信じ、前を向く姿を描いた物語だ。

 原案と絵は黒田さんが担当し、親交のあった出版社「今人舎」(東京)の編集者・稲葉茂勝さんがセリフのような短い文を添えてまとめた。英訳もつけた。

 小学生の頃、大阪の闇市で漫画「新宝島」を手にとったのが手塚さんとの最初の出合いだ。ピート少年の冒険譚(ぼうけんたん)で、疾走する自動車の車輪は楕円(だえん)形にゆがみ、背景の電柱が曲がっていた。「俺が思っている造形の通りの表現になっている。直感的に、手塚治虫になりたいと思った」