排ガスを出さずに走る電気自動車が、災害で停電した被災地の電源としても注目されている。台風15号の影響で停電が続いた千葉県の避難所でも、自動車メーカーが派遣した電気自動車が役立った。搭載されているリチウムイオン電池は、今年のノーベル化学賞の授賞理由でも、軽量、強力などその有用性が評価されている。

 台風15号の影響で停電が続いた千葉県君津市。9月14日、物資の支給拠点で避難所にもなった清和公民館のそばに電気自動車が止まっていた。日産自動車が電源用として貸し出した。公民館では、電気自動車からの電気を扇風機や冷蔵庫、照明機器などに活用した。

 普段走行に使われる蓄電池にためられた電気は「給電器」という装置を使えば、電化製品などに使う100ボルトの電気に変換できる。公民館の宮崎勲館長(62)は「小さな発電機だと燃料が早く切れてしまう。電気自動車だと継続的に使えて燃料補給などの手間がいらないので助かる」と話した。

 房総半島の停電を受けて、日産などは独自に被災地に電気自動車などの「電動車」を提供した。また、今回の停電の長期化をめぐって対応が批判された東京電力は、各自動車メーカーに電動車の派遣を要請。9月16日、横浜市内の東電施設に集められた約40台が千葉県の被災地に向かった。電動車の充電が減ると交代し、継続的に投入された。

 車種は日産の電気自動車に加え、三菱自動車のプラグインハイブリッド車(PHV)など。トヨタ自動車はPHVや水素で発電する燃料電池車を提供。ホンダは給電器を貸し出した。

 君津市では約2週間停電が続いた。市危機管理課の占部和裕課長は「発電機の確保に奔走する中、電源として現場まで移動できる車はありがたかった」。

 電気自動車を電源として使っても、ガソリンなどで動かす発電機と違って音がほぼ出ない。避難所でも騒音や排ガスが気にならない。また、たとえば日産の電気自動車「リーフ」の最新型だと、搭載されたリチウムイオン電池は62キロワット時の容量がある。日産によると、1日4時間エアコンを使っても4日間もつ計算だ。スマホ6200台分の充電が可能だという。