完敗だった。でも初めての大舞台は楽しかった。夏の甲子園初出場のおかやま山陽(岡山)は10日の第3試合で11年連続出場の聖光学院(福島)に0―6で敗れた。選手は「部訓」と呼ばれる数々の言葉を胸に戦った。

 おかやま山陽には部員の行動規範を示す部訓が66カ条もある。堤尚彦監督(46)が出会った人や読んだ本などから影響を受けた言葉を掲げたものだ。

 「日本一になろう!と本気で考えている」(第1条)、「人生は一度きりだということを強く意識している」(第24条)など。堤監督が、「あれはダメ、これはダメ」というルールは反発を招くと考え作った。

 グラウンドのベンチや手洗い場には、部訓が1カ条ずつ書かれた紙が貼ってある。「一つでも好きな言葉が見つかればいい。どれも選手に伝えたいこと。いわば愛情です」と堤監督。

 選手たちは1年の夏に、ラミネート加工された部訓の紙をもらう。多くの選手は面食らうが、次第に理解を深め、プレーや普段の生活にいかしていく。

 この日の試合では、聖光学院の先発投手を打ちあぐね、劣勢の展開に。

 四回2死三塁の場面で継投したエース小松章浩君(3年)は、甲子園の雰囲気に圧倒されながらも、「楽して勝てず、楽しまずして勝てず」(第11条)を意識した。ピンチになっても笑顔を浮かべ、六、七回は打者3人で切り抜けた。

 六回、安部諒君(3年)は1死から四球で出塁する。第2条の「闘志なき者は去れ!」を思い出し、次打者が安打を放つと、迷わず三塁まで駆け抜けた。

 第8条の一節には、こんな言葉がある。「ゲームの点差に関わらず、7回からの3イニングでは、異常に盛り上がり点を取ることに執着する」。ベンチでは仲間と励まし合う大きな声が飛び交い、片岡晃大君(3年)は七、九回に安打を放った。「点差はあったけど、諦める気持ちはなかった」

 そして、第3条には「このチームを他人に自慢できる」とある。主将の川田友君(3年)は、試合後、涙をぬぐいながら言った。「仲間とは、つらい練習を一緒に乗り越えてきた。この仲間と、甲子園に来られて良かった」(本間ほのみ)