2017年版「防衛白書」が8日、当初の予定より1週間遅れで公表された。先月末に稲田朋美氏が防衛相を辞任したため、巻頭言の顔写真とあいさつ文を差し替える必要があったためだ。「稲田バージョン」の白書は幻となり、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で揺れた防衛省の「迷走ぶり」を象徴するような格好になった。

 防衛省関係者によると、もともと稲田氏が8月1日の閣議で報告し、公表する予定だった。稲田氏は直後の内閣改造で交代する見通しだったため、白書が「花道」になるとみられていた。

 だが、稲田氏は日報問題の責任をとって7月28日に急きょ辞任。後任は岸田文雄外相(当時)が兼務することになった。それでも防衛省は、「稲田版」を8月1日に岸田氏に公表してもらう方向で調整していた。

 実は防衛省は、稲田氏の辞意が報じられた時点で内々に過去の事例を調査。07年に広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」と発言して防衛相を辞任した久間章生氏の巻頭言が、辞任後に発行した白書に掲載された事例を見つけ、「差し替える必要は無いだろう」(幹部)と判断していた。

 ところが、こうした状況に、首相官邸などから「新大臣の巻頭言に差し替えるべきだ」との声が上がり、一転して差し替えることに。3日の内閣改造で小野寺五典氏が新防衛相に起用されたのを待って、公表する方針になった。防衛省は登庁したばかりの小野寺氏の写真を撮影するなど、作業に追われた。