(11日、高校野球 智弁和歌山9―6興南)

 目の当たりにしたのは、相手にしたことのないスイングスピード。興南(沖縄)の宮城大弥君(1年)は、先発したマウンド上で智弁和歌山の打線に不安を感じていた。「沖縄のチームとは違う」

 低めのコースを突けば打たれない、絶対に甘めに投げないなどと、いろいろなことを考え過ぎた。二回、2死をとった後、四死球などで満塁のピンチを招いた。

 捕手の渡辺健貴君(3年)は「フォームがいつもと違う。腕がふれていない」。球を受けながら感じていた。沖縄大会ではなかった投球。マウンドに駆け寄り、「気持ちで負けるな」と声をかけた。宮城君は遊ゴロを打たせてこの回を切り抜けた。

 宮城君が宜野湾市の小学生だった2010年、興南が甲子園で春夏連覇した。同じ志真志小出身で、当時のエース、島袋洋奨さん(現ソフトバンク)の活躍に興奮した。中学生だった16年には、U―15侍ジャパンのメンバーに選ばれた。

 進学した興南で迎えた夏。沖縄大会決勝で初めて先発し、13三振を奪って完投した。「全然動じない。堂々としている」と我喜屋優監督を驚かせた。

 だが、甲子園では五回、高めに浮いた球を中越えに運ばれ2点本塁打。続く打者にも安打を許し、マウンドを降りた。「大きな舞台で投げてきた自信はあったけれど、甲子園は別物だった」

 試合後にすくい集めた土は、ベンチ入りできなかった3年生に渡すという。涙を浮かべながら、「これからいろいろなバッターと対戦して自信をつけ、甲子園に戻ってきたい」と前を向いた。(柏樹利弘)