■元プロ野球選手・スポーツコメンテーター 山本昌さん

 今年で99回か。積み上げてきた歴史はすごいですね。

 高校野球は、爽やかで、でも泥臭さもあって、日本人の気質に合っているんでしょうね。だから、みんなが熱中する。夏の風物詩でもあるし、戦後復興のシンボルでもあると思います。

 甲子園も良いですね。土の球場でその雰囲気は何十年も変わらない。高校時代、僕も目指したが、かなわなかった。プロに入った年の春、2軍で行った時は感慨深かった。みんなとここを目指したんだなあと。

 日大藤沢高校に入った時は、高校生のパワーやスピードの違いに驚いた。中学は軟式だったので硬式の球も怖かった。だから、同じ練習をするだけではついていけないと感じたんです。

 体作りのために1年の時、2キロのダンベルを買って、就寝前毎日、5分ほど肩を鍛えるトレーニングをやった。10種のメニューを考えたけど、1日3メニューほどを消化するようにしたんです。いきなりたくさんの課題を課して、三日坊主にはしたくなかった。続かない努力よりも、続けられることを続けようと考えたんです。やめたいと思ったことはあるけど、やめなかった。野球が好きだから。「やめたい」と「やめる」は違うんです。

 「やめない力」は僕の取りえだと思う。プロに行ってからも、毎日、ダンベルトレーニングは続けました。投げ続けるための下地を作ってくれた。努力が報われるかどうかは分かりません。でも、やっていれば悔いは減る。やらないと悔いは残る。現役生活を50歳まで続けられたのは、人に恵まれたことと、自分で決めた練習を継続できたからだと思います。

 高校球児にも、最後まで一生懸命やり続けて欲しい。最後まで頑張った人には、何かしらの得があると思う。終わった後に、やって良かったなっていう野球生活にして欲しいです。

 来年は100回。僕にとっても、これから先の球児にとっても、甲子園はずっと憧れの場所であり続けると思います。

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 〈やまもと・まさ〉 神奈川県茅ケ崎市出身。1984年にプロ入り。2015年の引退まで中日一筋。最多勝利投手3度。50歳1カ月のプロ野球最年長登板記録を持つ。