フジ・メディア・ホールディングス(HD)が外資規制違反に気づいた2014年、総務省側にその事実を伝えていたことが明らかになった。ところが、当時の総務省側の反応を受け、同社は違反を公表せず、開示書類の間違いも訂正しなかった。当時のやりとりとはどんなもので、判断にどう影響したのか。不透明さがなお残る。

 「認定取り消しになるという判断なら、適時開示しないといけない。そうでない限り、開示する必要はないと考えた」

 8日夕、急きょ開かれたフジ・メディアHDの記者会見。外資規制違反を発覚当時に公表しなかった理由を問われた金光修社長はそう説明した。放送法で禁じられる外資比率に達していたのに、認定の取り消しにはならない。そんな判断の根拠となったのが、当時、自らが行った総務省への2度の相談だったという。

 同社が議決権数の算定ミスに気づいたのは14年9月。2カ月後の11月ごろには、過去2年分にもミスがあり、外資規制に抵触することも把握し、「違法の状態(だった)という認識はあった」という。

■社長「総務省に行った記憶あったが…」

 会見での説明によると、当時常務だった金光氏は「総務省の感触」を探るため、同年12月上旬、自ら総務省に赴いて2回、相談していた。放送法では、外資規制違反は「認定放送持ち株会社」の取り消しにつながりかねない重大事。同社でも認定の取り消しを「リスクシナリオでワーストケースとして想定した」。金光氏は1度目は1人、2度目はスタッフも連れていった。対応したのは「課長」だったが、具体的な名前や役職は「総務省に答えてほしい」として明かさなかった。

 金光氏は5日の朝日新聞の取材では「公式には総務省に報告していない」と繰り返していたが、8日の記者会見では「総務省に行った記憶はあったが、内容が正確ではなかった。関係者の確認も取れていない。行っていないと言うつもりはなかった」などと釈明した。

 その相談時、どんなやりとりがあったのか。

 金光氏は2度目の面会で総務省の課長から「今後ないように」と厳重注意されたことを受け、「認定取り消しに至らないという判断だった」としている。一方で、「記憶では(認定を取り消さないという)具体的な言い方ではなかった」として、やりとりの詳細までは明らかにせず、認定が取り消されないと判断した根拠は判然としない。