棚からぼた餅の準決勝進出だ。

 陸上の世界選手権第4日は7日、ロンドンスタジアムで行われ、男子200メートルの飯塚は予選7組で英国、カナダ、南アフリカ選手に引き離されて4番手でフィニッシュ。20秒58と記録も伸びず、各組3着以内、もしくは4着以下の記録上位3人に入れなかった。誰もが「予選敗退」と諦めていた状況が、なんと、そこから一転した。

 自己ベストの20秒11、今季自己最高の20秒40にも及ばないタイム。「なかなかうまくいかないですね。自信があったので悔しい」。飯塚が報道陣に、予選敗退の反省の弁を一通り語り、取材エリアを引き揚げようとしていた時だ。飯塚の目が点になった。

 「え?」

 報道陣越しの壁にかかるテレビ画面には、自分の名前の横に「Q(Qualified=予選通過)」のマークが出ていた。

 実は、カナダと南アの選手が内側の白線を踏む「レーン侵害」で失格になっていた。両国は抗議したが、国際陸連が退けた。これで飯塚の2位通過が確定。2013年モスクワ大会に続く準決勝進出を果たした。

 リオデジャネイロ五輪の銀メダルに第2走者で貢献した400メートルリレーは12日。気持ちを切り替えて、「しっかり貢献したい」と話していた直後だけに、飯塚は「こんなのは初めて」と驚きを隠せなかった。

 思ってもみない形で巡ってきたチャンス。表情は少し複雑だったが、「挽回(ばんかい)しますよ。無駄にしないように頑張ります」。(遠田寛生)

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 〈レーン侵害行為〉 トラック競技で区切られた走路を走るセパレートコースでは、5センチ幅の白線で区切られたレーンから足が出ると失格になる。外側(右側)は白線の幅までレーンに含まれるが、内側(左側)は白線を踏むと失格。外側は他の選手を妨害していなければ踏み越えても失格にならない。