(16日、ウィンブルドン選手権 男子シングルス決勝)

 「またこの舞台に帰ってこられるとは思わなかったが、かなって良かった」。5年ぶりに優勝トロフィーを手にしたフェデラーは、そう喜んだ。これで4大大会制覇は、1月の全豪オープンに続く通算19度目。35歳の自身が持つ男子最多記録を更新した。

 世界ランクの上位4人が相次いで姿を消す中、我が道を突き進んだ。「肉体的にも不安はない」と自信をのぞかせていた通り、圧倒的な強さで勝ち上がった。

 ウィンブルドンで通算91勝目となった決勝も同じ。全米オープンの優勝経験があるチリッチを、多彩なショットでいなした。第1サーブを入れるのに四苦八苦する28歳から、第1セットを36分で先取すると、第2セットを25分で制し、主導権を渡さなかった。

 昨年2月、テニス人生で初めてひざの手術を受けた。その後は、けがにも苦しめられた。だが、1月の全豪決勝で好敵手のラファエル・ナダル(スペイン)を下し、2012年のウィンブルドン以来の4大大会制覇。休養を挟むなど万全の体調で今大会に臨んでいた。

 1回戦から1セットも落とさずに決勝を迎えたのは、06年、08年に続き3度目。全盛期をほうふつとさせた。フェデラーのために開かれた大会と、後に言われてもおかしくないほど好調だった。

 「芝の王者」はなお健在。大会後に発表される世界ランキングで、16年8月以来となる3位に返り咲く。(富山正浩)