(10日、高校野球 日本航空石川6―5木更津総合)

 大きく体を反らせて歌い上げる木更津総合の「全力校歌」。あと1アウトで、あの甲子園名物が見られるはずだった。だが、一気に暗転。注目の左投手・山下が九回に3点のリードを守れず、逆転負けを食った。

 身長187センチ、体重87キロの大きな体でしゃがみ、ロージンバッグを左手で丁寧にさわってから、小さくポンとジャンプ。いつもと同じ儀式をして、九回に入った。いきなり2連打で無死一、三塁とされたが、後続は2連続三振で、勝利は目の前に来た。そのとたん、悪夢が始まった。1番からの4連続安打で4失点。生命線のスライダーが甘く入り、直球は浮いた。

 被安打14のうち、八回に3、九回に6。昨秋に一塁手から投手に転向した男が、甲子園で勝ちきる難しさを思い知らされた。「最後は力でねじ伏せようと思ったんですけど、疲れを感じて、思ったような球がいかなかった」。流れる汗と涙をぬぐおうともせず、山下が言った。

 1年前は同じ左のエース早川隆久(現早大)の快投を頼もしく見ていた。彼の後を継ぎ、昨年の8強以上を見据えた。その夢は、あっけなく終わった。(篠原大輔)