製薬企業アンジェス(大阪府茨木市)は30日、新型コロナウイルスの予防ワクチンの臨床試験(治験)を始めたと発表した。アンジェスと大阪大などが共同開発した「DNAワクチン」という新しいタイプのワクチンで、安全性と効果を確かめる。新型コロナワクチンの治験は国内で初めて。

 治験の対象は20〜65歳で、新型コロナウイルスに感染したことがない健康な人。30人を目標にする。二つのグループに分け、ワクチンの量を変えて筋肉注射する。大阪市立大で7月末まで行う予定だ。

 ウイルスの遺伝情報を体内に入れ、免疫反応を起こす。ウイルスのたんぱく質を無力化する「抗体」ができるかどうか、抗体が長続きするかを調べる。

 DNAワクチンはウイルスの遺伝情報だけを使うため、ウイルスそのものを増やして作る従来のワクチンより、開発期間が短くなるメリットがあるとされる。ただ、これまでヒト用に実用化されたものはなく、効果と安全性の検証は慎重に見極める必要がある。

 ワクチンの感染予防効果は、ワクチンを打っていない人が発病する率に対して、ワクチンを打った人が発病する率がどれだけ低下したかで示すことが望ましい。感染者が減少すると、統計的に効果があるとわかるまで長い時間がかかる。

 先行する海外の企業は、最終的に安全性と効果を確認する大規模な臨床研究の計画を発表している。英オックスフォード大などが開発しているワクチンは、英国で感染者が減少したため、感染拡大が続くブラジルで2千人規模の臨床研究を予定している。アンジェスの次の段階の試験の計画は決まっていないという。

 大阪府の吉村洋文知事は30日、ワクチンの治験が始まることに対し「未知のウイルスと最前線で戦っている医療関係者の皆さんの健康と命を守ることを目標にしたとき、ワクチンは非常に重要。重症化を防ぐ効果もあると聞いている。府市、阪大、市大、府市の病院機構がオール大阪で、多くの命を守るワクチンができればいい」と話した。(瀬川茂子、多鹿ちなみ)