最上段まで真っ赤に染まった彦根東のアルプス席が揺れる。2年生左腕・増居が大声援を力に変えた。

 4年前に憧れた光景が目の前にあった。中学生だった当時、彦根東が初出場した試合を外野席で観戦した。「マウンドから見て、応援に感動しました。思い切ってやろうと思えた」

 9安打を浴びて5点を失った。「力みがちで60点くらい」。それでも、要所で直球とスライダーがさえ、五回には3者連続三振、六回は2死満塁のピンチを空振り三振で切り抜けるなど、9三振を奪った。

 武具を赤で統一した「井伊の赤備(ぞな)え」にちなむ「赤鬼魂」が学校の伝統。滋賀大会の決勝でも、増居は赤のパンツをはいて甲子園行きをつかんだ。春夏通じて甲子園初勝利。この日は「ローテーション」が合わずにはけなかったが、「(パンツは)次は赤でいきます」。汗が乾いた涼しい顔に笑みがこぼれた。(増田啓佑)

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 ○村中監督(彦) チームとして甲子園初勝利。「信じられない。最後までつないで取った(九回の)2点。選手はよくやってくれた。価値ある1勝」