(4日、陸上世界選手権・男子100m予選)

 予選で自己記録に並ぶ10秒05で駆け抜けたサニブラウンには余裕があった。涼しい顔で報道陣の前に現れ「自分のレースに集中した」と、振り返った。

 満員のスタジアム。日本勢の先陣を切った。スタートの反応時間は8人のなかで最も遅かったが、最初の数歩で力強く加速した。

 同組には2011年大邱(テグ)大会覇者で、世界歴代2位の9秒69の記録を持つブレーク(ジャマイカ)がいたが、並ばれることなく、0秒08差をつけてフィニッシュ。レース後の場内アナウンスは、18歳の大器を「彼はここで初お披露目だが、極東で(レースを)総なめにしている」と紹介した。

 世界選手権初出場だった2年前の北京大会は「雰囲気にのまれた」。しかし、この日は「緊張しなくて大丈夫かなという感じでした」と笑みも浮かべた。

 自信の裏には、6月の日本選手権前から練習パートナーを務めてくれている米国女子短距離・跳躍代表のティアナ・バートレッタ(31)の存在が大きい。

 スタートを得意とする彼女は、12年ロンドン五輪で米国女子が世界記録をマークした400メートルリレーの第1走者。おかげで、課題だったサニブラウンのスタートがだいぶ改善されてきた。2日前の室内練習で見事なスタートを決めると、バートレッタが大声を上げて喜ぶ場面もあった。

 予選とはいえ、全体の6位タイ記録。日本人初の9秒台、決勝進出の可能性を感じさせる快走だった。(遠田寛生)