スウェーデン・アカデミーは10日、2018年のノーベル文学賞を、ポーランドの作家オルガ・トカルチュクさんに、19年の同賞をオーストリアの作家ペーター・ハントケさんに授与すると発表した。それぞれに賞金900万スウェーデンクローナ(約1億円)が贈られる。

 昨年は、アカデミー関係者の性的暴行事件に端を発したスキャンダルで受賞者を発表できず、今年は2年分まとめての発表という異例の形となった。

 選考の実務を担ったノーベル委員会のアンデルス・オルソン委員長はトカルチュクさんの選考理由について「森羅万象への情熱を武器に、限界を乗り越えていこうとする生き様を物語る想像力に対して」贈ると説明した。

 1962年生まれ。ワルシャワ大で心理学を学んだ後、93年の小説「本の人々の旅」でデビューした。

 アカデミーは、20世紀のポーランドの歴史を描いた96年の作品「プラヴィエク村とそのほかの時代」を「突破口を開いた作品」と評価。「道徳的な審判に抵抗し、国の良心を表現することを嫌った89年以降のポーランドの優れた作品の例だ。高度に洗練された芸術性を備えた抜群の想像力という才能を示した」とした。

 また、トカルチュクさんは「現実が安定したものや永遠に続くものだとは見なさない」と指摘し、自然と文化、理性と狂気、男性と女性など、文化的な対立の緊張の中で小説を構成していると分析した。

 ハントケさんについては「巧妙な筆づかいを駆使しつつ、人類の歩みの中で残された末端部や特異な部分に踏み込んだ、影響力のある諸作品に対して」贈るとした。

 ハントケさんの作風について、アカデミーは「風景と物質的な存在に対する並外れた注意」が独特の芸術をつくりだしていると指摘。著作は、「実存的意味に対する果てしない探求を示している」と評価した。

 授賞式は12月10日にストックホルムである。(ストックホルム=下司佳代子)

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